いろいろ考えて寝付けない夜はむしろ寝ない方がいい
「まあ、気持ちは嬉しい。ありがとな。ただ、わしゃ手放しで人を頼るいうことが、いつの間にかできんようになってしもうてな。こんなァが言う家族のような関係というのは、わしには暖かすぎるというか、むず痒いというかのう。そういうもんを求めるには、わしは歳を取りすぎたようじゃ」
「歳って…。ソルフェちゃん、いくつなの?あたしよりずいぶん歳下に見えるけど」
「ああ…。ちィと飲みすぎたみたいじゃの。わしゃそろそろ休むわい。こんならも早よう寝ぇ。明日の行軍は長くなる。寝坊した奴は置いてくぞ」ソルフェは少し離れた木陰で丸くなった。なんとなく気まずい空気が一同を包む。それから、おやすみを言うでもなく、おのおの横になった。
ブルーはなかなか寝付けなかった。いろいろありすぎた一日のせいで目が妙に冴えている。この旅路の先にきっといるであろうエイプリルのことが頭から離れない一方、村に残してきた家族やじいさんのことも気がかりである。ソルフェは自分のことを全然話したがらないし、なぜか盗賊の一味を仲間にしてしまうしで、全体何を考えているのかわからない。ソルフェ、一体お前は何者なんだ――




