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どこからともなくやってきた少女が全員ぶっ殺す!俺の代わりに!  作者: 爆裂ムービングジャマイカ
第三章 さらば、俺の村~しばらく殺しはおあずけ~
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一番好きな食事は朝飯です

「いやあ、すまんのう、こがァにもてなしてもろうて!朝飯まで馳走になるつもりはなかったんじゃが!んん?この魚はなんですかいのう?えろううまいが」食う気マンマンだったくせによく言う、とブルーは思った。


「そこの川で獲ってきたニジマスです」ブルーの母が答える。


「ほうですかい。初めて食ったが、こらあええもんですのう」


 少女―ソルフェージュは、大変にご機嫌だった。ことの成り行きを説明するのはブルーの役割だった。もっとも、家族には、寝付けずに出た散歩先で野盗に襲われ、そこを彼女に助けてもらった、と説明した。まさか単身ギンズバーグに乗り込むつもりだったとは言えない。


 ブルーの両親は、目に見えて困惑していた。そりゃそうだ。普段はほとんど口も聞かない息子が、恩人だと言って年端(としは)も行かぬ――しかも妙な喋り方の――少女を連れてきたのだから。


「あーあ、次から次へとトラブルを持ち込みやがって。どれだけ迷惑かければ気が済むんだよ、お前は」


 悪意をむき出しにした言葉に、ブルーの身が固まった。呟いたのはブルーの兄である。


「当然今日はお前、朝飯いらないんだよなぁ?人数分しか用意してないんだからな。だいたい、夜中に散歩に出て、襲われるってなんだよ。相変わらずノロマなんだな、お前」


 ブルーは何も言わない。どころか、両親すらうつむいたまま無言でいる。その沈黙は、家族全員が同じ意見ということを暗に表明していた。そう、この空気、あの日から五年間、一日たりとも変わらないこの空気が、ブルーにはこのうえなく苦痛だった。


 マスの小骨を口からつまみ出しながら、ソルフェージュが兄をちら、と見た。


「あんまりええ男じゃないのう」


ブルーは吹き出した。同時に兄は真っ赤になった。


「お前みたいな、どこの馬の骨かもわからんような女に、認めてもらいたくなんかないんだよ!」


「あァ?なんじゃおどれ。ええか、男っぷりいうんはの、嫌味と負け惜しみが、どれだけ少ないかで決まるんで。よう覚えとけ。その基準からすりゃ、おどりゃあ落第どころか、零点じゃ。つまり、女の腐ったような奴、いうことじゃな」


 激怒した兄が、ソルフェージュに掴みかかろうとズカズカ歩み寄った。彼女は気づかぬふりをして朝食を続けている。


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