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青の眼差し  作者: 窪田楓
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青い眼差し

53.

ガイはジャオの方を向き口を開いた。


「さっきはすまなかった。許してくれとは言わない。ただ信じて欲しい。僕はもう戦う意志はない」


 最初はジャオも警戒していたものの、涙を流したガイの姿を見て、頭をポリポリとかきながらこう答えた。


「もういいっすよ。あんな感動的な再会を見せられちゃ何も言えませんよ」


 そう言うとジャオは手を差し出した。


「ありがとう」


 ガイはその手を握り締めた後、2人に向かって真剣な面持ちでこう言った。


「和解のしるしとして、まずは10年前に何が起きたのか、前覇王とした約束の全てを2人に話そう」


 そう言うとガイは10年前のことについて語り始めた。時折言葉を詰まらせながらも、ガイは全てを包み隠さず話した。2人はただその話を黙って聞いていた。

 そうして長い間続いたガイの話は終わった。


「これが10年前の真実だ」

「そんな、つまり帝国は俺たちを騙してその失敗作の処理をさせられてたってわけか」

「その通りだよ」

「全くふざけた話だ」


 ルナが怒りの声を出す


「だから2人に頼みげある。今すぐこの真実をシンラに伝えて欲しい。そして終わらせるんだ。この醜い争いを」

「ガイは来ないのか?」


 ルナが尋ねる。


「今さらシンラに合わせる顔がない。それに理由はどうあれ僕は多くの人を殺した。もう帝国に戻るつもりはない。ここで一生を終えるよ」

「そんな、せっかく会えたのに!」


 そう言うルナの頬を優しく撫でながらガイは言った。 


「これでいいんだ、これで。僕の役目は真実を伝えること。ここから先は2人の役目だ」


 そう言うとガイは薄汚れた耳飾りを取り出し、それをルナに手渡した。


「これは……お姉ちゃんの……」

「ルナに持っていて欲しい。そしてどうか、僕のことなんか忘れて争いのない幸せな日々を送ってくれ。それが今の僕の願いだよ」

「ガイ……」


 ルナは再びガイを抱き締めた。


「絶対に忘れるものか。あなたという人がいたことを私は絶対に忘れない。約束だ」


 ガイドさはソッとルナを体から離し、顔を見つめて言った。


「本当にルナはレアナにそっくりだ。別れが惜しくなる」

「私もだ」


 しばらく見つめ合った後、ガイはジャオの方を見てこう言った。


「ルナを頼む」

「もちろんです!絶対彼女を幸せにしてみせます!」


 突然話を振られ、やや緊張気味にジャオは答えた。


「何を言ってるんだお前は」


 ルナが呆れた声を出す。その後ガイを見てこう尋ねた。


「これで本当にお別れなのか?」

「ああ。ほら、早く行くんだ」

「……出逢えて良かった」

「僕もだよ」


 ルナは一呼吸おいて最後にこう伝えた。


「全てが終わったら、必ず迎えに来る」


 ガイは何も言い返さなかった。


「じゃあ行こう」


 そう言ってルナとジャオが歩き始めた時だった。

 パチパチパチと拍手の音が聞こえてきた。


「誰だ!」


 キオが拍手の主を探す。


「いやぁ!素晴らしい。実に感動的だった。これぞハッピーエンドだ。物語を締め括るには最高の結末だよ」


 そう言いながら近くの岩場から一つの影が出てきた。


「……スクリュウさん?」


 ジャオが尋ねた。だがいつもの彼と様子が違う。


「団長の言った通りだ。ガイを救えるのはキオちゃんだけだったわけだ。さすがだよ、本当に。僕も途中から涙が止まらなかった」

「何故ここにいるんですか」


 ルナがスクリュウに尋ねる。


「気がつかなかったかい?キオちゃんの後をずっとつけていたんだよ。まさか途中ジャオ君が合流するとは思っていなかったけどね。だけど思わぬ収穫があった。まさかあんな場所に魔獣たちが潜んでいたとは」


