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青の眼差し  作者: 窪田楓
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着陸

3.

「わぁ、すごーい!」


 ガイとシンラの部屋に小さな少女がやってきた。名前をルナという。


「こらルナ、走り回っちゃダメでしょ」


 そう言いながらレアナも部屋にやってきた。


「ごめんね2人とも」


 レアナとルナは姉妹である。ルナは7歳、レアナは僕らと同じ15歳だ。2人とは数年前にギャラガ帝国の戦闘員養成所で出会った。

 僕らは4人はみんな孤児で、そういう意味でもよく話があい、出会って早々に仲良くなったのだ。

 今回の覇王討伐任務に幼いルナがついてきたのも、あずける身内がいなかったためである。しかし実際にルナが戦闘に出されることは絶対にないだろう。ガイ、シンラ、レアナが戦闘に出る際は食事係のおじさんに面倒を見てもらうことになっている。


「すごい、あれって騎士団専用の船なのかなぁ」


 ルナが指を指す。

 ガイらが乗っている船の数倍はあるであろうか、というほどに大きな宇宙船が近くを飛んでいる。


 「なんちゅーデカさだ」


 シンラも唖然としている。


「そりゃやっぱり、今回の作戦の要だからね」


 レアナが答える。

 たしかにその通りだ。今回の作戦は騎士団が鍵を握っていると言っても過言ではない。多くの武器や食料が支給されている。それだけギャラガ帝国も本気なのだろう。


『突然の揺れにご注意ください』


 警告音声が流れながら、船がどんどん降下していく。一瞬だが船が大きく揺れた。


「2人とも自分の部屋に戻ったほうがいいよ」


 ガイがレアナとルナにそう伝える。


「そうだね、そうする」


 レアナはルナの体を抱え、部屋を出ていこうとした。


「あっ、そうだ」

 

 レアナが何かを思い出したかのように立ち止まる。その後振り向いて「ガイ、笑顔笑顔。顔こわばってるよ」


 そう言いながらレアナたちはその場を去った。


「そうかな……」


 ガイは自分の顔を触った。特に緊張はしていないはずなのだが。


「あいつさ、お前に気があるんじゃねぇの?」


 シンラが笑いながら茶化す。

 レアナをそういう目で見たことはなかったけれど、シンラの言葉でその時は妙に意識してしまった。だが今はブルドのことに専念しないと。

 任務に意識を集中させながら、ガイは目を閉じる。

数分後、急激な重力や揺れと共に船体がブルドに着陸した。


4.

「ここがブルド……」


 キオは顔を上げ、辺りを見回す。

 空は灰色の雲に覆われ、陽が差し込む隙間はほとんどない。呼吸ができるだけの空気はあるためキオらはマスクを外した。


「まずは周りに防御シールドを張れ」


 団長は覆面姿のまま部隊に指揮する。ちなみに団長はどこであってもあの覆面は外さない。いろいろな理由が噂されているが、実際にそのマスクの下の素顔を知っている者はほとんどいないという。


「防御シールド設置、360度周りの警戒を怠るな」


 騎士団のメンバーらが下級の戦闘員たちに指示する。防御シールドとはいっても簡素なもので、攻め込まれてもあまり時間は稼げない。だからあえて今回は見晴らしの良い場所に船体を着陸させたようだ。


「ここを選んで正解だったのか?」


 ジャオが呟く。


「いや、どのみち辺りは暗いし、船体を隠そうとして岩場に着陸させたらそれこそ敵からの奇襲に対処できない。」


 とは言っても、まだこちらの居場所、そもそもこの惑星に我々が降り立ったことを覇王がまだ把握していない可能性も十分にある。


「まぁ分かってたけどな!」


 キオが冷静に指摘するとジャオはふてくされながらどこかへ行った。おそらく自分の部隊の様子でも見に行ったのだろう。


「まだ猶予はあるな」


 キオはそう言い、船内へと戻っていった。

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