暗いときほど楽しい話題を
二人の話を遮るように、門前の、ひときわ体が大きい兵士が怒鳴った。ブルーだけでなく門前に並んだ全員が身をすくめた。何というやかましい声だろう。まもなく重い音がして、門が開いた。ブルーの混ざった行列はぞろぞろと流れた。中にはもう一つ門があって、人々はその前で並んだ。外壁が二重になっていて、ブルーたちはその真ん中にいるようだった。二つめの門の前には出窓のついた小屋のようなものが設けてあって、そこを通る際に関の改めと、いくつかの質問を受けることになっている。ブルーはあたりを見回した。その誰もが口を聞かず、改め所目がけて歩いていく。
先程まで気楽そうだったジェイクでさえ、厳しい表情に変わり、陰鬱そうに歩を進めるだけである。かつての景色とは似ても似つかないな、と、ブルーはかつてを懐かしく思い返した。さっきジェイクも話していたが、彼が出入りしていたころは、門番こそいたものの、このようなものものしい人間はおらず、どっちかというと気さくな人間が多かった。通行人と手を振りあってあいさつさえすることもあったくらいである。それがどうだ、みんな、まるで囚人じゃないか。
「ひえええ!!!!助けてくれええ!勘弁してくれええええ!」
改め所の扉が開くと、衛兵が二人飛び出してきて、小屋の前で言い合いをしていた物乞い風の男を抱えるようにして連行していった。ジェイクがこちらを振り返り、目配せする。ブルーは青い顔で、とりあえず頷いた。




