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青の眼差し  作者: 窪田楓
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疑問

13.

 自室に戻ったシンラとガイ。

 当番でやるべきことも終え、朝食も取った彼らは暇を持て余していた。


「特に指令もないと暇だな」


 先に口を開いたのはシンラだった。


「今のところやれることは全部やったからね」


 再びの静寂。だがガイにとって気まずい空気を感じて無理に話題を作ったり、何か話を振ったほうが良いだろうか、というところにまで気を遣わなくていいのは相手を信頼している証拠だった。

 ガイ、シンラ、レアナ、ルナは孤児だが、中でもガイが仲良くなったのはとある人物を除いてはシンラだけだった。

 身寄りも家族もいないことでよくいじめられていた彼を守ってくれたのが、他でもないシンラだったからだ。


『困った時は俺を呼べよ』


 そう言ってシンラはよく手を差し伸べてくれた。

 最初は同じ孤児だから同情されているのかと思ったが違った。相手が誰であろうとシンラはタチムカウ。そしていつもその手を差し伸べるのだ。

 そうやって繋がっていった人たちの中にレアナやルナがいて、この4人は特に仲良しになった。養成所でも、プライベートでも辛いことがあった時も、必ずシンラは手を差し伸べてくれる。


「ありがとう」


 今度はガイが口を開く。


「シンラのおかげでここまで来ることができた」

「……何だよ急に」

「ただ感謝を伝えたかったんだ。シンラが友達で本当に良かった」

「そうか」


 シンラが突然向こうを向く。


「どうしたの?」


 あわててガイが尋ねる。


「いいや、別にそこから何でもねぇよ」


 そう言いながらも目頭を押さえているのが分かる。

 ああ、本当にシンラと知り合えて良かった。これまで辛い時も苦しい時もたくさんあったけれど、ガイは今この瞬間がただただ幸せだった。

 こんな時間が長く続けばいいとその時は思っていた。でもそれは、叶わぬ夢だったのかもしれない。


14.

 足早に歩きながらキオは思考を巡らせていた。

 何故だ。何故自分は今回の作戦から外されたのだ。

 若いから?私とそう歳の変わらない騎士団メンバーもいる。

 戦闘経験が浅いから?自分の力を過信するわけではないが、戦いに関しては騎士団の中でもトップクラスだと思っている。

 女性だからか?唯一の女性団員だから外されたのか?もしそうなのだとしたら余計なお世話もいいところだ。

 それとも……それとも何か別の理由があるのか?

 頭をフル回転させて考える。だが分からない。

 何か団長の気に障るようなことでもしただろうか。

 はっ、と思い出す。そう言えば今回のブルド派遣の任務に私が参戦することに団長だけは最後まで反対していたという噂を仲間から小耳に挟んだことがある。

 実際のところそれが本当のことなのかは分からない。現に自分は今回の任務に参加できているし、そこまで深く考えることではないのかもしれない。

 それでも……何か裏がありそうな気がする。

 そんな事を考えながら歩いていると自分の部屋に着いた。

 ベッドに座り何気なく壁を見つめる。

 再び先程の考えが頭をよぎる。

 何故団長はそこまで私を毛嫌いしているのだろうか。ギャラガ帝国にいた頃は会話こそ少なかったものの何の問題もなくやっていたはずだ。

 やはり納得がいかない。

 どうしても真実が確かめたい。

 しかし団長に直接聞きに行っても答えてくれるはずもない。

 ……仕方ない。あまり頼りたくはないが、彼の力が必要だ。

 キオは気になることがあれば徹底的に突き詰めたいタチだ。こうなったらどんな手でも使う。背に腹は変えられない。

 キオはすぐさま立ち上がり彼の元へ向かうことにした。

 真実を求めて。

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