祭り
夏休みが半ばを過ぎた頃、街が賑わいを見せているのは、今日が縁日だからだ。浴衣姿の者達が、道を闊歩している。彩り、出店が並び、お祭り一色の雰囲気。何処からともなく聴こえる笛の音は心地良く、一層盛り上げる。
メイン会場へと、林檎飴食べながら歩くのはオロチ、タケルはタコ焼きとイカ焼きを貪っている。
「番長は会場で太鼓叩くらしいよ、家族総出だって」
「ほむほむ」
「僕らは楽しむ側で良かったよ。ね、タケちゃん」
「ほーだな、ズズッ、バリッ、モグモグ」
焼きそばと焼き鳥も追加され、ゲップをも吐き出す。相当下品だが、これは腹ごしらえ。タケルの目的は美味しい物を食すことではない。
「今日こそ、俺は男の階段を1つ……いや2つ、以上駆け上がる!」
「それ、この前も言ってなかった?」
駆け上がれなかった海水浴、次なるチャンスは今日でしかない。何故ならこの後、クラスの女子たちと合流することになっているからだ。
「僕は花火に期待だね」
「乙女かよ」
「番長の太鼓姿も応援しないとだよ、ほら盆踊りするでしょ?」
「だから乙女かってーの!」
これまた海水浴と同じようなやり取り。
そうこうしている内に、やって来たのは華やかな三人組。アマテラスとツクヨミとコノハナサクヤ。アマテラスは恥じらい、ツクヨミは優雅に、コノハナサクヤは元気に挨拶する。
「ツクヨミさん、綺麗です」
「ありがとう」
「ハナちゃんの浴衣の花柄、凄い似合ってるね」
「ありがとっ!」
和気藹々と歩く中、『えっ、私は?また、またなの?ねぇ、ちょっと……マジ!?』と吠えているのは、アマテラスで間違いない。何度ポーズを変えてみたりしても、男二人からは声が掛からない。その状態が続くまま、オロチたち一行は輪投げ屋に着く。
「よし、ここは俺の腕の見せ所だな」
気合いを入れるタケル、その横に並び立つのはアマテラス。
「私が勝ったら、わた菓子ね」
「えっ、はっ、なんで?」
有無言わさずに勝負は始まる。高得点を狙うタケルに対し、アマテラスは手裏剣のように殺意を込めて投げる。結果、勝者は後者。3人分のわた菓子が、親にせがんで貰った小遣いから捻出された。
次は、金魚すくい。
「ここは、僕の出番だ」
気合いを入れるオロチ、その横に座るのはアマテラス。
「私が勝ったら、ホットドッグね」
「えっ、なんで?」
有無言わさずに勝負は始まる。ゆっくり丁寧に金魚を掬おうとするオロチに対し、アマテラスは殺意を込めて掬う。勿論、勝者は後者。誰も金魚も死んではいない。3人分のホットドッグが、日頃から溜めていた小遣いから捻出された。
そして、射的屋へと辿り着く。
「ゲーマーの意地だ。大物狙うぜ」
「頑張れ、タケちゃん」
大物を手に入れ、ツクヨミやコノハナサクヤにアピールしようと考えるタケル、その横に熟練の狙撃手のように並び立つのはアマテラス。
「私が勝ったら、ステーキね」
「そんなっ、無理に決まってるだろ!」
有無言わさず勝者は始まる。二兎を追う者は一兎をも得ずと言うが、二兎とは言わず三兎以上狙ったアマテラスが勝利。タケルは全弾外し、屋台に何故かあるステーキハウスを奢らされた。オロチの小遣いも無くなったのは事実である。
勝利に酔いしれるアマテラスとは違って、精神ダメージを受けた二人は気絶。
「さっ、男共は放っておいて、私たちだけで楽しみましょ♫」
「………」
メイン会場の太鼓音も聞こえ出し、祭りの雰囲気は最高潮へ。またもや、アマテラスだけが満喫したのは言うまでもない。
「ふふふ、あはは♪」
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