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文化人としての才能
「そう考えた瞬間、私はここにいてはならない、と思ったんですよ。だから、姉御に誘われたのはラッキーだった」
「似たようなことは前も言っとったの。……これからどうするんじゃ」
「元の鞘に戻るつもりはありませんし、まあ、気楽に旅でもしようかな。久しぶりに大所帯を離れて嗅ぐ空気の匂いは、とても心地が良い。風の向くまま、南にでも流れてみます」
「詩人じゃのう」ソルフェがしみじみと言った。
「兄ちゃん」ブルーの後ろから声がした。
「なんだ」
「あたし、南には行かないよ」
ガーディンが目を剥く。
「この人たちと一緒にいる」
今度はブルーが目を剥く番だった。
「なんだって?」




