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すべてを白状します

 ブルーは観念して話し始めた。


 ――自分にはエイプリルという幼馴染みがいたこと、ギンズバーグへの幾度もの旅、ヴァネッサのこと、そして、あの日、市長が死んで、エイプリルがいなくなった日のこと。帰ってからの村八分の日々、そして、片時も忘れなかったエイプリルのことを。


「それで?」少女は言った。


「それで、この5年間、僕はエイプリルを救い出すためだけに生きてきた。嫌いだった野良仕事も進んでやった。体が鍛えられるから。兄貴にどれだけ嫌味を言われようが、体を強くするために食事はしっかり摂った。親父と一緒になんども村長の家に詫びに行った。何度罵られようと。何度殴られようと。何度も行ったさ。」


「ヴァネッサ姉さんが死んでギンズバーグで商売ができなくなってから、この村には、村長以外この国が今どうなっているのかを知っている人間がいなかったからな。それで、なんとか口を聞いてもらえるようになってから、聞き出したよ。ギンズバーグが実質アイリス帝国に支配されて、ダリア国王でさえ手が出せないってこと。あれだけ賑わっていた街も、もう限られた人しかいないこと。姉さんが死んでから、新しく市長になったのがあのギリアムとかいうアイリス帝国の貴族で、姉さんの側近や、支持者を全員殺してしまったこと。」


「その話を聞いて、僕はわかったんだ。すべてはことギリアムが仕組んだんだ。すべてはギンズバーグ、あの街を手に入れるための策略だったんだよ。その駒の一つに、姉さんが使われたんだ。たぶんエイプリルも、姉さんが殺される瞬間か、その殺しがギリアムにつながる決定的なものを見て、誘拐されてしまったんだ。だから僕は、あの街に行って、おそらく市長のいる城に囚われているエイプリルを助け出さなければならないんだ。ああ、かわいそうに、エイプリル。5年も閉じ込められて―」


「アハハハハハハハ!」


 途端に少女は笑いだした。


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