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24 銀行強盗って今時流行らない

「まあ、冗談はこれくらいにして」

「あの、メロちゃんメロちゃん。冗談で済まされない不祥事の濡れ衣着せられたっぽいんだけど。ワタシ王女よ?」

「そういや一応そうでしたね」

「だからさ、なんでどいつもこいつもワタシを王女とするときに一応を付けるわけ?」

「別にいいじゃないですか、ユリル様ならここにいる全員の記憶を書き換えられますし」

「まあそうなんだけどね」

「それで、そろそろお聞かせ願いたいんですけど」


 メロはフィーネを指さして。


「この、果てしなくユリル様の好みの美少女を体現したような子は一体?あっ、もしかして処女拗らせて魔法で創ったダッチワ」

「ちゃうわい!!メロ、ワタシが女の子なら手を出さないと思って言いたい放題言いおって!」

「だって手出せないでしょう?」

「出せないよ!」


 好き放題言ってくれるなこの女。

 でもチクショウ、この翻弄されてる感に若干興奮する自分が腹立たしい。


「で、この子は?」

「この子はフィーネ。ワタシの将来の嫁」

「よろしくお願いします」

「よろしくね。…………ユリル様の嫁ぇ!?」


 一瞬で外面を作ったメロは、これまた一瞬でそれをひっぺはがし、フィーネの肩を掴み。


「考え直しなさい、あなた可愛いんだから!人生棒に振ることないって!」

「ええ…………」

「メロ、あんたの綺麗な肌に傷をつけずとも、仕返しをする方法はいくらでもあるからね?七星大魔導の肩書きは王女に好き放題言う免罪符じゃないからな?」

「だって!ユリル様と結婚とか、大切にはされそうですけど絶対浮気とかされるじゃないですか!自分だけを愛してくれると思ったのにいつのまにか百合ハーレム作ってたり!だって御父上があれですもん!」

「父上が聞いたら泣くぞ」


 言いたいことは分かるけども。


「しかし、ええっ…………?てっきりユリル様はなんだかんだ言ってカグヤとくっつくと思ってたのに、まさかそんな」

「前から聞きたかったんだけど、なんで皆ワタシとカグヤの関係をそんなに疑うの?ずっと前からそういうのじゃないって言ってるじゃん」

「だってユリル様って美少女好きじゃないですか。あたしも相当可愛いと自覚してますけど、カグヤには勝てませんし、顔面で選ぶんじゃないかなーって」

「ワタシが顔だけで選ぶと思ってる?」

「そうじゃなければ美少女と見るやナンパなんてしないでしょう?」


 なんて正論だ。


「ま、まあ、最近はしてないし?フィーネがいるし?」

「…………?わたしとユリルは付き合ってないんだから、ナンパしてもいいんじゃないの?」

「えっ」

「えっ?付き合って、ない?」


 さりげないドライなフィーネの言葉になんだかショックを受け、さらに。


「あっもしかして、結婚うんたらかんたらはユリル様が勝手に言ってるだけ…………?なんかごめんなさい、ワタシったらユリル様の拗らせ具合を甘く見てたみたいで」

「不敬!」


 このままだとまたとんでもないことを抜かしそうだったから、一から十までメロに説明する。


「…………って夢を見たんですか」

「現実だよ!」

「まあ、確かに、ユリル様が七星に男がいたことなんて直近じゃないと覚えてるわけないし、そこは説得力あるか」

「信用する部分そこ!?」

「にしてもあの男―――えっと、名前が出てこない」

「あ、ワタシも」

「やっぱそうですよね、なんか危なそうな奴だったのと、シズカにめっちゃボコられてたのは覚えてる」

「そうそう」

「ユリルの話を聞く限りだけど、あの人も強かったんじゃないの?それなのに覚えてないの?」

「あたし、キャラの濃い人とお金持ち以外の顔と名前すぐ忘れるから」

「ワタシ、そもそも男の顔と名前すぐ忘れるから」

「そ、そうなんだ」


 この辺が、なんだかんだメロと話が合う要因なのかもしれない。


「ところでメロ、なんでこんなとこいるの?カホノ姉様は?」

「カホノ様は新しい薄い本持って部屋にこもったから、多分今頃まさぐってるんじゃないですか?いや、どこをとは言いませんけど」

「なんだ、いつも通りか」

「そうだ、あたしこんなことしている場合じゃないんでした。実はフェンリの街にある銀行に強盗が入って立てこもってるらしくて、行けって言われてたんです」

「えっ、マジ?早く行きなさいよ、送ってあげるから」

「ユリル様、一緒に行ってくださいよ。その方が早く仕事終わりますし」

「面倒と言いたいところだけど、美人の頼みは断らない主義だしなあ。フィーネ、いいかな」

「わたしはいいよ」

「じゃあ行こうか。【空間魔法:テレポーテーション】」


 即座にフェンリの銀行前に転移。


「流石ユリル様、魔法だけは超超一流ですね」

「はっはっは、もっと褒めてもいいのよ?…………今魔法だけって言った?」

「言ってません」


 銀行前は多数の野次馬で溢れていたけど、一人がワタシたちを見つけたようで。


「おわっ、ユリル様だ!」

「ユリル様が来たぞ!これで安心だあ!」

「メロさんもいるぞ、無敵だな!」

「でも横にいるとんでもない美少女は誰だ?」


「二人とも、凄い歓迎ぶりだね」

「まあ、極限魔導と七星大魔導がダブルで来たらそりゃね」

「強盗たちも涙目ですよねー」

「じゃあメロ、人質の保護はやってあげるから他の始末はよろしく」

「ええ…………ユリル様なら一秒未満で片付くのに」

「七星が出張る事件なんてこの国で滅多に起きないんだから、こういうのも経験しとかなきゃ。じゃあがんば」

「ちぇっ、楽して報奨貰えると思ったのに」


 ワタシは周辺一帯に常時超速回復と致命傷回避の魔法を発動して、何が起きても誰も死なないようにした。


「ユリル、いいの?」

「んー?大丈夫大丈夫、ああ見えてメロもワタシほどじゃないにしろちゃんと強いから。七星大魔導の名は伊達じゃないよ」


 さて、どのくらい強くなってるかお手並み拝見。

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