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購買

 オロチの通う学校は給食制ではない。

 弁当持参か事前購入か学校の購買で調達するかの3択だ。


 親が作ってくれる家庭は順風満帆な証。

 金銭を渡す家庭は裕福な証。



(まっ、価値観の問題だよね)



 オロチは弁当派なのだが、今日に限っては用意してない。


 理由は───



「来たか、同士よ」



 タケルだ。


 親友の口車に乗って、親の弁当を断ったのだ。



「準備はいいか、オロチん」


「僕らの生命維持がかかってるからね」



 昼時に販売される購買所は長蛇の列になると有名。


 制した者は、学校を制すとまで言われている


 三種の神器である、“カレーパン、コロッケパン、焼きそばパン”を同日に1つずつ手に入れられた者が覇者と讃えられる。



「腕が鳴るぜ」


「もうすぐだよ、タケちゃん───えっ!?」



 だが、戦場は混沌と化していた。


 人がごった返しては、惣菜パンが宙を舞う。


 本当に学校なのかと目を疑うほどにバチバチ戦闘。



「ふぐぅ」


「おぶっ!」


「ぎょえ!」


「ぎゃっ……ッ」



 オロチの尾も終始パンパンに見開く。



(無理だってばこんなの……)



 果てしなく遠い。


 牙城は崩せない。



(タケちゃんは……)



「ぐはあぁぁ!」



 上級生からの重い一発。



「タケちゃあぁん」


「ぐっ……オロ、チん……後は頼んだ……ガクッ」



 HP(体力)MP(精神)も尽きたタケルの戦いは終わる。



(僕にどうしろっていうんだ、一人にしないでくれよぉ、タケちゃあぁん!!)



 こうして入学4日目にして、オロチとタケルは昼飯無し。


 敗戦した弱者は、校舎の陰で黄昏れる。



「はああぁぁ、終わったな……」


「そだね……」



 昼休みはまもなく終わる。


 どうしようもない。


 ただ時間が過ぎる。



「すまなかったな」


「いいんだよ、話に乗ったのは僕さ」



 戦いに敗れても友情は壊れない。


 唯一無二、これ大事。



「今度、美味しいもの食べようぜ」


「だね……」



 と、そこに現れたのは───



「なんか、辛気臭いのがいると思ったら、オロチとタケじゃない」


「のあっ……ッ、アマかよ!見せもんじゃないんだ、帰れ帰れ──」


「ふーん?そんな事言っていいんだ?」



 アマの横に居たのは、1組のマドンナ的存在のツクヨミとコノハナサクヤ。



「つ……ツクヨミさん!?」


「ハナもいるよ」


「アマちゃんにハナちゃんにツッキー、どしたの?もう昼休み終わるよ」


「そうなんだけど、どうしてもツッキーがどこかの弱者に恵んであげたいって言うからね」


「こんなのしか渡せないけど、どうかしら?」



 ツクヨミの両手のひらには、三種の神器が揃っている。



「神!!」


「神々しい!!」



 勿論、飲み物もあるという至れり尽くせり。



「お礼は?」


「ありがとうございますツクヨミ様、コノハナサクヤ様」


「私の名前も言いなさいよ!!」


「いてててて……」


「アリガトゴザマスアマテラスサマ」


「宜しい!」



 渡し終えた女子衆(おなごしゅう)は教室へと戻る。


 その後ろ姿を凝視するのは仕方ないことだが、あと5分で食べないと間に合わない。



「ボバエフゲーナ!」


「何が?」



 “お前すごいな”を読み取れたオロチもどうかと思う。



「ゴキュッ……ングッ……はぁ、名前だよ。俺はツッキーとは呼べねぇ」


「あーーね、普通でしょ」


「いーーや、無理だね。まぁ、これでお前が敵じゃないのは分かったぜ」


「ん?何が?僕はタケちゃんの味方だよ」


「……だな──そういや、来週はレクリエーション大会だったな」


「そだね」


「ツクヨミさんに格好いいとこ見せつけるんだ」


「応援してる」


「いや手伝えよ!」



 キーンコーンカーンコーン



「「あっ!!」」



 昼飯無しを回避したにも拘らず、授業に遅刻した二人。



 物語は始まったばかり。






どうも、おはよう、こんにちは、こんばんわ、おつかれさま(・∀・)

この作品に出会ってくれてありがとう。

更新日は不定期です。

週一程度に更新できたらと思ってます。

長い付き合いになるかもしれません。

少しでも面白いと感じたらブックマーク宜しくお願いします(≧▽≦)

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