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酔い

「ウェップ……」


「汚ね!」


「大丈夫か?」


「ん〜なんとか……」



 ゴトッと揺れる座席、今は丁度山道に入ったところ。


 車酔いしたオロチは、袋片手に顔を下に向ける。



「外を見た方がいいんじゃないか?」


「貧弱だな、オロチん」


「バスは苦手なんだってば」



 普段の通学で公共交通機関を利用しないのはこの為。


 距離的にバスを使っても校則違反ではないのだが、直ぐに酔ってしまうオロチは自分の足で歩きたいのだ。



「早く山登りしたい、地面歩きたい、地に足を着かせてくださぁい」


「ちょっと!男子うるさい!」


「アマちゃん……」


「暴言はモテないぞおぉ!」


「アンタよりはモテるわよ、タケル!」


「ガビーン!!なんだって!?」


「大丈夫か?」


「「無理」」



 致命傷二人、ダメージは深い。


 揺れる車内は静寂化。


 そして番長の介抱が終わる頃に、目的地へと到着。




「──着いたか!」


「ウェップ、元気モリモリだね」


「当たり前だ、なんてったって勉強がねぇんだからな!山登りも飯作りもお茶の子さいさい、遊びと一緒だぜ!!」



 意気揚々に余裕な笑みを見せるタケル。


 だが───



「学習時間はあるぞぉ」


「えっ?」


「アンタたち知らないの?」




 スケジュール表には確かに学習という文字。




「はあぁ!?山登りは?飯作りは?」


「それは明日だあ」


「ホンット、バカね」


「監獄だぁ!林間学校って、そうじゃねーだろぉ!」


「今年から2日間になったのよ」


「タケちゃん、着替え持ってきた」


「……きがえだと?」


「最低不潔馬鹿変態」


「変態は余計だろおぉぉ!!」


「馬鹿はいいんだ」


「ぐっ、こうなったら仕方ねぇ、オロチん……」


「貸さないよ」


「一緒に取りに帰ろうぜ」


「また酔わせる気!?」


「酷だな」


「オイ!オロチん!その言い方だと俺が変態みてぇじゃねーか」


「変態でしょ」


「違うわ!」



 絶えぬ言い争い。

 戻ることも不可、運転手の宿泊先は別の場所。




「──じゃあ、どうすんだよ!」



 大声荒立てる中、静止させたのは、ちゃんエビこと担任の恵比寿。



「ちゃんエビ!」


「こういうこともあろうかと、数人分の着替えは用意してあるう」


「神!」


「良かったね」


「あぁ、これで今日を乗り切れば明日は楽ちんだ!」




 いつもとは違う場所。



 風が凪、鳥がさえずり、空気が澄む。



 休憩中は、それぞれが山に囲まれた施設を愉しむ。



 大地は恵みだ。



 人を豊かに育む。



 成長のきっかけ。



 汗だくだくになっても、居心地良いと感じるのは林間学校ならではだ。



「………」


「気持ちよかったねぇ」


「皆で入る風呂もいいわい」


「………」


「タケちゃんが女子風呂覗こうとか言い出した時は冷や冷やしたけどね」


「塀に囲まれてるから無理だぞ、最低不潔馬鹿変態と言われても仕方ないな」


「………」


「どしたの?タケちゃん、さっきから」


「………あの」


「あの?」


「あのヤロオォォ!!全然サイズ合わねぇじゃねーかアァ!!」




 着替えの服は、ちゃんエビが持ってきた自前の服。


 つまり、ビックサーイズ!!


 入るどころか、ぶっかぶか、モロ出しである。



「最低不潔馬鹿変態だね」


「ノオォォォォォ!!」



 タケルの雄叫びは、長く響いていた。








どうも、おはよう、こんにちは、こんばんわ、おつかれさま(・∀・)

この作品に出会ってくれてありがとう。

更新日は不定期です。

週一程度に更新できたらと思ってます。

長い付き合いになるかもしれません。

少しでも面白いと感じたらブックマーク宜しくお願いします(≧▽≦)

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