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第8話 過去―別れとはじまり③

 高い音を立てて剣がはじかれる。距離を取り、ルプスは自分へと振り下ろされた武器を避けた。同じ行動を一体何度しただろうか。


「しぶっとい……っ!」


 片腕を切り落としたというのに、相変わらず上位種の攻撃力は高く油断すれば容易に押しつぶされてしまうだろう。また、どれだけ攻撃を当てていても、その体を覆う鱗の強度に変わりはなくルプスの攻撃ではかすり傷も与えることが出来なかった。

 苛立ちと焦りから余計に動きにも粗さが目立つようになってきた。


「こっちだ!」


 それでも、たった一人で戦っていた時よりも仲間が合流したことによって一息つく時間が出来た分、体は随分と楽になっている。

 ソウムが敵視を集め、彼に攻撃を集中させている間に負った怪我をエクレピアが治癒し、死角になる個所から攻撃を重ねる。カリュスの従魔もルプスが下がっている間を埋めるように鋭い牙と爪で切り裂くように攻撃をしていた。

 今も上位種は背後に回るルプスの様子を気にすることなく、腕を大きく振り上げ、武器をソウムへとたたきつけようとしている。がら空きになった背中を見上げるルプスが、その好機を逃すわけもない。足に力を入れ、大きく飛びあがった。思ったよりも高さが出なかったことに疑問が浮かんだが、今は細かいことを気にしている余裕もない。


「そろそろ倒れろよっ」


 鱗の守りが薄い首回りに更に一撃を入れる。鱗を避けて切り裂いた刃は、それでも致命傷には成り得なかった。体力と共に回復力も高いのか、よく見れば一部の傷は治りかけている。不安定ではあるがその体格通り厚みのある肩を足場にし、そのまま攻撃を続けた。

 まとわりつく攻撃が鬱陶しいのだろう。払うような動作を跳躍することで躱し、首周りの鱗をはがすように刃を動かした。けれど、それはうまくいかない。途中までは通るが、根本は固く全く歯が立たなかったのだ。

 非常に厄介な相手だ。

 不意にあたりの空気が一気に冷えていく感覚があった。急激な変化に慌てて魔獣の体を蹴り上げ距離をとる。

 パキリ、と空気が割れる音がした。

 動きに合わせてふわりと揺れたルプスの尻尾をかすめるように、透明な氷が大きく育ち、上位種の足を固めていく。

 このままではまずい、と上位種は本能的に気が付いたのだろう。大きく手足を動かし、体に張り付いた氷を落としていこうとする。けれど、それよりも氷の成長する速度は速く、あっという間に腰まで固まっていった。その余波は少ないながらも残っていた取り巻き立ちも巻き込んでいく。

 ちらり、と視線を後方へと向ければロッドを構えたエクレピアの姿が目に入った。今の氷は間違いなくエクレピアの魔法だ。魔力行使の影響なのか髪が揺らめき、飾りの小さな魔石が煌めいていた。駆け寄り横に並ぶ。ひんやりと冷えた空気は苛立ちや焦りを宥めてくれた。


「ありがと。助かった」

「どういたしまして。これでいったん立て直しができるだろ」

「それにしても随分としぶとい。どこかに弱点があるはずなんだが」

「鱗から判断して竜種とみなすなら逆鱗とかー? でも確かあれって触るとめちゃくちゃ怒るやつだよねぇ」


 氷で魔獣の動きが止まっている間に全員で集まって話し合ってみるものの、結局判断が付かない。何より彼らには情報が足りなかった。

 そもそもダンジョン外にいる魔獣であのような形の魔獣を見たことがないのだ。また、これまでに行ったことのあるダンジョンでも見たことがない。ある意味では新種と呼べる魔獣の存在に、途方に暮れてしまっていた。

 かろうじてその身体的特徴から竜と近似種とみることはできるが、攻撃の仕方を見るとオークと呼ばれる二足歩行の筋力に特化した魔獣にも似ている。


「これだからダンジョンの魔獣は面倒なんだよ」


 ソウムから憎々しげにこぼされた言葉はこの場にいる全員の思いを乗せていた。

 ダンジョンで危険なものといえば、まずは罠の存在が挙げられる。うっかり発動させればそれだけで命取りになるようなものもある。だからこそ、罠を看破するスキルを持っている冒険者は重宝された。

