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01 プロローグ

性懲りもなくまた百合を書いてしまいました。

新連載、開始です。

 さーてさてさて、この物語を綴る前に、あたしがいくつか注意点を話してあげよう。

 これを読んで「あ、これ多分面白くねーな」とか思ったら、きっと君はあたしと気が合わないから、素直に別の世界のお話に触れに行くことをお勧めするよ。

 逆に言えば、とりあえずここだけは読んでみってことね?

 じゃあ、変に語り続けるのも面倒なので、さっさと本題に行っちゃおう。


 注意点は二つね。

 まず一つ目は、この話は、既に物語としての大体のことが終わった話だ、ってこと。


 人類の敵に与する存在との激闘と人々の苦しみも。

 追い詰められた人類が行う異世界からの召喚も。

 勇猛果敢な若者と仲間たちの友情も。


 全て終わっているし、綴られない。

 この話は、平和を取り戻した世界から始まる、長ったらしい「後日談」だと思ってくれちゃっていい。




 二つ目に―――これが重要なんだけど―――この話の主人公は、異世界からの来訪者でも、勇者の影として暗躍した暗殺者でも、ましてかつて敵だったライバルなんかでもない。

 かといって、勇者とまったく関係のない、スローライフを楽しむ村人というわけでもない。

 とある異世界人と共に魔族の王、魔人王を打ち倒した、魔法を究めんとする少女さ。


 おっと、誰かの心の声が聞こえたよ?

 なになに、「普通に主人公っぽいじゃないか」だって?

 うんうん、たしかに肩書だけ聞くならば、彼女は物語の主人公としてふさわしいかもしれない。

 あたしだってそう思う。

 だけど如何せん、その少女はまったくもって主人公っぽくない。

 いや、正確に言うなら、周りにもっと主人公に相応しい存在がいっぱいいる、って言った方が正しいかな?


 異世界からの来訪者、正義に生きる騎士、婚約破棄された令嬢。


 こんなそうそうたる面子を差し置いてだよ?

 異世界人の少年と恋に落ちるわけでも、挫折と苦悩を味わうわけでも、真に魔導を究めるために闇落ちするわけでもない、ただ魔人王を倒す旅に同行しただけの十七歳の少女に焦点を当てるんだよ?

 ほら、おっかしな話でしょ?ね?

 でもこれには意外にも、ちゃんとしたわけがあるのだよ。

 わけを聞きたい?そうか聞きたいかしょうがないなあ、教えてあげよう。


 面白いと思ったから。それだけ。


 さて、じゃあ注意点も何となく終わったけど、せっかく出てきてこれだけってのも何か寂しいなあ。

 そうだ、主人公に選ばれた子のお話でもしようか!




 その少女の名前は、ユリル。

 ガーデンレイク魔導王国第五王女、ユリル・ガーデンレイク。

 彼女を一言で表せと言われたら………そうだなあ、人々は例外なく頭を抱えるだろうね。

 能力、実績、立場。

 どれを取っても、彼女を一言で表す言葉など、存在しないから。

 それでも尚、辛うじて絞り出した言葉を幾つか挙げるとすれば。


「天才」。

「救世主」。

「世界最強」。

「天災」。

「破壊者」。

「世界最狂」。


 彼女をよく知らない人間はこう言う、「人外」。

 彼女を知る人間はこう言う、「歴代最高の魔導師」。

 彼女をよく知る人間はこう言う、「歩く破壊兵器」。

 彼女をもっとよく知る人間はこう言う、「変態」。


 世界最高の魔導師、たった一人で世界の魔導体系を五十年、国内に限れば百五十年進め、魔導王国を世界第二位の国力を持つ大国家へと昇華させた、最高の天才(さいあくのへんじん)


 魔導という分野に限れば、この世界の歴史で類を見ない、空前絶後の天才だよ、彼女は。

 ただ、うん。後半の通り名の示す通り、彼女はちょっと性格に難があってね。

 精一杯よく言って、自由人。

 ちょっと悪く言えば、自己中の極みってとこかな。


 真夜中の上空に、経過観察の目的で花火の十倍近い光量がある魔法をぶっ放して町中の人たちをたたき起こしたり、感情を操る魔法を編み出そうとして失敗し、危うく実の姉を犯す所だったりと、おおよそ人間としてどこか間違っている。

 おまけに超がつくほどの女好きで、仮にも王女という身分にも拘らず、夜の街で女の子を侍らせて涎を垂らしたり、道往く少女をナンパしてお持ち帰りしようとしたりと、もう好き放題だ。

 天才じゃなければとっくの昔に絶縁されてたんじゃないかな。


 もう少し語ってあげたいところだけど………まあ、詳しいことはやっぱり、自分の目で確かめるのが一番だよね。

 じゃあそろそろ、あたしの話は終わり。そろそろお話を始めようか。




 ………え?あたしは何者かって?そんなことが気になるの?

 ははは、やっぱり君たちとは、関わっていて飽きないなあ。

 けど残念、ここで話しちゃうのは面白くないから、まだ言わない。

 やっぱりこういうのは、少し先まで引っ張って、想像力を膨らませた君たちと答え合わせするのが一番面白いとあたしは思うね。

 そうだなあ、今後の話で、ユリルの人生が大きく変わった瞬間辺りで、もう一度顔を出すとするよ。

 その時に答え合わせをしようか。




 さあ、そろそろ本当に始まるよ。

 コホン………では皆様。

 ユリル・ガーデンレイクとその周りを取り巻く環境、そしてこの世界を、どうぞお楽しみください。


 さあ、はじまりはじまり。

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[良い点] 新作待ってました!読むの遅くなっちゃいましたけどこれからも応援してます!
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