 それを聞きガイの目つきが変わる。


「何が狙いだ」

「狙い?当然この惑星に住む魔獣どもを皆殺しにするのさ。ガイ、君を含めてね」

「スクリュウさん、その必要はもうないんだ。ブルドの魔獣たちはみんな……」


 ルナの声を遮ってスクリュウは続ける。


「そんなことは()()()()()()()から知っていたよ。その上で僕はここにやって来たんだよ。この物語をハッピーエンドで終わらせないために」

「何を言ってるんですか」

「これはね、復讐劇なんだよ」

 

 ルナには彼が何を言っているのか分からなかった。黙っている3人に対してスクリュウはゆっくりと話し始める。


「とあるところに2人の男女がいた。彼らは恋人同士で将来は結婚を誓い合った仲だった。だが10年前、ブルドで女性の方が死んでしまった。正確には()()()()()()()()んだ。男はただ見ているだけしかできなかった。彼女の亡骸を置き去りにして、その場から逃げるのに必死だった」

「10年前……」


 ジャオが何かに気づいたように声に出す。


「そうだ。10年前に彼女は殺された。ガイという裏切り者にね」

「まさか」

「ああ、その女性というのが僕の恋人だ。彼女もまさか魔獣ではなく同じ兵士に殺されるとは思ってもみなかっただろう」


 そう言ってスクリュウは武器の鎌を構える。


「スクリュウさん!」


 ルナの声を無視してスクリュウは続ける。


「彼女を失った悲しみで自暴自棄になったが、騎士団になって再びブルドに行けば彼女の復讐を果たすことができる。そうして試験に合格した頃だった。皇帝からお呼びがかかった。復讐を果たしたいかと。僕はすぐに頷いた。その時、ブルドの秘密を全て知ったんだ。たしかに酷い話だとは思う。だかそれ以上に、彼女を失った怒りが、復讐心が僕の心を蝕んでいった」


 それを聞いて誰も何も言えなかった。


「……ハッピーエンドなんかで終わらせない。絶対に。これは復讐劇だ。最後は殺し合いで終わるのさ」


 そう言うとスクリュウは一本の注射器を取り出した。


「これがその人体実験の賜物だ。知性を残したまま、肉体のみを強化する。どんな人間も神になれる薬さ」


 そう言いながらスクリュウは自分の首にそれを突き刺し、その中にある液体を流し込んだ。

 スクリュウはブルブルと震えだしら大きな声を上げながらその場にうずくまった。

 しばらくすると彼の体は膨れ上がり、スーツを破るほどに巨体化した。背中からは骨が飛び出しまるで大きな羽のようになった。体は赤黒く変色し、長く伸びた髪の隙間から血走った目が見える。

