寿命を自分で縮める気?
「さて、じゃあ、そろそろお行き」じいさんが言うと同時に、二人は立ち上がった。
「じいさん、茶をごちそうさま」ソルフェージュが言った。
「そういえば……」と、じいさんが彼女を呼び止める。
「ブルーの用心棒をしてくれるということじゃったが、どうじゃ、実のところ、報酬は足りとるか?」
「報酬?そんなもん、考えとらんですよ。まあ、道々話し合いますわ」
「ふむ、あんたも奇矯な人間じゃなあ。金がもらえるかもわからんような、ただ見知らぬ他人を助け出すための冒険にくっついて行く?しかも、かなり危険が伴う旅じゃ。この話――」
じいさんは明らかに訝しんでいるようだった。
「あんたの落とし所は一体どこにある?」老人とは思えない、鋭い目線だった。
「落とし所言われても……、わしのはただの暇つぶしですけん」ソルフェージュは明らかに動揺しているようだった。
「暇つぶしのう……。そういえば、同じように少女を用心棒にして旅をしている男に、どこかで会った気がするな。よく見れば、連れはあんたに似ている女子じゃった。喋り方までそっくりだったような……。あれはどこだったか。北方じゃったかのう?」
「じいさん、やめとけ」ソルフェージュは顔を引きつらせて言う。「人間思い出さんままのほうがいいこともあるんで」
「そうだ、リプサリスの港町だった、でもあれは戦時中じゃったから、もう40年も前……」
「そこまでじゃ」ソルフェージュが瞬く間に抜刀し、じいさんの首元に白刃を突きつける。
「それ以上余計なことを言うたら、首を刎ね飛ばすぞ」




