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久しぶりの格闘
十数分ほど経っただろうか、よろよろと帰ってくる四つの人影があった。雨と血と泥で、着物はずぶずぶになっていて、非常に悲惨な見てくれである。思わず駆け寄ろうとするブルーを、ソルフェが右手で制する。
「よう、どうじゃったかの」
「骨が折れましたよ。奴ら、ずいぶんしつこい。でも、俺たちも山賊の端くれですからね、なんとか追い払って――」
ソルフェは居合で長刀を抜き、彼が話し終わる前に首をふっ飛ばした。雨の中、足元に転がってきた生首を見て、ブルーは腰を抜かした。
「ひえええええ!お、おい!ソルフェ!なにやってんだよ!気でも違ったのか!」
「クソ馬鹿たれ!よう見ィ!別人じゃ!」
別人?足元の生首をよく見ると、歪んだ顔でわかりづらいが、ガーディンとは違う男のようだった。
「さっさと立て」ソルフェは促した。「さすがのわしでも、この状況で寝とるやつを守りおおせる自信はないわい」
何も言わず立ち上がったブルーは、正面の三人を睨んだ。確かに、よく見れば一緒に旅している仲間とは背格好も微妙に違う。
敵は後ずさって、再び雨の中に消えた。




