虫の恩返し
夏の夜になると大挙してやってくる。そんな来客たちのお話。
こんにちは〜! 聖属性エッセイスト、ひだまりのねこですよ。
梅雨が明ければ夏! キラッキラのサマータイム! お祭り! 花火大会! ああ……中止か。ならば、海、プール! でも私は肌が弱いので、すぐに真っ赤になります。
少し吸血鬼が入っているためか、太陽光を浴び過ぎると皮ふが悲惨なことになるのです。まあ、自動再生でそのうち治りますけれど。
前置きが長くなりましたが、夏と言えばやはり虫の季節ですよ!! 今日も虫のお話。
え? 虫ばかりで嫌? 春から秋までは虫の季節ですからね。冬まで我慢してくださいな。
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この季節、夜になると私の部屋の網戸にはひっきりなしに来客がある。
ブゥ~ンという羽音と共に網戸をノックしてくるのだ。
私はエアコンを使わない人なので、夏の間は基本網戸。台風の時だけがしんどい。そんなときは冷たい廊下で寝る。
私ぐらいになると、網戸越しでもお腹をみれば、正体はわかる。たまに見たことがないお腹があると心が躍る。ワクワクが止まらない。
珍しいお客様なら、どうぞどうぞと招き入れたいのだが、生憎呼んでもいない連中までドサクサ紛れで入ってきてしまうので、お腹を愛でるだけで我慢する。
天敵の蛾がいらしている場合は、すかさず青竜を呼んで難を逃れる。
ちなみに最近青竜が子を産んでチビ青竜が増えた。我が家の守りは鉄壁の要塞となりつつある。
まあ夏の夜はかくも忙しくにぎやかなのである。
最近ふと思うのだが、もしや遊びに来る虫たちは、私が助けた(勝手にそう思っている)ものたちかもしれないと!
もしそうならば、そこそこうるさい羽音も、『ありがとう~!』という感謝の声に聞こえなくもない。
ふふっ、まったく義理堅いことだ。
私は妄想する。そのうち鶴の恩返しのように、虫たちが突然やってくるのではないか?
とんでもない美少女やイケメンの姿に化けて、私の家にやってくるのだ。
「こんばんは! 私はあの時助けていただいたコガネムシです」
「こんばんは〜! 私はあの時のイモムシです。おかげで美しい蝶になることが出来ました〜!」
ただし、きっと彼らは全裸だろう。服なんか持っているわけないんだから。
となると、とりあえずの部屋着くらい用意しておいた方がいいかもしれない。
しかも、それぞれ食べるものや飲むものも違う。実に面倒な話ではないか。
と、そこまで考えてはっとする。そうか……だから彼らは網戸越しに感謝を伝えるだけで済ますのだと。
私に負担をかけまいと気遣ってくれているのだろう。
***
あまり蒸し暑くない夜、皆さんもたまにはエアコンを停めて網戸にしてみてはどうですか?
もしかしたら、あのとき助けた小さな虫たちが訪ねて来ているかもしれませんよ。ふふふ。