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15、好き好き大好き

あれ以来、財前くんから連絡もなくて、スマホただ眺めている日が続いた。


そんな私を見て

「そんなに悩むなら、自分からメールするなり電話すればいいのに」

なんて言ってくる秀ちゃん。


秀ちゃんが今日はおでんを沢山作ったからと、おすそ分けに来てくれた。

父も母もまだ帰ってきていないため、2人で一緒に晩ご飯を食べていた。


メールも電話も出来ないから悩んでいるのに、秀ちゃんは本当に乙女心がわかっていない。


「じゃあ、聞くけどなんてメールすればいいの?」


「えっ?普通に会いたいとか、声聞きたいとかでいいんじゃないの?」


「それって、つき合った人達がする会話じゃないの?」


「いいじゃん。別につき合ってなくても。難しく考えすぎなんじゃない?だいたい何?今までガンガン財前くんに話しかけて、喜ばせようとして頑張っていたのに、いまさら悩んでどうするの?」


確かに今まで財前くんに何かしてあげたいなとか、喜んだ顔みたいなとか自分なりに頑張っていたけど、それはお金を返せないから、私に出来ることをしただけで。


「簡単に考えなよ。お金が絡んでいるのが引っ掛かっているのかもしれないけど、でもそのお金がなかったら財前くんと知り合うこともなかったかもよ。それに普通に財前君と葵が出会っても、恋愛に発展すると思う?葵って自己評価高くないから、どうせ私なんてって近づきもしなかったんじゃない?」


確かにずっと引っ掛かっている。

私と財前くんがお金で繋がっていること。


でも確かに秀ちゃんの言うとおりかもしれない。


前に聞かせて貰った財前くんの壮大な計画。


仮に財前くんがうちの学校に交換学生で来たとしても、私は遠くから見ているだけだろう。

財前くんと仲良くなりたい人はきっと沢山いるから、財前くんの周りは常に人がいっぱいで。


でもふと考えたけど、それって財前くんが同じ学校でもそうなんじゃないかな?

ぼっちの私はクラスメイトと話さない日も多いし。


話すのは秀ちゃんとその友達ぐらいだ。


秀ちゃんの言うとおり、難しく考えすぎなのかもしれない。


そう思ったら、じっとしれられなくて、立ち上がった。


「私、ちょっと行ってくるね」


「いってらっしゃい」と笑顔で送り出してくれた秀ちゃん。


財前くんの家に向かって走りだした。


こんな時間に行っても会ってくれないかもしれない。

行っても無駄になるかもしれない。


でも、会いたい。

会ってくれないなら、それでもいい。


なんで私はこんなに必死になっているんだろう。


走らなくても、会うのが少し遅くなるだけだから歩いてもいいのに。

でもそう思っても、足は止まらなかった。


秀ちゃんの言うとおり難しく考えなかったら、私は財前くんが好きだ。

大好きだ。


きっと恋愛の方の好きだ。

今まで好きが大きくなる前に気持ちを抑えていた。


だってそうしないと、財前くんに頼りっぱなしになる。

それは嫌だったから。


私は好きな人とは平等でありたい。

言いたいことも言って、怒っているときは怒って、一緒に笑うときは笑う。


私の理想のつき合い方はそうだった。

父が借金を抱えたとき、母は辛いはずなのに笑っていた。


そんな2人に憧れていた。

そして自分も彼氏が出来たらそんな風になりたいと思っていた。


財前くんとの出会いは普通じゃなくて、あの時は借金があって、母も入院して私の心に全然余裕がなくて、素直になれなかった。


財前くんは出会った時からずっとかっこよくて優しかったのに。


物語にあるような、払ったお金を借金にして私に無理矢理いうことをきかすようなことも出来たはずなのにそんなことはしなかった。


財前くんと対等につき合うなんて無理だし、理想と全然違う付き合いになるかもしれない。


でも、それでもいい。

ただ財前くんとこれからも一緒にいたい。


認めよう。

これは恋だと。


そして、伝えたい。

大好きだって。


財前くんが好きだって言ってくれた倍以上好きって言おう。


走りだす私の前に1台の車が止まった。


この車は見覚えがある。

財前くんの家の車だった。


車のドアが開き、財前くんが出てきた。

私は走るのは止めたけど、呼吸が苦しくて言葉がでなかった。


財前くんはそんな私を抱き締めた。


「ずっと、走ってきたの?俺に会いたくて?」

耳許で囁かれるのは、なんだかくすぐったいなと思いながら、小さく頷いた。


「うん」


「土岐くんから篠原さんが俺の家向かっているから宜しくってメール来た時は信じられなかったけど、待ちきれなくて来ちゃった。凄く嬉しかった。俺も会いたかった」


秀ちゃんのおかげで財前くんに早く会えたんだ。

後でお礼言おう。

秀ちゃんは本当優秀な幼馴染だ。


抱き締める力が更に強くなって、財前くんの温もりを感じる。


言いたいことは沢山あったはずなのに言葉が出なかった。

なんだか嬉しくて、離れたくなくて、私も抱き締め返した。



私達はただ静かにずっと抱き合っていた。


何か言葉を発したら離れるかもしれない。

そう思ったら何も言えなくて。


もしかしたら財前くんも同じなのかもしれない。


やっぱり私は財前くんのこと好きなんだなと改めて認識した。


さっきから感じているけど鼓動が速い。

こんなに心臓がドキドキするのは、初めてかもしれない。

恋愛すると、本当に物語のように心臓が早くなって止まらないんだなと思った。


私が誰かと恋愛するなんて無理だと思っていた。


恋愛ってお金掛かるから絶対私には無理だと思っていた。

どこかに行くのも、一緒に何かを食べたり、映画に行くとか、とにかく恋愛はお金がかかるってイメージだった。

お金がなくても恋愛は出来るのかもしれないけど、それって相手に我慢させてしまうんじゃないかと思った。

相手に我慢させるなんて、そんな恋愛は辛いだけ。

結局、貧乏な私は恋愛なんて出来ないって諦めていた。


財前くんに出会って人生が変わった。

財前くんに感謝と好きな気持ちをこれから沢山伝えていきたいな。


まずは、好きって気持ちから___


「財前くん、私財前くんのことが好き。大好き」











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