海
潮風香る真夏の暑さの中、オロチ達一行は陽の光に反射して輝く青き世界にいる、そう海である。
「「うーーみーー!!」」
期末テストもいつの間にか終え、夏休みに入り、宿題合宿をオオクニヌシの祖父母実家の寺で実施し、余裕ができて今に至る。今日この浜にいるのは、1年1組の者達だ。
「青い空、香る風、旨い店、輝く俺!」
テンションMAXなのは、いつもの如くタケル。その瞳は、浜を歩く大人の水着美女に向けられている。
「元気だねぇ」
興奮気味のタケルを他所に、オロチはビーチパラソルの下で休んでいる。
「乙女か!」
「泳げるんだけど、紫外線は苦手なんだ」
「だから、乙女かってーの!」
サングラスを額に掛けるオロチの視線の先には、準備を終えたオオクニヌシ。
「だいたいこんなものか」
何をしているかというと、特設ビーチバレーコートの設置だ。これは、ツクヨミが持参したもので、1組の者達は、その高級車数台に乗せられ、遠い浜までやって来ているのだ。
「うおっ!」
興奮収まらないタケルに鼻血を出させたのは、クラスの女子達の水着姿。アマテラスにツクヨミにコノハナサクヤ、一応卑弥呼だっている。アマテラスは恥ずかしそうに、ツクヨミは優雅に、コノハナサクヤは元気に、卑弥呼は面倒くさそうにしている。
「ツクヨミさん綺麗です」
「ありがとう」
「ハナちゃんのはイメージに合ってるね」
「ありがとっ!」
「しぶしぶ誘いに乗った割には、キメてきているな、卑弥呼」
「宿題が終わってたから、時間に余裕ができただけ。番長も、わざわざこいつらに付き合わなくていいのに」
「まぁ、一応同じ茶道部員だからな」
「仲が良くて結構ね」
話しつつ特設コートに足を運ぶ。その後ろでずっと、『私は?ねぇ、私の事は触れないの?マジ!?』などと言っているのが、アマテラスなのは言うまでもない。
3 対 4 、人数が割れるのは仕方ない。
勝負も一緒、これは純粋なるハンデ。男の女の熱き戦いは始まる。
「負けた方は、勝った方の言う事を何でも聞く……だったな」
「う、ん……そだね」
「上手くいくといいが……」
これ見よがしに鼻の下を伸ばすタケルを横目に、二人は、ただただ不安に思っていた。
レクリエーションの結果が示したように、男共は運動音痴なのだ。オオクニヌシは体躯の大きさもあって、二人より下手には見えにくいが、番長なのに茶道を好むだけあってアタッカーではない。ゆえに、やる気に満ち満ちているタケルがアタッカーになるのだが、一番の下手くそときている。女子が相手と言えど、勝ち目はかなり低い。
「行くぜ!オロチん、番長、準備はいいか!!今日、俺は男の階段を駆け上がるんだ!!」
「うん、はい」
「善処はしよう」
対する女子も、二人ほどやる気に満ちている。一人はコノハナサクヤ、この中では一番スポーツが得意だからだ。もう一人はアマテラス。男女で海に行くということで気合を入れ、水着を新調し、入念な前準備をしたにも拘らず、誰にも声を掛けてもらえず恥じて終わったという悔しさに、沸々と怒りが込み上げ、打倒男子と決め込んでいるからだ。
「ふー、ふー、ふー……」
目つきは、ギラついている。
「あんた大丈夫?」
卑弥呼の心配に、グリンッと首だけ動かす様は恐怖としか言いようがない。
「ひっ!?」
ツクヨミもコノハナサクヤも、ヒキ気味だ。この闘志を纏いし獣には、迂闊に近づくべきではない。
案の定、余裕ぶっこいているタケルの顔面には、強烈な一撃が直撃した。
「ヘブッ……ッ!」
「まず、一人」
最早、スポーツではない。これはゲーム。
───ドゴォン!!
次なる標的となったのは番長ことオオクニヌシ。顔面狙いと見せかけての鳩尾クリーンヒット。
「アガッ……ッ!」
「二人目」
残るは、泳げるのに浮き輪つけてサングラスしているオロチのみ。
「あのっ、アマちゃん!ストップ、ストッ───」
───バシィン!!
「り……ふじん」
「ふぅ、これにて滅殺終了」
力無く倒れる男子たち。
デスゲーム終了……いや、デスペナルティ執行完了といったところ。
ストレス発散を終えたアマテラスは、満面の笑顔で振り向く。
「じゃ、男子たち抜きで遊びましょっ♫」
「「………」」
微妙な空気、されど天気は快晴。
気絶した男子には目もくれず、アマテラスは海を満喫するのだった。
「うふふ、ははは♪」
どうも、おはよう、こんにちは、こんばんわ、おつかれさま(・∀・)
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