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16、需要と供給


「えっ?今の本当???」

抱いていた腕を解き、驚いた顔で私を見ていた。


「うん。婚約者がいるのはわかっているから、彼女にしてなんて言わないよ。でも、好きって気持ちは伝えたかったんだ」


私と財前くんに差があるのは、わかっているけど、好きでいるのは自由だし。

今の私ではどうあがいてもその差を埋めることはできない。


友達でもいい。

これからも一緒にいたい。


出会いは突然で、普通とは変わった出会いだけど、せっかく縁ができたんだ。

その縁を大切にしたい。


今は気持ちだけ伝わればいいなと思って、告白したつもりだった。


「・・・あのさ、俺の婚約者って噂で聞いた?」


「うん。同じクラスの子から」


「実はその噂って嘘なんだよね。俺に婚約者なんていないんだ」


「えっ?それじゃあなんでそんな噂が?」


「多分、聖王の中でも人気ある女子から告白されたけど、断ったからかな?それで友達にその女子の告白断るなんて、婚約者でもいるのか?って言われたのを誰かに聞かれたのか、いつの間にか尾ひれが付いて・・・今に至るってかんじかな。でもその噂でてから、告白が減って楽になったから利用して、事実か聞かれたとき俺も特に否定しなかったんだ」


「・・・噂って凄いね」

一般市民の私には噂すら出ないし、ぼっちの私を気にする人なんてあまりいない。

噂を利用するとかそんなこと考えたこともない。

噂が隣のうちの学校まで広まっているのが凄い。


聖王ってそんなに頻繁に告白なんてあるんだろうか?

財前くんに聞いてみたら、校門前で待ち伏せされたり、諦めずに何回も告白してくる女子がいるそうだ。


「俺も篠原さんが好き。大好き。でも俺の愛って重いんだ。自分でもわかってるから、付き合ってほしいなんて言えなかった。こんな俺だけど付き合ってくれる?」


「もちろんだよ。むしろ私でいいの?って感じだけど」


「でもさ篠原さんは俺とはお金で繋がっている関係だと思っているんだよね。で、俺考えたんだけど、気にしないでいいって今まで言っていたのに気になるのが止められないなら、その頭に付けているピンを1億2千万で売ってくれない?」


???


!?!?!?


「ほ?・・・へっ!?」


驚きすぎて、言葉が片言しか出てこない。

聞き間違えかな?


頭に付けているピンって、100均で買ったやつだよ???


「あの・・・聞き間違いかな???これ100均で買った超安いピンでね、そんなに価値がある物じゃないし、いろいろおかしくない?!」


「おかしくないよ。需要と供給があっていればいいんじゃない?たとえ100均で買ったピンでも、篠原さんが付けた物ならそれだけで価値はあるよ。だから俺に売って?」


満面の笑顔で私を見る。

そんな笑顔で言われたら、断りづらいよ。


「100均の何処ででも売っているようなピンを1億2千万で買おうとするなんてとにかくダメだよ。それって詐欺みたいじゃん。財前くんにはなんのメリットもないし」


「そうかな?俺としては篠原さんコレクションが増えて嬉しいけど。それにお金で繋がっているっていうのがなくなるじゃない。これでお金のことも気にしなくていいし借金もチャラ。いいことばかりじゃない?」


私のコレクションって何?

コレクションするほどなにかあったっけ?


確かにそれだとお金問題は解決だけど、それって解決したことになるの?


「・・・結局財前くんに頼りっぱなしじゃん。そういうの嫌だな。すっきりしないし、結局モヤモヤするよ」


「いいんだよ。篠原さんは俺のこともっと頼って欲しいし、利用していいんだ。もっと狡くなってもいいんじゃない?それに俺がこんなこと思うのは篠原さんだけだよ。篠原さんだけが特別なんだから」


財前くんは本当に私に甘い。

でも、私は財前くんを利用はしたくない。


このピンを仮に売ったところで何かが変わるのだろうか?

・・・結局変わらない気がする。


「ごめん。売れない」


「えっ?なんで?」


「逆にお金絡んでいるこの関係を利用しようと思って」


「・・・それって・・・?」


「借金があるかぎり、私達一生離れられないよね。ずっと一緒ってことでどうかな?」


「いいの?俺さっきも言ったけど、愛が重いよ。そんなこと言われたら絶対篠原さんのこと離さないよ。本当にずっと一緒にいてもいいの?」


「それは大丈夫。愛が重いって感じたらちゃんと我慢しないで言うから。そして一緒に考えよう?それならきっとこの先も大丈夫だよ」


「・・・うん。・・・うん!俺篠原さんが大好き。凄く大好き。ずっと一緒にいてね」


とろけるような笑顔の財前くんを見て、こんな顔させているのは自分なんだよなと思うと嬉しくなった。



お互いの思いを確かめ合った私達は、なんとなくお互い離れがたかったけど、財前くんの家の車で送ってもらった。


家に入って、すぐに秀ちゃんに電話をした。

財前くんにメールしてくれたし、私の相談にものってくれたし。


秀ちゃんには何回お礼を言っても足りない。

きっと秀ちゃんに言われなかったら、私はまだうじうじと悩んでいただろう。


秀ちゃんにつきあうことになったと報告すると自分のことのように喜んでくれた。


財前くんにも送ってくれたお礼と、おやすみなさいとメールを送る。


返事は期待していなかったのに、すぐに返ってきた。

こうしてメールのやりとりするのは、恋人みたいだなと感動する。

今まで携帯持っていなかったし、ぼっちの私はメールをやりとりする必要性や意味を感じなかったけど、携帯ってすごいなんて改めて思った。


はあ、財前くんからきたメールの返事を見ながら、顔が思わずにやけてしまう。

でも、同時にふと会いたいなと思った。

さっき会ったばかりなのに、恋の力ってこんなに凄いんだな。

私の頭はお花畑状態だなと感じる。

なんだろう、自分が自分でないみたいなふわふわしたこの気持ち。

そして、幸せだなって思って自然と笑みが出る。


今日は嬉しいことが沢山あったし、眠れそうになかった。





















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