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狂った博士と水の夢  作者: 八代つぼん
3/5

第3話

屋上に着くと沢山の水槽が目に付いた。

良く覗いて見ると中にはおぞましい人魚の様な者で溢れかえっている。


霧彦「和泉、コイツらがお前が蘇らせた人魚か?」


和泉「・・・そうだよ」


霧彦「確かさっきの話だと奥さんと話してて正気に戻ったんだよな?」


和泉「ああ、最初は妻の死でこの子等が美しいと錯覚していた。だが何年も妻と話していてなんておぞましい者にしてしまったのかと後悔している」


暫く歩くと大きなコンテナハウスが見えた。


和泉「ここが僕の部屋。さ、遠慮無く入っておくれ」


霧彦「お、おう・・・」


霧彦はまだ警戒している様だが雫はすんなりと入って行った。


雫「わぁ~、お兄ちゃん早くおいでよ! 中凄いよ!」


霧彦は一瞬マッドサイエンス的な部屋を思い浮かべたら違った。


霧彦「・・・なんだこれ?」


部屋の中はファンシーな家具や縫いぐるみで統一されている。


穂波「可愛いでしょ? イズイズの趣味なんだって♪」


霧彦「顔に似合わず・・・」


和泉「僕昔から少女趣味でね、穂波ちゃんも気に入ってくれたよ♪」


雫「このうさぎさんの縫いぐるみ可愛い!」


雫はもふもふのうさぎの縫いぐるみを抱いている。


霧彦「雫! 下手に触るな! 罠かもしれない!」


穂波「それね、イズイズが作ったのよ。器用よね~」


和泉「欲しかったら雫ちゃんにプレゼントするよ」


自分の作った縫いぐるみを気に入ってくれた雫に喜んでいるようだ。


霧彦「いや・・・罠・・・」


海斗「ピギュ~♪」


海斗はふかふかの専用のベッドでくつろいでいる。


霧彦(俺がおかしいのか!? 何で皆和泉と仲良くなってんだよ!?)


霧彦はいぶかし気な表情をしている。


穂波「イズイズを疑う気持ちはわかるわ。私達も最初そうだったもの・・・でもね、この15年一緒に暮らしている内に悪い人じゃない。寧ろ皆を元に戻そうと必死になって毎日研究に明け暮れて、私達にもすっごく良くしてくれたのよ」


霧彦「本当に操られてないよな?」


雫「大丈夫、海斗兄さんも義姉さんも正常よ」


雫は瞳を光らせ海斗と穂波を見つめている。この力は見つめた相手がマインドコントロールされてないか見分ける能力だ。


霧彦「・・・なら、大丈夫か」


和泉「うんうん、僕の事信じられないのは仕方ないよね」


霧彦「やった事がやった事だからな」


穂波「ま、じっくり信用していけばいいじゃない♪」


和泉「さて、さっきの戦闘でお腹減っただろう? 何かおやつでも作ろうか?」


いつの間にか和泉はエプロンを着ている。


海斗「ピギュピギュ!」


和泉「海斗君はチョコチップカップケーキが食べたいのかい? 皆もそれでいいかな?」


雫&穂波「賛成♪」


和泉「霧彦君もそれでいい?」


霧彦「あ、ああ・・・」


和泉は魔法ではなくちゃんと手作りでケーキを作り始める。


霧彦「そういえば外に出られない筈だよな? 食材はどうしてるんだ?」


和泉「そこの冷蔵庫は魔科学で僕が作ってね。欲しい物はなんでも出てくるよ」


もう何でもありだなコイツと霧彦は思ったが口には出さなかった。


和泉「あ、霧彦君に頼みたい事があるんだけど・・・」


霧彦「なんだよ?」


和泉「ま、それはおやつ食べてから話すよ」


暫くして美味しそうなケーキがテーブルに並べられた。

霧彦は最初毒が入ってないか心配したが、雫が大丈夫と言ったので一口口に入れた。


霧彦「・・・う、美味い・・・」


悔しいが料理の腕前には自信のあった霧彦だがこの美味しさには完敗だ。


和泉「気に入ってくれて良かったよ♪」


何となくだが霧彦も和泉がそんなに悪い奴でもないのかもしれないと心の片隅で思い始めた。

食べ終わると和泉と穂波が後片づけをする。


和泉「それでね、さっき言った頼み事なんだけど・・・」


霧彦「何だ?」


和泉「ミカエルの召喚をして欲しいんだ」


霧彦「は!?」


ミカエルと言えば天界戦争であのルシファーに勝利した大天使だ。

そんな大それた者を召喚してくれと、お使い行ってくれ的なテンションで言われて霧彦は固まってしまった。


雫「どうして和泉おじちゃんがやらないの?」


和泉「ルシファーに呪をかけられた時に天界へのアクセスを遮断されてしまってね、トホホ・・・」


霧彦「呼び出してどするんだよ?」


和泉「勿論ルシファーを地獄に戻してもらうのさ」


霧彦「俺の魔力でできるのか?」


和泉「君の魔力なら大丈夫さ! あのホームまで怨霊を倒してたどり着いた君ならね♪」


それから数日、和泉から手渡された魔法陣の図形を描くが情けない事に霧彦は美術1で中々上手く描けなかった。


和泉「暗くなってきたし今日はここまでにしようか?」


霧彦「つ・・・疲れた・・・」


和泉「まさかここまで苦戦するとはね(笑)」


霧彦「難しすぎるんだよ!」


和泉「先に部屋に戻ってなさい。後片づけしとくから」


ポンポンと霧彦の背中を優しく叩くと和泉はいつに間にか姿を消していた。


霧彦「? あれ? アイツ何処行った?」


そういえば和泉は夜、時々何処かに行っていた気がする。

気になったのか霧彦は広い屋上を散歩がてら探しに行くことにした。


霧彦「ん? 話し声?」


給水タンクの向こうから話し声が聞こえる。

霧彦は給水タンクの向こう側をこっそりと覗いた。


するとひときわ大きな水槽の中にいつも目にするおぞましい人魚と、その水槽の前に和泉がいた。


和泉「水城・・・もうすぐ終わるからね・・・」


霧彦(水城? 確か和泉の奥さんだっけか・・・)


和泉「え? 罰? 大丈夫、もうとっくの昔に覚悟できているよ・・・」


霧彦(罰?)


雫「お兄ちゃん?」


急に雫が後ろから声をかけてきた


霧彦「うわ!」


和泉「おや? 立ち聞きとは趣味が悪いね」


和泉は振り返って霧彦に言う


霧彦「わ・・・悪い・・・」


和泉「ま、いいけどね。さて、今日の夕食は何にしようかな?」


霧彦「あのさ、罰ってなんだ?」


和泉「・・・君には関係無いよ・・・」


少し悲し気な表情になる。


雫「和泉おじちゃん今とっても悲しそうだね・・・大丈夫?」


雫が心配そうに話しかける。

すぐに和泉はいつものにこやかな表情になると


和泉「今日は霧彦君頑張ったしハンバーグカレー作ろうかな♪」


霧彦「お、おう」


罰・・・気になるが和泉が話したくないなら無理に詮索しなくても良いだろう。


その日は部屋に戻り、夕食を食べ皆就寝した。

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