またも美少女と寝る
「わかった。僕がつけてやるよ、少し待ってろ」しかし、ブルーは頭を抱えた。なにしろ、いままで名付けというものをしたことがないのだ。犬を飼ったこともないし、弟や妹の名を考えたこともない。さて、どうするべきか。しばらくうんうん唸っているうち、あることを思い出した。
かつて、姉さんがしてくれた話の中に、それらしいのがいたはずだ。たしか、戦争で両親を亡くした女の子が、戦場で父親を殺した男を用心棒に雇って、諸悪の根源である王を倒しに行く話だ。話の筋としては単純だったが、少女が、義理堅く、厳しくも優しい親の仇に鍛えられて、肉体的にも人間的にも成長していく様子に、エイプリルと僕は熱狂したものだった。あの少女の名前はなんといったか……、ソ、ソル……。
「ソルフェージュ、ソルフェージュだ」彼は叫んだ。
少女は寝ていた。せっかく名付けてやったのに、とブルーはため息をつきながら、彼女に上掛けを被せてやり、関札を持って部屋を出た。
ブルーが家を出るとほとんど同時に、少女は体を起こした。
「すまんのう、本当のことを言うわけにはいかんのじゃ、それにしても――」クックッと彼女は笑う。
「ソルフェージュか、全く。ええ名前をつけてくれたもんじゃ」




