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男嫌いの軍師の婚約者になった男の話

作者: 鈴木颯手

口調が違うと思われるかもしれませんが許して。作者は恋姫シリーズやった事も見た事も無いんです!

なら書くなよ!とかそんなこと言わないでください。

「ちょっと!これは何なの!?」


とある街にあるお屋敷に甲高い少女の声が響く。その屋敷に奉公する者は声が聞こえた方を見て誰もがまたか、と思い自分の作業に戻る。

彼らが見る視線の先には猫耳の頭巾をかぶった少女とその少女に頭を下げる男の姿があった。少女はこの屋敷の主の娘である荀彧である。この屋敷、いやこの街では誰もが知る男嫌いで有名であった。そんな荀彧に頭を下げる男は16、7くらいであろうか?武官の様にがっしりとした体形ではないが文官の様に細い体でもない。どちらとも言えない体形であった。そして体系からも分かる通り武官としても文官としても男は本職には適わず努力してもそれが芽吹く才能も存在しなかった。しかし、彼は荀彧の側近として彼女の傍で働いていた。

本来なら微妙なこの男が付ける職ではないが勿論理由は存在する。彼は荀彧の婚約者であった。彼の父親は荀家とは深い縁を持っておりその為荀彧が産まれた時には婚約者と決まっていたのだ。

いずれ荀家の後継者となる彼は早い時期から荀彧の側近として活躍してきたわけだが……。


「ここと、ここと。それにここ!計算が違っているわよ!」

「も、申し訳……」

「謝るなら最初から間違わないで!これだから男は……!」

「……」


平謝りする彼に荀彧は容赦ない罵声を浴びせる。実際彼女の言う通り指摘された箇所は計算が間違っており彼に反論の機会を与えなかった。尤も反論すれば今以上の罵声が飛んできて徹夜しなければ間に合わない量の仕事が来るためひたすらに耐えていた。


「いい!?次間違えたら今月の貴方の給料はなしよ!それが嫌なら間違えない事!何なら算術の勉学から学びなおす?貴方な見たいな馬鹿な男には一生無理でしょうけど」

「……申し訳ございません」

「だから!謝るなら最初から間違わないでよ!全く、貴方みたいな人が何で私の婚約者何だか……。母上の気持ちが分からないわ」

「……」


ここに来てから二年。毎日の様に続く罵倒に彼の心は日に日に衰弱していった。それでも彼は自分は荀彧の婚約者だ、と言い聞かせ一日一日を過ごしてきた。何時か荀彧の態度が軟化することを信じて。


しかし、彼の心はその前に限界を迎える事になる。







とある日、荀彧が一週間ほど不在にしていた。何でも曹操様という方に仕えるために自ら赴いているそうだ。彼は二年ぶりに静かな時を過ごすことが出来仕事も捗っていた。


「煉!私曹操様に仕えることになったわ!」


静かに書類仕事をこなしていると一週間ぶりに荀彧と会い開幕そう言ってきた。

因みに彼の仕事部屋は荀彧の隣の部屋だ。側近になったばかりの頃は一緒に仕事場で働いていたが荀彧が「馬鹿な男と一緒の部屋で仕事をしたくない」といい今は隣の部屋で仕事をしていた。


「それは……。おめでとうございます」

「そんなわけだから一週間後に曹操様の元に向かうわ」


随分と早いなと思いつつ荀彧の士官が決まった事を彼は喜んだ。荀彧は余程嬉しいのか彼でも初めて見るえみを浮かべていた。


「(荀彧……。こんなふうに笑うのか)分かりました。準備を手伝います」

「結構よ!貴方に私の物は触らせたくないわ」

「失礼しました」

「全く、でも曹操様に仕えることが出来るなんてとても嬉しいわ!きっと毎日が楽しい者になるに違いないわ!」

「……」

「あ、煉はこのままこの家で……。いえ、一緒に来てもらうわ」

「え?」


まさかの返事に彼は驚く。普段の荀彧ならこんな事は言わない。彼はてっきり「あんたみたいな無能な猿を曹操様に近づけたくはないわ!」といって置いて行かれるとばかり思っていた。


「当たり前でしょ?貴方みたいな無能な猿は荀家に相応しくないもの。適当にあっちで家を買って過ごしてちょうだい」

「それは……」

「なに?文句あるわけ?使えないあんたが?」


荀彧の言葉に彼は黙る。荀彧の言葉通りなら彼は荀家を出だされ曹操様の赴任先の街に行き当たりばったりで向かい職も家も自分で探せと言っているのだ。正直彼の懐は温かくはない。荀彧に給料のほとんどを取り上げられてきたからだ。今までは荀家のお屋敷に住むことが出来食事も出されたが出て行けばそれもなくなる。出て行っても直ぐにお金は尽きてしまうだろう。そうなれば家を買うどころか日々の食事すら不可能になる。


「……まぁ、あんたみたいな猿にはそんな事が出来るとは思えないから特別に私の家に住まわせてあげてもいいわ」

「……」

「その代り私の為に一層尽くしなさい。食事洗濯家事掃除は完璧にこなしなさい。それと私は文官として曹操様の近くで働くからお弁当も作りなさい。いいわね?」

「……はい」

「どうせろくに出来ないだろうけど一応私の婚約者だからこき使ってあげるのよ?全く、どうせなら曹操様の様な人と婚約者になりたかったわ。こんな、出来損ないじゃなくて」

「……っ!」


荀家の言葉に彼は悔しげに俯く。何も言わない彼に荀彧はふん、と小馬鹿にしたように鼻を鳴らすと部屋を出て行った。荀彧が部屋を出てから数分後。彼は再び書類仕事に戻る。しかし、彼の手は震え顔からしずくが垂れていた。




翌日、いつまでも起きてこない彼に苛ついた荀彧が彼の寝室に行くとそこには彼の姿はなく奇麗に畳まれた布団とその上に一枚の紙が置いてあった。

紙には「自分は荀彧の婿としてやっていける自信がなくなりました。今までありがとうございました」とだけ書かれていた。この紙を見た荀彧は怒り狂い兵を上げてまで彼を探させたが既に深夜には屋敷を出ていたため彼を見つける事は出来なかった。

一週間後。荀彧は曹操の元へと向かった。荀彧はその智謀を持って曹操を支え彼女の信頼を直ぐに勝ち取っていった。荀彧は後漢が倒れ天下が魏、呉、蜀に別れてからも曹操の下でその力を振るっていった。

しかし、彼女は自分の真名を同僚はおろか曹操にさえ明かさなかった。それに彼女は曹操がかつて拠点とした街に一月に一度は必ず戻りとある家に入っていく。荀彧のその行動に同僚は疑問に思い彼女に聞くがそれに対する荀彧の回答は男にすら言わないであろう罵声であったという。次第に荀彧の行動を口にする者はいなくなりこの行動は暗黙の了解となっていった。


そんな彼女は今でも家に戻る。彼の為に用意した家に。


彼女は家で一人考える。仕事を終えて帰ってきた自分を料理を作り出迎える彼の姿を。


彼女は一人呟く。いなくなった彼に対する呪詛を。震える声で今日も彼女は彼に対する罵声を続けた。


ヤンデレにしたかったのになんか違う……。ううむ、難しい。


こんな駄作でも続きが気になるという人は評価してください。書くかどうかはそれ見て決めます。

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― 新着の感想 ―
[一言] なんとかハッピーエンドをみたいですね。
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