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ほんとに教訓か?

 運ばれてきた巨大なジョッキを傾けながら、彼は続ける。


「そのうちに借金取りが追いかけてくるようになってな、その街にはもう住めなくなっちまった。かと言って他に行くあてもない。俺は近くの山に行って、麓の洞窟にねぐらを作った。いくら暖冬とはいえ、冬の山は冷えたよ。売れ残した薪を燃やしながら、春を待った。


 そんなある日、一人の若い女が俺の住む洞窟に迷い込んできた。追手かと訝しんだが、どうやら違うらしい。彼女は『訳あって里を追われて、ここまで歩いてきたが、寒くて寒くてもう進めそうもない。少しでいいから、一緒に火にあたらせてくれないか』と言った。俺は、あんなことがあった後だから余計に怪しんだが、結局は招き入れることにした。彼女は…なんというか、美人だったからな。そして俺も若かったのさ。時間だけは飽きるほどあったから、二人でいろんな話をしたよ。俺がここにいるいきさつ、故郷、親兄弟のこと。そうこうしているうちに、その、そういう空気になってな…。」

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