適切なときに適切な技を繰り出すのが勝利の条件
「よかった、間に合って」いつのまにか、アケミが傍らに立っていた。手をくるくると回し、何かを手繰っている様子である。
「間に合ったって?」
「こいつはね、こういう武器をつかうんですよ」アケミの後ろから、ガーディンが答えた。
「ふたりとも、よく見て」アケミが両手を開く。目を凝らすと、彼女の手の間に、うっすらと糸のようなものが見えた。
「これは……」
「馬の尾をつないで、長くしたものなの。よく見れば見えないこともないけど、これを素早く動かすと」アケミが腕を一振りした。と思えば、地面に落ちていたソルフェの長刀がアケミの手元まで戻ってきた。
「この通り。魔法みたいでしょ」刀をソルフェに手渡して得意げである。
「ほおー、こがァな武器、はじめて見たのう」ソルフェは非常に興味を惹かれているようだった。
「でしょ、急いで戻ってきたら、ブルーくん、大ピンチになってるんだもん。思わず加勢しちゃった。余計なお世話だった?」
「いや、助かったよ。ありがとう」
「でも、とどめはナイフを使えばよかったのに」
「いや、刃物はあんまり得意じゃなくて……」
「どうせ、人を殺すのが嫌じゃった、とか甘ったれた理由じゃろうが」ソルフェは不満顔だ。
「じゃが、アケミの助けがあったとはいえ、二人もぶっ倒した膂力は大したもんじゃ。おどれは徒手の方が向いとるかもしれんのう」
「嫌味か、それは」