 鎌を手に持ったその姿はまるで「死神」だった。


「2人とも下がってろ!」


 ガイがルナとジャオに命令する。


「でもガイ、そんな体で戦えるわけが……」

「いいんだ。これは僕が始めたことだ。自分がやったことには自分でけりをつける。復讐の連鎖はここで断ち切らないといけない」


 ガイは剣を構えた。


「死神と死神の殺し合いだ。始めよう」


 スクリュウはそう言うと目にも止まらぬ速さで鎌を振るった。ルナとの戦いでダメージを受けていたいたガイはそのスピードに反応するのがやっとだった。


「どうしたガイ、そんなものか!」


 スクリュウはますます勢いに乗り、ガイに斬撃を食らわせていく。


「逃げてガイ、そのままじゃ殺される」

「2人は絶対にこっちに来るな!」


 ガイが大声で叫ぶ。たがもう体はボロボロだ。このままではやられるのも時間の問題だった。そして次の瞬間、スクリュウの鎌がガイの体を真芯で捉えて吹き飛ばした。


「ガイ!」

「待てキオ!」


 ルナはガイの側に駆け寄りガイを抱き上げた。呼吸はあるがもう限界といったところだろう。


「そのままレアナの元へ送ってやるよ」


 スクリュウはゆっくりと近づいてくる。


「おいキオ、このままじゃ俺たちも殺される。モービルに戻って応援を呼ぼう」

「ガイを放って逃げろと言うのか?それに今のスクリュウを相手に逃げ切れるわけがない!」


 そう言うとルナは武器の大剣を握り締めた、


「キオちゃんもガイみたいに裏切るのかい?」

「違う!ガイは裏切り者なんかじゃない。いつも自分ではなく誰かのために戦っていた。10年前のあの場にいたのならあなたも分かってるはずだ!」


 ルナはリミッターを解除し、スクリュウに食らいつく。


「もうやめましょうスクリュウさん。10年前以上の悲劇が起こる前に!」


 だがそんな呼び掛けも虚しくルナは武器を弾かれ、首に鎌をかけられる。


「残念だ。キオちゃんなら理解してくれると思っていたのに。同じ大切な人を失ったのに僕だけが悪者扱いなのかい?」

「ガイも、あなたも悪くない。本当の悪はもっと違うところにいる。何故それが分からないんですか!このままではあなたは本当の怪物になってしまう!」

「ルナ……逃げろ」


 ガイがルナソにそう言うが、スクリュウは大きな鎌を振り上げてこう言い放った。


「怪物でいいのさ。僕は満足だ」


 そう答えるとスクリュウは鎌を振り下ろした。


「キオ!」


 ジャオが助けに入ろうとするが間に合いそうにない。ジャオもガイもただ見つめているしかなかった。

 ああ……僕はまた何もできないまま大切かものを失うのか。

 ガイが心の中で諦めかけた、その瞬間だった。

 上空かは大きなランスがスクリュウの足元に突き刺さった。


「何だ?」


 すると数秒後、ランスから凄まじい衝撃波が放たれスクリュウとルナはバラバラの方向に飛ばされた。

 一体何が起きた?

 誰もが状況を理解できていなかった。

 そんな時、さらに上空から2つの人影が飛び降りてきた。

 ガイたちが上空を見上げると、ギャラガ帝国の宇宙船たち全てが空に浮かんでいた。


「やっぱり俺の勘が当たったろ」


 その人物はガイの方へゆっくりと歩いてくると腕を差し出した。

 その動作には見覚えがあった。いつもガイが苦しんでいた時、彼はそうやって手を差し伸べてくれのだから。


「シンラ」

「またもう一度だけ、俺の手を取ってくれないか」


 ガイはその差し出された腕をがっしりと掴みながら立ち上がり、シンラの顔を見つめてこう言った。


「来るのが遅いよ」

「ヒーローは遅れて来るって言うだろ?」

「なんだそれ」


 その空間だけ10年前に戻ったようだった。2人の友情は、絆は、何年経っても決して消えてはいなかった。


「団長が何故ここにいる?」


 スクリュウが立ち上がりながら追い掛けた。


「スクリュウよ、詰めが甘いな」


 上空から飛び降りたもう1人がそう答えた。


「発信器だよ。盗聴機能付きのな。おかけで話の全体像は把握した」


 その声の主はグラスだった。


「グラスさん、やっぱりスクリュウに目をつけておいて正確だったでしょ?」

「ああ、まぁ実際にこの目で確かめるまで確証は無かったが、泳がせておいて正解だった」

「何のことだ」


 スクリュウが2人に尋ねる。


「お前だろう。皇帝によからぬことを吹き込んでルナをブルド派遣に参加させたのは。どうりでおかしいと思ったんだ。団長の俺の頼みに皇帝が全く耳を貸さなかったからな。どうせ覇王を倒すいい材料になる、とでも言ったんだろう」

