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じばく男と肉欲処女  作者: 釧路太郎
淫欲八姫

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第29話 君の攻撃方法は自爆して相手もろともってやつさ。

 すぐ隣で寝ているアスモちゃんがいなければ、俺はきっと自分を見失っていただろう。

 ぐっすりと眠っているので何のリアクションも返してはくれないが、こうして隣にいてくれるという事だけで俺は安心していられるのかもしれない。万が一の時は、アスモちゃんが起きてどうにかしてくれるんじゃないかという期待があった。

 こんな可愛い子にそんな事を期待してしまうのはおかしな話かもしれないが、今の俺にはそう願うことしか出来ないのだ。


「君は自分の事がわからなくなってしまっているみたいだけど、その答えを教えてあげようか? 君はどうして自分がこの世界に連れてこられたのかわかってないだけなんだと思う。でも、アタシが言う事なんて正しいとは限らないと思っているんだろうね。だけれど、アタシの話も聞いておいても損はないんじゃないかな。アタシの言ったことを嘘だと思うんだったら、それ以外の話を信じればいいだけだしね」


 俺を試すように小さく笑ったのが気になるが、このサキュバスのお姉さんの言っていることもあながち間違いではないような気がする。このサキュバスの言っていることを信じないという事は、他の人の言う事を信じる。もしくは、このサキュバスと同じことを言っている人を避けることが出来るという事なのかもしれない。

 ただ、残念なことに、この世界における俺の存在価値というものは誰からも教えて貰っていないので、このサキュバスの言う俺がこの世界に来た理由というのは何なのか。それを聞いてから判断するのも遅くないだろう。


「何で君が知っているのかな。俺は自分でもなんでイザーちゃんがココに俺を送り込んだのかもわかってないんだけど。もしかして、君とイザーちゃんは知り合いだったりするの?」

「全然知り合いじゃないよ。八姫はこの世界では有名人だし、名前くらいは誰でも知っているよね。もしかしたらだけど、イザーちゃんはアタシ達の事を知っているかもね。って可能性の話だけど。でも、アタシは八姫と関わることなんて無いし、これから先も関わるつもりはないよ。だけど、君とはこれからもちょくちょく会っていたいなとは思っているよ。だって、君ってこの世界で凄く重要な使命を与えられるんだからね。今はまだ誰もソレについて教えてあげてないだけだと思うけど、特別にアタシが教えてあげようか?」


 俺に与えられた使命なんて聞かなくてもわかっている。

 八姫という何か凄い存在であるイザーちゃんがわざわざ俺をこの世界に連れてきたってことは、イザーちゃんと敵対している名も無き神の軍勢に対する手段としてだろう。

 俺に何が出来るのかはわからないし、今の俺が役に立つとは思えない。でも、そんな俺がこの世界で特訓でもして名も無き神の軍勢を滅ぼす。きっとそんなところだろう。


「教えてくれるのはありがたいんだけど、イザーちゃんの関係者でもない君が知っているの?」

「何で知ってるかと言われたら、アタシたちのこれからの生活にも関わってくることになる話だから、知らされているとしか言いようが無いよね。アタシたちだって巻き込まれるのはイヤだし、君がアタシたちを巻き込まないようにするのはほぼ不可能だからね。それくらい君は凄い力を持っているんだよ」


 サキュバスのお姉さんを巻き込んでしまうくらいの強い力を持っているという実感はないのだけれど、正直に言うとそれくらいの力を与えられても不思議ではないと思っていた。俺の置かれている状況を考慮すると、まるで物語の主人公にでもなったような気分なのだ。ただし、今の俺は何に対しても戦う力というものを持っていない。

 その辺を歩いている人に喧嘩を仕掛けたところで、俺が勝てる保証はないだろう。むしろ、完膚なきまでにやられてしまうという可能性の方が高いように思える。この世界の住人は、日常的に戦いが行われているせいなのか、一人一人が特別な格闘技を習得しているのではないかと思うくらいに体つきも動きも強そうに見える。

 アスモちゃんは見た目こそ小中学生に見える幼さも残っているのだけれど、その見た目と反し恐ろしいほどの力と正確に急所を狙っている攻撃が歴戦の戦士をも超えるのではないかと思わされていた。体重だけで言えばアスモちゃんの三倍以上はありそうな大男も一方的にやられていたし、戦っている時のあの目を俺に向けられてしまったとしたら、何も出来ずに戦意を失うだけだろう。


 そんな人たちを日常的に見ているこのサキュバスが言う、俺にある凄い力とは一体何なのだろうか。

 もしかしたら、俺もアスモちゃんのように見た目ではわからない凄い強いことになるのだろうか。

 きっと、相手の素早い動きすらも止まって見えるほどの能力があるのだろう。

 昔の映画のように自分よりも圧倒的に強くて手足も出ないような相手ですら、覚醒した俺の敵ではなくなる。そんな特別な力が俺に備わっているという事だろう。


「俺が持ってる力って、これからどんどん高めていくって事?」

「それは割と迷惑なことになりそうだね。今の君の力よりも強力になっちゃうと、八姫の計画も狂っちゃうんじゃないかな。そうなっちゃうと、君をこの世界に呼んだ理由が無くなっちゃうと思う」

「俺の力って、そんなに凄いの?」

「凄いなんてもんじゃないよ。範囲を限定しなかったとしたら、この世界の半分は吹き飛んでしまうんじゃないかと思うくらいに凄いって」


 この世界が地球と同じだとして、それを半分も吹き飛ばすというのは盛り過ぎのような気もする。

 さすがに俺が夢見がちな少年だったとしても、そのくらいは不可能だろうと考えることは出来るのだ。


 ……範囲を限定しなければ。

 逆に、範囲を狭く限定してしまえば、とんでもない威力の攻撃になるという事ではないだろうか。


「もしかして、その範囲を狭くしたら凄く強い攻撃になるって事?」

「もちろんそうだよ。君の攻撃範囲をこの部屋内だけにしたと仮定すると、君の攻撃を耐えきることなんて誰も不可能だよ。神だとしても、君のその攻撃から逃れることは出来ないみたいだよ。それってつまり、君が敵対する相手の近くに行くだけで勝利って事になるね。君の犠牲のもとに世界は救われるのかもしれないね」


 君の犠牲のもとに世界は救われる。


 俺が犠牲になると世界が救えるという事なのか?


「君が行う自爆は自分の力だけではなく、相手の力も使ってるからね。自分の力だけではなく、相手の力を使う自爆攻撃なんて、いい迷惑だよね」

「……自爆?」


「そう、君の攻撃方法は自爆して相手もろともってやつさ」


 自爆攻撃なんて、格好良くない!!

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