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じばく男と肉欲処女  作者: 釧路太郎
淫欲八姫

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第28話 アタシはたくさん経験してきているから。

 サキュバスの言葉を信じるほど俺は愚かではないが、サキュバスの言葉を嘘だと否定するほどの材料を持ち合わせてはいない。

 アスモちゃんも嘘をついているとは思えないし、あの皇帝カムショットだって嘘をついているとは思えない。

 誰一人として、嘘をついているとは思えないのだ。

 それなのに、誰の言葉も真実のように聞こえ、誰の言葉も嘘なのかもしれないと思ってしまう。


「アタシが一人で君に会いに来たのはちゃんとした理由があるんだよ。他にも何人か誘ってはいたんだけど、途中で他の男に目移りしちゃってここまでたどり着けなかったのさ。ほら、この世界って欲望を抑えた男が多いだろ。そんな奴らを見ちゃうと、ついつい手を出してしまいたくなるし、男の本能を刺激したくなっちゃうってもんなのさ。だって、この国の人も名も無き神を信じている人たちもみんなみんな己の欲望を内に秘めて強くあろうとしているんだもんね。君みたいな人も中に入るんだろうけど、君は最後の一歩を踏み出す勇気がないだけだったりするのかもね。本当は君だって色々としたいこともあるんだろうけど、それを自分から行動に移すことが出来ない。ただそれだけの事なんだよね?」


 俺とは目を合わせないようにしているサキュバスのお姉さんはなんだかんだ言ってアスモちゃんが起きないか心配なのかもしれない。俺だって今すぐアスモちゃんが起きてくれればいいと思ってはいるのだが、残念なことにどう頑張っても深い眠りについているアスモちゃんを起こすことなんて出来そうもなかった。


「君がアタシに対してあんまり良い感情を持ってないのは仕方ないと思うんだけど、そんな風にちゃんと感じてくれてるってのは嬉しいよ。ほら、こんなアタシの事を見てるだけでも興奮してくれてるのがわかって、アタシは本当に嬉しいよ。何か言ってごまかそうとしているみたいだけどさ、君の可愛らしいソレが全てを物語っているね」


 サキュバスのお姉さんの視線が俺の顔から下へと移動していたのは気付いていたし、俺はそれを防ぐように体勢を変えてはいたのだが、やはりこのサキュバスのお姉さんは気付いていたようだ。

 俺だって年頃の男の子なんだし、こんな裸同然のエッチなお姉さんがベッドのすぐそばにいると体は反応してしまうのも仕方ない。

 なんだったら、アスモちゃんが隣にいる時点でも少し興奮していたりしたのだ。


「そんなに恥ずかしがって隠さなくてもいいんだよ。アタシは別にそういうの嫌いじゃないし。というか、慣れてるからね。君と違って、アタシはたくさん経験してきているから」

「そんなのはどうだっていい。ここに来た目的はもうないんだろうし、さっさと帰ってよ」

「別に帰ってあげてもいいんだけど、きっと君はアタシに早く帰って欲しいって思ってるんでしょ。そう思ってそうだし、もう少しここに残っちゃおうかな」


 完全に俺の事をからかっているのがわかるのだけれど、俺は強く出ることが出来ない。

 何か言おうと思っても全てそれ以上の力で返されてしまっているし、これ以上何も言わない方が自分のためだと思い、俺は沈黙を選ぶ。

 それが正しいのかはわからないが、そんな俺を見てサキュバスのエッチなお姉さんは更にからかうように俺を見つめてきた。


「君はどうしてこの世界に来たのか悩んでいるんでしょ? その答えを誰も教えてくれないのはどうしてなんだろうって思っているでしょ? アスモちゃんだって教えてくれないし、皇帝カムショットだって教えてくれない。君が今知っていることは、この世界に君の恋人のイザーちゃんがいるって事だけなんだよね?」


 何でそれを知っている。と言いかけたが、このサキュバスのエッチな半裸のお姉さんにそんな事をってしまうと、余計に俺の事をからかうだろうと思って黙っていた。

 黙っていたのだけれど、このサキュバスのエッチな半裸で乳首が見えそうなお姉さんはベッドに肘をついたまま体を揺らして俺を見てくる。

 俺は催眠術にかかってしまったのか、左右に揺れ動くサキュバスのエッチな半裸で乳首が見えそうなお姉さんの立派な乳房から目が離せなくなっていた。とんでもない魔法を使いやがると思いながらも、魔法に対して抗う方法を知らない俺は抵抗する事も出来なかった。


「誰も君に本当の事を教えないのはどうしてなのか。それは簡単な話で、今の君にその事を伝えてしまうと、きっと君は壊れてしまう。そう思っているからなんだろうね。イザーちゃんがどうして君をこの世界に連れてきたのか。君を連れてきたイザーちゃんとこの世界にいるイザーちゃんが同じ人物なのか。それすらもわかっていないと思うんだけど、君は本当に君なのかな。今まで普通に生活をしていた君と今こうしてアタシと話をしている君は同じ君なのかな?」

「言っている意味が分からないんだけど。俺は俺だし、イザーちゃんだって俺の知っているイザーちゃんでしょ。まだ会えてないけど、俺の知ってるイザーちゃんだってわかるし」


「離れていてもわかる絆ってやつなのかな。でも、君とイザーちゃんの間に本当に絆なんてあるのかな? 君が一方的にイザーちゃんに対してそう思っているだけだったりするんじゃないかな? どうして君がイザーちゃんに選ばれたのか、その本当の理由を知りたいって思ってたりするんじゃないのかな?」


 俺はこの女の催眠術を破ることは出来ないのかもしれない。

 段々と、俺がいったい誰で俺は何者なのか、わからなくなってきてしまっていた。

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