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9、聖王の君


朝からクラスの女子が教壇の前に立ち、


「ニュースだよ。大ニュース。明日の放課後、あの聖王のキミがうちの学校に来るんだって」

と興奮気味に話した。


「え?聖王のキミが?やばい。近くで拝めるんだ」

「やばい、良い場所とらなきゃ」

「どうやったら、お近づきになれるかな」

と、女子のテンションは高かった。


だが、男子のテンションは低く

「何?聖王のキミって」

「そんなにキャーキャー言う意味がわからん。一般人なんだろう?」


「ただの一般人じゃないよ。なんと駅前のホテルや他にも国内や海外に数件ホテル経営しているホテル王と呼ばれる社長の息子で、さらに顔面偏差値最強で聖王一。アイドル好きの私が見ても本当に凄いんだから。今は生徒会の補佐をしているけど、次の聖王の生徒会長になるだろうって噂があるほどのカリスマ性と人望の強さ。聖王学園の中でも最強の王子様なんだから」


クラスの女子を見ながら、よくそんなに熱く語れるなと感心する。

熱弁されても、私の意見もどちらかというと、男子よりだ。


聖王の生徒というだけで、金持ちな家庭だ。

金持ちでイケメンってだけでも、スペック高いのに、学校の偏差値もうちより高いからレベルも高い。

選ばれた人しか行かない聖王ってやっぱり別世界だなと思った。



********


今日は月曜日で財前くんと会う日だった。

私は早速朝の話を財前くんに話した。


「今日女子が聖王の君とか、騒いでいたんだけど何言ってるんだろうなって思って。顔面偏差値最強とか言っていたけど、そんなに格好いいのかな?財前くんは知ってる?」


「さあ、聖王って生徒数沢山いるから。その聖王の君ってやつに篠原さんは興味あるの?」


「あんまりないかな。でも凄そうだから、一目見たいかなと思って。なんでもホテル王?の息子で、生徒会にいるみたいなんだけど」


「・・・あ~、なんとなくわかったけど、そこまでじゃないかな」


「そっか、財前くんがそういうならそうだよね」

私はふんふんと相槌をうちながら、財前くんみたいのがごろごろ居るってことかなと想像した。



********


次の日の放課後。

噂の聖王のキミが来る日だ。


校門の前には、こんなに聖王のキミを見たい人沢山いるんだっていうぐらい女子の集団が沢山いた。

男子も少しいた。


隣の学校の生徒がくるっていうだけなのに、なんだろう。

この熱烈歓迎ぶりは。


でもなんで、うちの学校に聖王のキミが来るんだろう?

生徒会の補佐って言っていたから、生徒会関係だろうか。


掃除当番で遅くなり、結局あの集団に交じっても見ることは出来なさそうだから、こっそり教室の窓から見ることにした。


校門から、聖王の生徒が5人歩いてくるのが見えた。


男子3人。女子2人。

そのなかに、財前くんがいるのが見えた。

あれ?財前くんて、生徒会にいるんだ。昨日はそんなこと言わなかったのに。


財前くんと他の2人を男子を見る。

1人はいい人そうに見えるが、イケメンと言われると違う気がする。

もう1人は、身長が低めで眼鏡を掛けて頭は良さそうだけど、普通の人に見える。


今日は聖王のキミ来ていないのかな?と思った矢先

「せーの、財前くーん」と声援らしきものが聞こえた。


聖王のキミって財前くんのこと?


そういえば、私も財前くんを初めて見たときは、とにかく綺麗でかっこいいくて王子様みたいだなって思った。


秀ちゃんと対戦していたときも、声援と応援が本当に凄かった。


なんで財前くんの可能性を考えなかったんだろう。


それなのに、私ってば昨日なんて事を言ってしまったんだろう。


確かに歩いている聖王男子の中で財前君は圧倒的にかっこいいし、同じ制服着ているのに、身長も高くて姿勢がいいからか違う服に見えるけど。


もしかしなくても財前くんて凄い人だった?


にこやかに手を振る財前くんはいつもと違って見えた。


ふと上を向いた財前くんと目があった。


気のせいだよね?

え?ここ3階だよ。

こんな離れているのに私がわかるの?


財前くんは笑顔で私にも手を振った。


一応私も手を振り返したら、さらに笑顔になった。

そんなに喜ぶこと?

多分この笑顔を見た女子は、胸を高鳴らせているんだろう。


認めたくないけど、私もドキッとしたのだった。

















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