レッドアップル
レッドアップルは商会から歩いて五分ほどのところにあった。
「おおい!」席につくなりジェイクは手を叩いて大声で言った。「ビールを二丁!それから、肴は今日は何が出てる?」
「今日はヒラタケのバターソテーと、イワナがありますから、塩焼きなんかいかがでしょう」
「ようしわかった。それをな、とりあえず二人前持ってきてくれ。それからすぐできるもの、そうそう、枝豆でも湯がいて出してくれ。ああ、塩を振ってくれればそれでいいよ、とにかく大至急頼むよ!」
ビールはすぐに運ばれてきた。ジェイクはそれをひっつかむと、「乾杯!」とブルーの前に差し出すと、盃を合わすのが早いか口に運んで一息に飲み干した。
「くぅー!やっとありつけたぜ!今日は暑かったもんなあ!まったくこたえるよ!おい、どうだ、兄ちゃん!やってるか!」
「やってるか、って、今始めたばかりじゃ…」
「ごちゃごちゃうるさいよ!いいから飲め!そして食え!」
「いや、食えって、まだ何も運ばれてきてないですよ」
「ごちゃごちゃ…」と言いかけてジェイクはやめた。「ま、さっき初めて会ったかりだし、あまりせっつくのもよくないな。悪かった。謝るよ」
言いながらジョッキをぐいと呷る。