 しかしそれ以上に危険なのは、ダンジョン内で独自の成長を遂げた魔獣だ。

 これはそれぞれのダンジョンによって姿も持つ能力も異なる。本来ならば水の中に住み水を操る魔獣が、火山口に住み着き火を操るようになった魔獣もいたのだ。

 そうした魔獣は元の性質も持っていることも多かった。つまり、火を纏っているのに水に耐性があったりするのだ。そうなると一気に討伐難易度が上がる。倒すためにはまず弱点を調べるところから始めなければならない。


「ひとまず逆鱗があると仮定して攻撃をしていく。おかしな反応があったら教えてくれ」


 頷く仲間の姿を見て、半分以上溶けた氷を割ろうとしている上位種の姿を見つめる。既に体中につけたはずの傷は消えていた。体力がどれだけ回復しているのかは定かではないが、流石に最初からやり直し、ということはないはずだ。


「逆鱗って大抵あごの下だっけ?」

「そうだな。竜の場合はあごの下、もしくは、心臓や魔石の真上が多いと聞いたことがある」


 この中で誰よりも知識を持つエクレピアに確認を取る。そして、上位種の姿を観察した。特に注目するのは逆鱗があると言われているあごの下、そして、心臓や魔石があると思われる体の真ん中あたりだ。

 魔獣の持つ魔石はおおよそ心臓に近い場所にある。魔石から生まれる魔力が魔獣の力を増幅させている、と言われる所以だ。

 魔石は力の源。心臓は生きるために必要なもの。

 そうして大切なものはまとめているのだろう、と考えられている。故に、竜にとって最大の弱点である逆鱗も同じように大切なものだとするならば近い場所にあるはずだった。

 そして、その場所の防御は更に高いものになっていることは想像に難くない。


「……喉と思われる場所の下。あそこの鱗だけ他よりも細かく密集しているように見えるね」


 他は同じような大きさの鱗が整然と並んでいるのに、そこだけ小さな鱗重なり合うように集まっている。よくよく見れば色の違う鱗もあるようだった。距離を取り、じっくりと確認できたからこそわかったことだ。


「それが逆鱗か?」

「わからない。……けど、試してみる価値はあると思う」


 投げナイフはかろうじて片手で数えられる程度の数が残っていた。くるり、と手の中で回し、魔獣の姿を見つめる。大きく息を吐きだし、そして、吸い込む。

 ひたりと見据えた目は覚悟が決まっていた。

 余計な力を抜いて投げられたナイフは正確に狙った場所へと向かっていく。同時に、エクレピアの魔法が発動した気配がする。投げナイフは更に威力を増して飛んでいく。

 無事に刺さった、と認識した途端、低く重い悲鳴のような音が響き渡った。

 それは、魔獣の口から聞こえている。

 明らかに今までで一番の痛打と言える。ナイフが刺さった場所からだらりだらりと血が流れだし、命を奪っているように見えた。

 殺気の籠った目が、ルプスたちを睨みつけていた。


「痛打ではある。が、まだ足りなさそうか……」

「本物の竜ほどではなくとも、生命力も体力も高いってことだよねぇ。やだやだー」


 ため息をつきながら首を振るカリュスに無言で同意を示す。竜と戦ったことのある冒険者等数えるほどもいないだろう。仮に戦ったことがあったとしても、生きながらえる者なんてさらに少ない。情報としては冒険者ギルドにあるため知識はあるが、出来るならこれから先も戦いたくない魔獣の一つだ。

 ふと、近づいてくる集団の気配を察知した。敵対するものではないが、明確な目的をもってこの場に向かってきている。


「応援が来てくれたみたいだ」


 他の街へと出していた緊急依頼を受けた冒険者たちが、ようやく到着したのだ。

 彼らは足元が氷漬けになっている見慣れぬ魔獣に一瞬気圧されたようだったが、すぐに立て直した。緊急依頼を受けられるということは、ルプスたちと同等以上の経験を持っているということだ。例え初めて見た魔獣だろうと臆すことなく戦うことが出来る。

 幾つかのパーティーから代表者がルプスたちへ近づいてきた。


「今わかっている情報を教えてもらっていいか?」


 見慣れぬ魔獣に即座に攻撃を仕掛けようとしない姿勢は好感が持てる。最も、そのような命を捨てる見境の無さを持つものであればランクは上がらず低迷したままで終わる。この場に来る資格すらあるわけがなかった。

 今わかっている魔獣の情報、弱点を伝えていけばそれが即座に共有されていった。

 あとは任せろ、と背中をたたかれ、ようやく体から力が抜けていく。まだ全てが解決したわけではないけれど、薬も武器を後がなく自分たち以外に戦えるものがいない状態から抜け出せたことでだいぶ気が楽になった。

