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夕刻に差し迫っている
「そんでこっちが…、ああ、まだ名前を聞いてなかったな」
「呆れた」ジェーンがぼやいた。「名前も知らないような人を連れてくるなんて」
「それで?君はなんて言うんだい?」
「ブルーです」
「ブルーくんか。なかなかいい名前だな。出身は?」
「タルホ村です」
「タルホ村か。あそこからの道中も、随分危なくなってるらしいねえ。よく一人で無事に来れたもんだ」
「いや、実は連れがいまして。村に入る前に解散…いや、別れて来たんですよ」
「そうかい。行商の仲間か何かか?」
「まあ、そんなところです。けっこう危ない目にもあって、彼らがいなかったら…」
「ストップ」ジェーンが右手を突き出した。「いい加減にしてください。ここは喫茶店でも居酒屋でもありませんよ。世間話だったらよそでやってもらえませんか」
「いい提案だな」ジェイクが頷いた。「ジェーンちゃん達、今日は何時まで?」
「は?」ジェーンはあっけにとられた様子である。




