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詰問
「次だ、早く来い!ぐずぐずするな!」
ブルーとジェイクは同時に呼び立てられた。二人は別々の小屋の前に立った。
「通行手形を」眼鏡をかけた役人のような男が、出窓の向こうから冷たい声で言った。ブルーが関札を差し出すと、彼はいささか乱暴にそれを受け取って、目の前の小机に広げた。
「名前は何という」
「ブルー」
「出身は?」
「タルホ村です」
「なるほど、村長は元気か?―ライザ氏は」
ブルーはどきりとした。「ライザ?村長はヤヌアールさんですが」
役人はわざとらしく頷いた。「そうそう、そうだったな。ヤヌアール村長は元気か?」
「最近は会ってないのでわかりませんが、病気だという話は聞いていません」
「ギンズバーグには何をしに来た」
「商売です。―手形にも書いてあると思いますが」
「商人か。若いのに大変だな。…ギンズバーグは初めてか?」
「いえ、何度か」
「ん?手形には通行印が押されていないが、どうやって入った?」
「五年ほど前までよく来ていたんです。そのころは自由に出入りできていたものですから」
役人の目がギラリと光った。




