晴れた日に外で食べるお弁当っていいよね
二人が玄関先に出ると、家族はすでに見送りの準備を整えていた。
「気をつけてね。これ、お昼包んでおいたかから。どこかで落ち着いたら、二人で食べなさい」
「ありがとう」
「それから、ソルフェージュさん、くれぐれもこの子をよろしくおねがいします」
「まかせときんさい」とソルフェージュ。
「俺から何もやるものはないが……」父が言いづらそうに喋る。
「じいさんのところに挨拶していけよ。ひょっとしたら、なにかアドバイスをくれるかもしれん」
「……わかった」
「出ていくんなら勝手に出てけよ」兄が毒づいた。
「おい」すかさずソルフェージュが凄む。
「このうえガタガタ吐かすようじゃったら、わしが相手しちゃる。遠慮はいらんよ、いつでも来んさいや」
兄は完全に根負けしたようだった。わざとらしく肩をすくめると、さっさと家の中に入っていった。
「すみませんね。最後まで」母が代わりに謝る。「あの子だって、内心は寂しいと思っているはずなんですが……」
「おい、ブルー」と再び父。
「なんというか……、いままで、気苦労かけたな。あの事件にしたって、みんな、お前も被害者だって、心の中ではわかってたんだよ。でも、誰かのせいにしなけりゃ、やっていけなかった。人が一人いなくなったってことは、そういうことなんだ。仕方がないじゃ済まない。お前が責められてたのは、そういうことなんだ。だから……」
「もういいよ、おやじ」ブルーは優しく言う。
「わかってるから。それに、おやじはあれだけ僕と一緒になって謝って、そのうえ罵られてくれたじゃないか。それだけで十分だよ」
「うん……。すまん……」父の目から涙が溢れる。同じように、ブルーの目からも。
「じゃあ、行ってくる」
「おう、気をつけろよ」
それから先は、振り返らずに進んだ。