「全てお見通しか」


 スクリュウは笑いながら答える。


「だが今さら人数が増えたところで何ができる。神も同然の力を手にした僕には誰も勝てない。たとえ団長であろうと」

「本当にそうか?」


 リミッター解除、という声と共にランスを手にしたシンラがスクリュウの間合いに入った。


「無駄だ、近接ならこちらの方が有利だ」

「近接ならな」


 突然ランスの先端が開き、眩しい光と共に熱光線が放たれた。スクリュウはあまりの威力に耐えられず吹き飛ばされた。


「このランスは特別製なんだ」

「シンラ、そのランスって……」


 ガイがもしやと思い尋ねる。


「ああ。部隊長から譲り受けたランスだ。騎士団に入った俺を鍛え上げてくれたのも他でもない部隊長だ。そして俺はランス使いとして団長まで昇り詰めたわけよ」

「さっきの光線は」

「10年も経ってるからな。多少改造はしてる。あの時覇王に向けて撃ったものの縮小版だ。……まぁガイにとっては見たくないものかもしれねぇが」

「いや、いいんだ。それよりもまずは彼をどうにかしないと」

「そうだな」


 スクリュウが起き上がり雄叫びをあげる。


「どいつもこいつも、僕の邪魔をするなぁ!」

「おっと、私がいることを忘れるなよ」


 ハンマーを持ったグラスが応戦する。


「こちとら騎士団結成当初から団長をやっていたんだ。あまり甘く見てもらっちゃ困る」

 

 そう言いながら回転するハンマーをスクリュウの下顎に思い切りぶつける。


「クッ」


 スクリュウがよろめいた隙をガイは見逃さなかった。

 剣にエネルギーを込め、スクリュウに向かって斬撃を放つ。


「グヴッ!」


 スクリュウの胸に傷がついた。傷口からは血が流れている。


「もう終わりだスクリュウ」


 グラスがそう言った時だった。

 スクリュウは倒れているキオの元へと走り出した。おそらく人質に取るつもりだろう。


「マズい!リミッター解除!」


 そう叫んだ後グラスは猛スピードでキオの前に立ち塞がった。


「かかったな」

 

 それを見てスクリュウがニヤリと笑った。


54.

 一体何が起きたんだ……ランスが飛んできて、それから誰かが私を助けてくれた?

 キオはゆっくりと体を起こした。

 が、目の前の光景に思わず声を上げてしまった。


「グラスさん!」


 見ると、自分をかばうように立っているグラスの体をスクリュウの鎌が貫通していた。スクリュウはそのままグラスを持ち上げ、遠くへと放り投げた。

 キオは慌ててグラスの元へと走っていく。


「グラスさんしっかり、グラスさん!」

「キオか……無事で良かった」


 胸から血を流しながら小さな声で呟いた。


「何言ってるんですか!早く手当てしないと」


 キオは出血の酷い箇所を必死に両手で押さえた。

 だがその手をほどきグラスがこう言った。


「キオ、死ぬ前にどうしても伝えたいことがある」

「もう喋らないでください!死ぬだなんて言わないで!」

「いいんだ。もう十分生きた。それよりもキオ、お前にどうしても謝りたいんだ」


 グラスは血まみれのキオの手を握り、最後の力を振り絞りながらこう言った。


「お前の大切な家族を奪ってしまってすまなかった」


 涙を流しながら彼はそう言った。


「何故、何故今そんなことを」

「船内でお前を見つけ、それが私の殺したレアナの妹だと知った時から私は自分を責め続けていた。お前が記憶を失ったのも、私に対する天罰とさえ思えた」

「もういいですから、もう……」


 グラスはさらに強くキオの手を握りながらこう続けた。


「だからせめて、少しでもお前を危険から遠ざけようと努力してきた。だが結果的にそれは間違いだった。私はきちんとお前と向き合うべきだった。だが恐くて言い出せなかった。騎士団にお前が入ってからもずっと、お前が記憶を取り戻して姉の死について絶望してしまうのではないかと恐怖していた。だからお前を避け続けた。きっとお前はそんな私のことが嫌いだったろう」


