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その嫌味はもはやハラスメント

――5年後


 ダリア王国の東北東に位置するホソノ村の片隅で、青年は猛烈に鍬を振るっていた。日は高く、首筋を焦がすようだ。しかし、そんなことに構う様子を微塵も見せず、彼はひたすらに畑を耕していた。この5年間で、ブルーの体格は見違えるように大きくなった。それは、1つには、ギンズバーグシティが閉ざされてしまったことによる。ギンズバーグシティの出入りが厳しくなり、隊商たちがより儲けの出る他の地を本拠地としてしまってからの彼らは、食べていくためにもう一度野良に精を出すことになった。毎日のように体を酷使するその仕事は、ブルーの体格をみるみる大きくした。そして、もう一つは――。

 母が呼ぶ声で、ブルーは手を止め、家に戻った。昼食である。ブルーは黙々と食べ始める。何も言わずに家族でる食事にも、もう慣れていた。なんとなく重苦しい空気が流れる中、兄が喋り始めた。


「あれからもう5年になるのか」


 母の、やめなさい、という視線に気づかないふりをして、彼は続ける。


「辛かったなあ、あの後。まさか村長の娘を、町に置いたまま帰ってくるなんて。肩身の狭いことったらなかったよ。誰ひとり俺たちと口も聞いてくれないんだもんなあ。最近は親父のおかげで話くらいはしてもらえるようになったけど、それ以外はほんとに無視だもんな。不作でも誰も助けてくれやしない。一家で飢え死にしかけたこともあったっけ。祭りにも参加させてもらえないし。なんでこんなことになったんだろうな」


 ブルーは(うつむ)いている。


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