春は別れの季節
翌朝、関所が見えるか見えないかの位置で、「では、我々はこの辺で」とガーディンが言った。
「ほうか」とソルフェ。
「街までついてきてくれないのか?」ブルーが言う。
「兄さん、私らみたいなのはね、たとえ何枚手形を持ってたって関を抜けさしちゃくれませんよ。おたずね者ですから」
「なんじゃ、おどれらツラが割れとるんか」
「ええ、まあ、ちょっと昔、ヘマをこきましてね。でも、手配されているのは私と、ブライアンと、カルロスだけですよ。アケミの方はうまく逃げおおせまして」
「じゃろうな」ソルフェがニヤリと笑う。「どう見ても一人だけモノが違うからのう。――一つ聞いていいか」
「なんでもどうぞ」
「わしらとおどれが初めて戦った、あの川原な、なぜアケミをねぐらに置いてきた?」
「と、言いますと?」
「とぼけるな。あの日、あそこにいたのが有象無象どもではなく、こいつじゃったら、勝敗はどうなっとったかわからんいうことじゃ。アケミだけじゃない、そこの奴らも」と、ソルフェはブライアンとカルロスを指差す。「積極的には攻め込んでこんじゃったしな。どういう腹だったんじゃ、怒らんから言うてみい」
「いや、子供じゃないんですから……」と、頭を掻きながらガーディンが言った。