 人が増え手数も増え、また彼らが持ち寄った物資によって余裕が生まれた。ようやく休みが取れるようになり、落ち着いてそれぞれの武器や防具を確認すれば傷だらけになっていた。

 これは街に戻ったら鍛冶屋に一式預けて一通り調整してもらう必要がある。体の傷はエクレピアの治癒で大きな傷は治されていたが、武器や防具はそうはいかないのだ。そのままにしておけば使えなくなってしまう。長く使った装備も多い。簡単な手入れくらいは今もできるが、ここまで傷がつけばちゃんとした修理が必要だった。

 その時になって、足がうまく動かないことに気が付いたのだ。

 痛みの中にしびれるような感覚。どうしてもぬぐうことが出来ない違和感に眉が寄る。


「ルプス? どうした?」


 様子のおかしいルプスに気が付いたのはエクレピアだ。視線はルプスの視線を追って足に向かっている。

 傷自体はとっくに癒してもらい、そこは血の跡があるのみ。

 それでも違和感があるということは、戦っている最中に毒を食らっていただろうか。あとを引く毒はそれなりにある。あの場にいた魔獣たちに毒持ちの個体はいなかったはずだが、混戦状況になっていた時にすべてを確認できたわけではない。

 それとも、考えたくはないが傷を放置した時間が長すぎたせいで後遺症が残ったのか。そういえば跳躍した時に思ったよりも高さが出なかった。あれも気になっていたが、深く考える時間がなくそのままになっていた。

 じっと考え込むルプスの横顔をエクレピアは見つめていた。

 隠し事を許さない、と言わんばかりの強い視線に苦笑し、思考を切り上げる。


「……いや、なんでもない」


 気にしすぎだ。きっと疲労からくる違和感だろう。こんなに休憩なく戦い続けることなんて滅多にないのだ。体力をつけなければ、と何度目かの決意をする。

 ルプスはふつりと湧き上がる不安を頭から追い出した。そして武器の手入れを始める。

 まだ、上位種は倒れていないし、取り巻きも数を減らしつつあるが残っている。助けが来たからといってもいつまでも休み続けていられるほどの余裕はない。

 それでも、人数が増えたことと、物資に余裕が出来たことで、応援がついてから時間がかからずに上位種も無事に討伐された。

 彼らが到着する前に弱点が判明していたことが大きいだろう。

 それでも流石上位種と言うべきか、怪我を負ったものは少なくない。


「よくもまぁ、たった四人で、これだけの数の魔獣を、更に上位種ともなる魔獣もいたのに戦い続けたよなぁ」


 全て片付けた後に大きな声で笑いながらルプスたちを賞賛するのは名の知られた熟練の冒険者だった。そして、同意するように他の冒険者たちからも労りの言葉が飛び交う。

 それらに返しながらルプスは複雑な気持ちを抱えていた。

 ただ必死に戦い続けただけだった。いくら他にいなかったとはいえ、初動ももっと何が出来たのではないか、と今なら思う。それでも、街までこの魔獣たちが向かうことにならなかったことは安心した。

 街に戻る際、体力を使い果たし気が抜けてしまい動くことすら億劫になったルプスたちを見かねて馬車で来ていたパーティーが同乗を提案してくれた。それを有難く受け入れて、ほんの少しの時間、睡眠をとることにした。

 街へ着くまでの短い時間でも、この後に報告をしなければならないことを考えれば休んでおきたかったのだ。

 疲れ切っているルプスたちを他の冒険者たちもそっとしておいた。間違いなく、今回最も活躍したといえるのはルプスたちのパーティーだ。

 その功労者を労わる為にも皆、静かに馬車に揺られていた。

 応援に来てくれた冒険者たちと冒険者ギルドの入口で分かれ、ルプスたちはギルドマスターの部屋へと通される。

 一体何が起き、どんな魔獣がいたのか。疲れているとわかっていても、こればかりは早めに対処しなければならない問題だった。


「そこで見つけたのがこれだ」


 一通りの話を終え、あの場所で見つけて魔法鞄の中へ放り込んだままにした物を大きな机の上へと置いた。効果がきれているのか、見つけた時のようなざわめく感覚はなくなっている。

 しかし、それを見た瞬間、ギルドマスターの表情が変わったことに気が付いた。

 手に取りじっくりと眺めた後に低く唸りをあげはじめた。何事かを悩んでいる姿に、ルプスたちは顔を見合わす。

 見た目は手のひら大の白く丸い物だ。小さな突起が付いていることから何かを起動するための物かもしれない。

 見た目だけでは一体どんな効果のあるものなのかもわからない。ただし、あの場にあり、ルプスのスキルに引っかかった以上、まともな目的で作られたものではないことは確かだろう。

