ごちゃごちゃ抜かすとたたっ斬るぞ
「おい、ソルフェ!なにやってんだよ!」
「うるさい、口を挟むな」
「まったく、修行が足りんぞ、嬢ちゃん。そんな慌てようじゃ、認めちまったようなもんじゃないか」じいさんが余裕たっぷりに言った。
「ぬかったわい、わしともあろうもんが」悔しそうに彼女は呟く。
「安心しろ、ワシはなにも知らないし、思い出してもいない。何しろ、ボケ老人じゃからな、思わぬことを口走ることもある」
「そがァな言い分で、わしの気ィが収まる思うとるんか」
「収まるさ。ワシを斬るのは自由じゃが、その後、何事もなかったようにあんたの目的――本来の目的を果たせるか?」
「二人とも、何言ってんだ?いいから、おい、ソルフェ!ソルフェージュ!刀をしまえって!」
「クソッ!」ソルフェージュは、目を血走らせたまま刀を鞘に納めた。じいさんは動じた様子もなく言う。
「嬢ちゃん、ワシの願いはな、エイプリルに生きたまま会いたい、それだけなんじゃ。それが叶うなら、なんでもするよ。金はいくら出しても惜しくないし、必要ならメンツだって切り売りしてやる。裏返せば、他のことはどうでも、どーでもいいんじゃ。じゃからもし、それを妨げるようなことをすれば」
じいさんは聞いたこともないほどドスの聞いた声で言った。
「あんたが何者だろうが、容赦せんぞ」




