エイプリルに会いたい
急に笑い出した少女に、ブルーは驚くと同時に、少しく怒りを感じた。
「なんだよ、なんで笑うんだ。なにかおかしいかよ!」
「あはは、すまんすまん。しかしまあ、辺鄙な村から、囚われのお姫様を助けに行くか、なんと古典的な……。スーパーマリオか、こりゃ」
「なんださっきからブツブツと」
「いや、こっちの話じゃ。のう、ブルーよ、さっきの話じゃがよ、ずいぶん無理があることに自分で気付いとるかの」
「どこがだよ」
「まず、おどれの姫様、エイプリルとかいうたかの、そいつがギンズバーグにおるかどうか、そこからじゃ。騒ぎのさなかに、人身売買専門の人さらいに誘拐されて海の向こうにいるかもわからんし、もっと言えば単なる家出かもしれんじゃろ。こんなァの話によれば、娘ッ子は、行きたいところがあるとか、店を持ちたいとか、そんなことを考えとったようじゃないの」
「それはそうだけど、実家はともかくとして、僕にも何も言わずに出ていくはずはないよ」
「よっぽど信用しとるんじゃな。まあええわ。よしんば体制側にさらわれたとしてで、まだ生きとる証拠がどこにあるんよ。そがァに(※1)重要なもんを見てしもうた女、わしなら即殺してしまうがのう。」
「それはそうかもしれない、でも」ブルーは言葉を切る。
「それは大丈夫だと思う」
「なぜそう言い切れる?」少女は問い直した。
「それは……」ブルーは言い澱んだ。
「ええから言うてみ。何が役に立つかわからんぞ」
「僕にはわかる。エイプリルは殺されないよ。なぜなら」
「なぜなら?」
「なぜなら、彼女はとても美人だから」
「は?」少女は呆気に取られたような顔をした。
※1・・・そんなに




