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心配事の9割は起きないらしいが…
「嫌な予感がする。村に戻ろう」妙な胸騒ぎがする――
「それはダメじゃ」ソルフェが言う。
「なんでだよ。場合によっちゃ、じいさんが、いや、家族が危ないかもしれない」
「だからじゃ。これはわしの勘じゃが――恐らく罠じゃぞ」
「罠って……」
「じいさんも言うとったじゃろうが。どうもそのヤヌアールいう男、得体が知れん。これでノコノコわしらが戻って行ったら、どうなるかわからんぞ」
「でも――」
「しっかりせい!」ぐずるブルーにソルフェが喝を入れる。
「おどれ、これから何しに行くんじゃ!囚われの姫様を救いに行くんと違うんか!いいか、これはわしからのありがたい助言じゃと思うて聞け。二度は言わんぞ。
事を為そうとする時はな、いろんな雑音が気になってくるもんじゃ。それも、普段は気にもせんかったような雑音がな!先々に待ち受けとる出来事への不安が耳を良うさせるんじゃ!じゃがよ、それにいちいちよそ見しとったら、成るもんも成らんので!ええか、今は姫様のことだけ考えとれ!」




