ゲームセンター
オロチとタケルはゲームセンターへと足を運んでいる。今日は休日ではなく学校帰り、茶道部の活動が休みになったからだ。
商店街の中にあるためか設備は古く、最新機器は搭載されていない。しかし、対戦など熱いゲームは盛り沢山で、空き時間を過ごすには丁度よい。
「ここも古くなったな」
「ね」
小学校の頃から利用しているオロチたちの記憶では、綺麗になったことは一度もなく、古さは増している。廃れてないのは、ある程度の人が入っているからだが、今日は他の客も見受けられない。
VIPルームの椅子に座るかのように、タケルは音を立て座る。
「さて──っと、始めますか」
「好きだねぇ、タケちゃんは」
「ったりめぇだろ?これくらいしか、勝てるとこないからな」
「それは……分からないけど」
「ほら、座った座った」
「はいはい」
二人がするのは対戦格闘ゲーム。
初期にハマっていたのはオロチだが、タケルに勧めた結果、どハマりしたという経緯で、今ではタケルの方が勝利数は高い。
「よし、準備OKだぞ」
「僕もいいよ」
試合開始。
攻めに特化したキャラを使うタケルと、柔軟に動くキャラを使うオロチはカウンター狙い。攻防は長く続くも、勝利を手にするのは攻めを崩さない男タケル。
「しゃあー!オラー!!見たか!?今の返し、最高だろ?」
「あーそうだね、見てた、やられた」
「やっぱり、俺様は最強だったわけだ」
「ソダネー」
オロチが軽返事する中、店内の客も増えつつあり、タケルの画面には『挑戦者出現』のマークが浮かび上がる。
「はぁ?どいつだよ?」
「この中の誰かか、ネット回線を利用して挑戦した誰か、もしかすればプロの人かも?」
「まっ、コテンパンにしてやるよ。キャラは、あんま使わないやつにするか」
「いいの?」
「ハンデだよ」
試合開始も、タケルはストレート負けを喫する。
「何でだよ!?」
挑戦する気概がある時点で強者と判断せねばならない。だが負けたままでは終われないタケルも、再戦に挑む。
「今度は、真面目にやってやるよ」
次戦もストレート負け。普段使いのキャラを使っても結果は同じ。
「あり得ねえ、あり得ねえよ」
「うわぁ、タケちゃんよわぁ」
「うっせ、相手が強すぎんだよ。見てただろ?」
「タケちゃんも、そろそろカウンターを覚えた方がいいかもね。連続技とか大技連発以外にもさ」
「ちっ、くそ。俺の性には合わねぇ!」
「やれやれ、君たち喧嘩はいけないよ」
明るい声でヒュイッと顔を出したのは、オロチたちより背の低い幼顔の校長ゼウス。
「ぇ゙?校長先生!?」
「いかにも、僕は校長のゼウスだよ」
「なんでここにいるんですか?」
「僕だって遊ぶさぁ、対戦ゲームだって大好きなんだよ」
「もしかして今の……」
「そうだよ」
「ぇ゙ぇ゙ぇぇ〜!!」
腰を抜かすオロチたち。
だが、これで終わりではない。
「君、カウンターを覚えられないんだって?勝負に於いて駆け引きは重要さ。今からレッスンしてあげるよ、あぁ立ち上がらなくていい。さぁ、座って」
バンバンと椅子を叩く校長ゼウス。
逃れられない遊びは続き、オロチたちが帰りついたのは日が落ちた頃だった。
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