 重い空気が執務室の中を漂っていた。誰もが言葉を発せないまま、ギルドマスターの言葉を待っている。

 そして、しばらく時間がたった。


「これは、ここだけの話にしておいてほしい」


 手に取り見ていた魔道具を机に戻し、顔を覆いながら深く息を吐きだすギルドマスターの姿は、明らかにこの魔道具がどういったもので、今回どういった目的で使われたのかを理解しているようだった。


「絶対に漏らさないと誓おう。というよりも、それは俺らが聞いていい話なのか?」


 代表して同意を示しつつ疑問を投げかけたソウムに、重々しくうなずきが返る。


「正直なところ、知る人間は少ない方が良い。だが、こうして世の中に出たということはこれから先も似たようなものが使われる可能性がある。お前らは高ランク冒険者だ。他のやつらに比べて関わる可能性は高いだろう」


 だから、知っておくべきだ。

 そう言われ無意識に背が伸びた。部屋を満たす緊張感にただごとではないと判断する。


「あれは所謂『魔力活性化』の時期を人為的に起こすための魔道具だ」


 ざわり、と空気が揺れる。

 魔力活性化が引き起こすことはまさしくこの世の災厄だ。

 だが、ほぼ決まった周期で起こる為に対策も充分練られているのだ。だからこそ本来なら魔力活性化の時期が遠いはずの今、そんな魔道具を使えばどんなことになるかなんて容易に想像がつく。

 実際、今回の溢れもルプスたちが間に合ったから何とかなったが、あの時、あの場にルプスたちがいなければこの街も、下手すれば国ごと消えていた可能性も高い。

 そんなものを一体誰が、何のために作ったのか。

 そんな気持ちを隠さないルプスたちに、首を振りながらギルドマスターは口を開いた。


「正式な名前はわからない。だが、世界の崩落を企んでいる組織がある。その組織の出現もここ最近の話ではない。それなのにようやく外郭がつかめた程度。……下手に外で言いふらすなよ。この冒険者ギルドに素知らぬ顔をして所属していてもおかしくないのだ」


 コツコツと指先で机を叩きながら話し終えたギルドマスターの言葉に、誰もが無言になった。まさしく世界の危機である。高ランクと呼ばれる冒険者だとしても抱えるには荷が重い。しかし、先ほどのギルドマスターの言葉の通り、今回のようなことが起きれば自分たちもまきこまれる可能性が高かった。


「……それを俺らに言うってことは、俺らは少なくとも信じられていると考えてもいいか?」


 ふと気になったことを問いかける。誰が味方か敵かわからない状況でこんな話をして、もしルプスたちがその組織の人間だったらどうするのか、と。

 その問いかけも当然されると考えていたのだろう。口元をにやりと歪めた。そうするとただでさえ強面の顔がまるで山賊か何かのように見える。


「お前たちのことは信頼している。まぁ、最低限調べさせてもらっているがな」


 それは当然だ、と全員が頷く。組織の長として例え相手が誰であろうとも警戒心は必要だ。調べられたことに対する不満は無かった。


「まぁ、そういうわけだから、これは国の預かりになるだろう。そこでしっかり背後関係が調べられる。つまり、お前らが関わるのはここまでだ。これ以上下手に調べようとするなよ?」


 軽く釘を刺されたことに肩を竦めて了承を示す。

 確かに少し調べておくべきか、と思ったのは事実だ。しかし、話の通りであるならそんなことをしようものなら国に喧嘩を売ることになりかねない。痛くもない腹を探られるのはごめんだった。

 冒険者ギルドを出てからも沈黙は続く。

 戦い続けた疲労。そして、予想外に告げられた危機の存在。

 その事実に口も足も重くなっていたのだ。

 そして、誰が言うでもなく足は宿屋へと向かっていた。それぞれの部屋の前で手を振り引き上げた。腹は減っている気がしたが、食事をとる気にもなれず今はひたすらに休息が取りたい。

 それは全員一致した感情だっただろう。

 荷物を床へと投げ、ベッドへと倒れこんだ記憶を最後に、ぷつりとその日の意識は切れている。ただひたすら泥のように眠った。

 未だに残り続ける足の違和感は気が付かないふりをして。



少しでも面白いと思っていただけたら嬉しいです。

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