 キオはその手を握る力がだんだん弱くなっていくのを感じた。


「なぁ、キオ。そんな私を許してくれ。レアナを殺した私を許してくれ。お前と向き合えなかった私をどうか許してくれ」


 キオはすっかり力の抜けたグラスの手を握り返し、呟くようにこう答えた。 


「ええ、許します。ずっと見守っていてくれてありがとうごさいました」


 その言葉を聞いたグラスは一粒の涙を流しながらゆっくりと目を閉じた。

 後ろでは武器と武器が激しくぶつかり合う音がする。


「グラスさん!グラスさん!」


 シンラが叫んでいる。


「おいおい、よそ見していいのか?」


 スクリュウはシンラを鎌で振り払い、隣のガイも蹴飛ばした。

 キオは黙って立ち上がり、武器を構える。


「ジャオ、グラスさんを頼む」

「お、いいぞキオちゃん。そうだ。僕を恨め。憎め。復讐心に勝てるのは復讐心だけだ」


 だがキオは冷静だった。


「いいけ、私は復讐心には呑まれない」

「何ぃ?」

「復讐が生むのは悲劇だけだ。けれどこの物語は悲劇じゃない。私が必ずハッピーエンドにしてみせる」

「ふざけたことを」


 キオはスクリュウの鎌をギリギリでかわし、胸に一撃入れた。剣を2つに分割してそのまま体に重たい斬撃を食らわせていく。

 スクリュウも少し体の限界がきたのか先程よりも反応速度が落ちている。

 今ならやれる!

 そう思い大剣に戻し首めがけて斬り込んだ。

 やったか?たしかに何かを斬った感触はあった。

 だが斬ったのは首ではなかった。


「ルナ、逃げろ!」


 シンラの声が聞こえる。だがキオの体もとうに限界を迎えていた。


「捕まえたぁ」


 スクリュウの肥大化した左手に体をガッチリと掴まれた。よく見ると右腕からたくさんの血が流れている。どうやらスクリュウはすんでのところで鎌を捨て、右腕で首をガードする代わりに左腕でキオの動きを封じ込めたようだ。


「ルナ!」


 シンラは立ち上がり、ランスの元へ走り出そうとした。だがスクリュウが叫んだ。


「おっと動くなよ。一歩でも動けばキオちゃんを握り潰す」


 人質を取られ、ガイとシンラには最早勝ち目はなかった。

 よく見るとスクリュウの体に与えた傷の数々と、右腕の傷がふさがり始めていた。どうやら再生能力もあるらしい。スクリュウは右腕が完全に再生するまでの時間稼ぎをするつもりだろう。

 もうダメだ。もう終わった。

 そう諦めかけた瞬間だった。


「ルナ!シンラ!」


 ガイが2人に声を掛けた。2人はガイの方を見る。

 だがガイは何も言わない。何も言わずに黙って2人の目を見つめている。

 2人の目を見つめたまま、ゆっくりと剣を構えた。


「おい!動くな!」


 スクリュウがガイを威嚇する。

 ガイは剣を構えたままシンラとルナの目を交互に見つめた。黙ったまま、まるで何かを伝えるように。

 そして次の瞬間、ルナとシンラは同時に感じ取ったのだ。

 その()()()()()から伝わる強い「意志」を。

 チャンスは一回。それを逃せば全滅。だがやってみる価値はある。

 シンラもルナもガイを信じることにした。いや、彼らはガイの意志に、その青い瞳に突き動かされたのだ。

 キオは持っていた大剣を思い切り空へ投げた。

 それを見たスクリュウは空へと注意がそれた。その瞬間、ポケットに入っていた小型ナイフをスクリュウの左手突き刺した。

 スクリュウは思わずキオを手放した。それが勝負を決定づけた。

 ガイは剣にエネルギーを溜めながらスクリュウの下へ滑り込み、シンラは空中に投げられた大剣をキャッチした。そうして同時にガイとシンラは全身全霊を込めて上下からスクリュウの胸に剣を突き刺した。その瞬間、ガイは剣のエネルギーをスクリュウの体内へと放出した。

 まばゆい光がスクリュウの体を貫いた。

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