第14話 冒険者ギルド1
冒険者ギルドに到着したら、中ではガレットさんが待っていた。
「おう! 待っとったぞぃ」
そう言って受付の女の人の方に歩いて行った。ギルドの中にはリアナさんも待機している。
「ギルド長がお待ちです。リアナさんも一緒にギルド長室にお入りください」
受付でそう言われ、俺たちは2階に案内された。
◇
「……でこれを作ったと」
こういった武器をなぜ作ったのかという経緯を聞かれたので、詳しく話をしたところだ。リアナさんもそれをフォローしてくれた。
「確かに、事情を聞くと冒険者ギルドからの依頼に関することが発端のようだ。して、この武器は本当に人間への殺傷能力はないのか?」
ギルド長は、これが一番重要なことであると言い、そこを一番に確認してくる。
「人を攻撃することが出来ない仕組みを持つ武器は、それが証明されればB級武器として分類される。量産も騎士団への届け出だけで済ますことが出来るんだ」
(マルコさんも説明してくれる。人に向けての発射は出来ないようにしているので、最終的には人への殺傷能力が無いと判断されると思うのだけれど、さて、それをどうやって証明するかだ)
「実際にやってみましょうか?」
「いかんいかん、人で試すのは容認出来ない!」
ギルドマスターは大慌てだ。
「いえ、その…… 人ではなくて、人によく似た人形でも同じように判断されるはずです。あと、魔物に対してどの程度有効な武器なのか、実際にお見せすることもできると思います」
そう、後方支援であることを考えて前に人がいる場合、ほぼ向こうを向いているだろう。そこで、髪の毛だけでも人間だと判断できるAI機能をプログラム化している。
スキンヘッドの場合は? と聞かれそうだが、勿論人の頭と判断する。しかし、デモンストレーションには向かないだろう。
「但し、その人形の髪の毛は実際に人の髪の毛でなければ、人だとは判断できません」
「分かった、ギルド内に散髪屋があるので、そちらで用意させよう」
30分ほど待っていると、受付のお姉さんが地下の訓練場に行くようにと俺たちを案内してくれた。
「では先ず、魔物を倒す武器としてのその能力を見てもらおうかの」
「この訓練場では弓や投擲の訓練もできるように地下をくり貫いて作っているから、標的までの距離は百マタールまで設定することが出来る。リアナ、早速やってみてくれないか」
今回50mの距離で標的を10個、そして百m先にも標的を10個立ててある。壁は魔法が当たっても壊れない構造にしてあるから心配しなくていいらしい。
標的の大きさは、昨日俺が設置した標的よりも大きめだ。大型の魔物を想定してあるのだろう。
「りょーかーい、じゃあいきますよー」
リアナさんが片膝をついて構え、一呼吸おいて射撃が開始された。
トリガーを引くと肩にも反動が加わって体が僅かに振動し、銃口からは光の塊と化したファイアボールが発射される。それとほぼ同時に50m先の標的は、豪快な音を立てて次々と砕け散ってゆくのだ。
結果、10秒とかからないうちに、20個すべての標的を撃ち落とした。
「気っ持ちいいー」
(そう言いながらリアナさんが爽快な笑顔で振り向いたけど、水泳選手か?)
「これはなんと! かなりの正確性ではないか! それも、すべての標的が粉々だ」
ギルド長のヴァルターさんも目を丸くしている。
「それでは、次に人へ向けられた場合の安全機能について検証します」
(実はまだ現場での検証は実施していないが、デバッガーを使った検証は行っている。多分大丈夫だとは思うが……)
10マタール先に、人間のマネキンを置く。人の髪の毛を散髪屋から調達してうまく乗せてある。
「では、いきますよー」
リアナさんは、ちょっと緊張気味だ。マネキンに向けてトリガーを引いた瞬間、ライフルからは断続的な警告音が鳴って、ファイヤーボールは発射されない。
警告音が出てトリガーが途中で止まるように作っているので、トリガーは最後まで引けなかったようだ。現場での検証がうまく行ったので、俺はひとまずほっとした。
「発射されませんでしたー」
「私がやってみてもいいかね」
ギルド長は自分がやってみて確認しなければ納得しないようだ。リアナさんがワザとやっているかもしれないからな。
「はいどうぞ。右手でこれを持って、左手でここを持って……」
渡した後、リアナさんが使い方を説明してくれている。
ギルド長は、標的とマネキンとを交互に狙いながらトリガーを引いていた。
半分だけ飛び散っていた百m先の標的も全て吹き飛んでいくが、マネキンを狙ってトリガーを引くと、リアナさんの時と同じように警告音が発せられて光弾が発射されることはない。
「これは良い武器だ。命中率が非常に高くて威力もある。何よりも、人への危害が及ばないように工夫されている。して、この武器の名前は何というのだ?」
(みんなが一斉に俺の方を見る。あちゃー、考えていなかった!)
「ま、魔道ライフル?」
(少し焦ってしまい、日本での名前が出てしまったが、まあいっか。分かる人は誰もいないのだから)
「アルフレッド君、そしてガレットよ。この武器をあと10個くらい作ってくれないか。騎士団の連中には俺の方から報告書を出しておく。最近は農家の作物や家畜を襲う魔物の数が増えているのだが、この武器があればだいぶ楽になる。どのくらいの期間がかかるだろうか?」
(10個ではなく、10挺って言うんだけどね)
「一つ目はだいぶ試行錯誤しながら作ったんで時間がかかったが、同じ物を作るんだったら早いぞい。そうさな、だいたい1日に1台くらいの割合で作れると思うぞい」
(1台でもなく、1挺なんだけどね。この世界にはライフルが無いからな)
「私の方も大丈夫です。魔法陣は複製するだけですから」
「そういう事か。ところでアルフレッド君。君、冒険者ギルドに登録しないか? 今回の様な有用な武器の開発者であれば、王国から報酬が出る場合も多い。勿論冒険者ギルドからも依頼料を出そう。その場合は冒険者ギルドカードが必要なのだ」
俺はその場で冒険者ギルドの登録を行う事になった。ランクはもちろん最低ランクのFランクだ。
(やったーこれで俺も冒険者だー! ……だよね?)




