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僕らが旅に出る理由
「いたっ!痛いな!何すんだよ!」
「何するもかにするもないわい。こんなァが黙っとるからじゃないの。減るもんじゃなし、話してやれィや」
渋々ブルーが顛末を話すと、アケミが泣き出した。
「ブルーくん、大変だったんだね」
またか、とブルーはため息をつく。
「だってさ、好きな人と離ればなれなんて、辛いよ。寂しいよね」
好きな人、とはっきり言われて、ブルーはたじろいだ。
「兄さんがそんなに入れ込むような娘さんだったら、一度拝んでみたいものですね」
「どうもわしよりええ女らしいからのう。そらあ別嬪じゃろうて」ソルフェがにやにや笑いながら言う。
別嬪どうこうより、お前はどこの馬の骨とも知れんような女じゃないか―。ブルーは思ったが、どんなひどい目に合うかわからないので口に出すのはやめた。




