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筆記試験

「俺は、ディルクスだ!で、こっちが友達のケイン。俺のことはディルって呼んでいいぞ!」


どうやら、こっちの赤髪の親しみやすそうな青年がディルクスで紹介されたエルフ族の青年がケインというらしい。


「私は、シルヴィアと言います。私もシルヴィで構いません。よろしくお願いしますね。ディルさん、ケインさん」

「呼び捨てで構わないぜ、シルヴィ!それでシルヴィに声をかけたわけなんだが………」





***





「神聖なオーラ?」

「ああ、実はケインは東のエルフの族長の息子でな、普通のエルフより神聖な空気とかオーラに敏感なんだ。まぁ、そんなのが分からなくてもシルヴィを見れば誰でもわかるだろうけどな」


確か、エルフ族には東西南北に一つずつ集落があったはずだ。東は風、西は土、南は火、北は水という風に、集落ごとに得意な魔法が変わると聞いたことがある。

だがそれ以前にエルフは神聖な種族とされているため、私からその神聖なオーラを感じたのだろう。

だが、それでも隠している(・・・・・)私のオーラを少しでも感じ取れるのは確かにすごい。


「え~と……」

「ここからは僕が説明します。あなたからとてつもない神聖なオーラを感じるんです」


え、少しどころじゃなくてとてつもないオーラってこともわかってるの?

も、もしかして、ここにきて早々に正体ばれちゃった?


「そ、それは一体どういう……」

「すみません。僕にもそこまでは………」


さすがに正体までは見抜けなかったようだ。


(せ、セーフ!ここは適当にごまかして……)


「多分、私が聖属性の魔法を使えるからじゃないでしょうか?」

「そ、そうなんでしょうか?ちなみにどのくらい?」

「ひ、ヒールが少し使えるだけですよ?」

「そんなはずは……」

「おいケイン。二日後には試験も控えてるんだから、細かいこと気にして試験に支障が出たらどうするんだよ。今は試験に集中しようぜ」


もしかして……


「あの、もしかしてその試験って王立魔法学園のですか?」

「ああ、そうだ!俺もこいつも魔法には自信があるからな!」


へえー、魔法どれくらい使えるのかしら?

ちょっと見させてもらいましょう。《鑑定》!


この世界には、ステータスというものは存在しない。前世のラノベみたいに魔力が上がったりはしない。

じゃあ、この魔法はなんなのかって?そもそもこの魔法は私が作った魔法だ。だから私以外に使える人は今のところいない。

この魔法でわかるのは、相手の名前、年齢、種族、魔力量、神力量だ。とは言っても神力は神竜族など以外にはそもそも存在しない。

魔力量も数値化して見えるわけではなく、体にまとわりついている白い光の大きさで大体の量が分かるだけだ。


っと話がずれちゃったわ。で二人の魔力量はっと……

ふんふん、ディルはそこらへんの人間の五十倍くらいの魔力量ね。

で、ケインは……八十倍くらいか。思ってたよりすごいわ。

学園って意外とレベル高いのね。実技は大丈夫だろうけど、筆記は大丈夫かしら?


「シルヴィアさん……?どうかしましたか?」

「いえ、実は私もその試験を受けるので少し驚いてしまっただけです」

「へぇ、シルヴィも受けるのか!でも今年は逸材がそろってるって話だぜ」


師匠に聞いた話によると毎年試験を受けるのは二万人ほど、そして入学できるのはその中でもたったの二百四十人だけ。

クラスは実力順に分けられる。

上から、、、


Sクラス…二十人


Aクラス…三十人


Bクラス…四十人


Cクラス…四十人


Dクラス…五十人


Eクラス…六十人


と、いう風になっているらしい。


「なんでも今年は勇者がいるらしい」

「勇者?」

「ああ、何でも別の世界から来たらしいぜ。各国の有名な魔法使いを集めて大規模な召喚魔法を行ったらしい。召喚された勇者は全部で四人いるみたいだ」


いわゆるテンプレってやつね。

私と同じ地球の人もいるのかしら?


そのあとも、学園の話で盛り上がり最後には「学園で会おうな!」という約束をして二人と別れた。






***






「う~んしょっと、よし!」


ローブをはおり、深くフードをかぶった私は、大きく伸びをして気合いを入れる。

今日は、ついに王立魔法学園の試験を受ける日だ。


「おはようございます!ディーカさん」

「えっと……確かシルヴィアちゃんだよな!出かけるのかい?」

「はい!学園の試験を受けに行くんです」

「そうかい!厳しいとは思うが頑張ってきな!もし合格したらデザートつけてやるからな!」

「はい!行ってきます」


外に出るといつもより多くの人が歩いていた。しかもそのほとんどが、私と変わらないくらいの年齢の子たちだった。


も、もしかして、この人たちもみんな学園の受験生?!


少々、いやかなり驚いたが、ついていけば学園まで迷うこともないので、私もその集団について行った。






***






しばらくついていくと、目の前に大きな建物が現れた。前世の学校よりも何倍も大きいそれは、学校というよりは城に近かった。


「試験を受ける方は、受付にならんでくださーい」


校門前では学園の上級生と思われる人たちが受験生を案内していた。

私もいくつかある受付の一つに並んだ。

しばらく待っていると「次の人どうぞ」と呼ばれた。


「では、この紙に必要なことを記入してください。書けたら私のところへ持ってきてください」


そうして渡された紙に私は多少嘘を交えながら記入していった。


「書き終わりました」

「ふむふむ、特におかしな点はありませんね。あなたの受験番号は7001です。そこの広場で待っていればそのうち呼ばれると思うので、それまで緊張をほぐしているといいですよ。あと、その受験番号が書かれた紙は絶対に無くさないようにしてください。ちなみに、合格の発表は名前が張り出されるのですがそれについて何か困ることはありますか?」

「いえ」

「では、あちらへどうぞ」


渡された受験番号が書かれている紙を片手に受験生が集まっている広場へ向かった。


またしばらくすると、受験生を呼ぶ声が聞こえた。


「7000から7500番の方はついてきてくださーい」





ついていくと、そこは大きなテニスコートが四つくらい入りそうな部屋だった。

私は一番端の方の席に座った。


「では、今から筆記試験を行います。カンニングを防ぐために隣の席との間には魔法で障壁を置かせていただきます。時間は一時間。終わったとしても一時間がたつ前には絶対に席を立たないようにしてください。その時点で不正行為とみなして退場となります。質問はありますか?」


「「「「「「・・・・・・・」」」」」」


「無いようなので開始とします。では、始め!」


その瞬間、見えはしないが周りからカリカリと筆の音が聞こえてきた。

少し出遅れながらも、私も筆を持つ。

そして軽く問題に目を通したとき、私は驚きで目を見開いた。


えっ………


問題の中には魔法以外の歴史や計算の問題も入っていた。

だが、私が驚いたのはそこではなかった。


……レベルが低すぎる…………


計算に関しては前世で高校生だったこともあり、問題が簡単だった。そこまではわかる。


歴史だって、すでに何千年も生きて実際に見てきた人に聞いたのだから、間違った形で伝わってしまっているところの事実も知っている。


魔法も詠唱のことばかりで、実際には使わなくてもいいものばかりが問題となっていた。




私が逆の意味で動揺していると、周りからも「う~ん」とうなる声が聞こえてきた。



やっぱりみんなも、問題が簡単すぎて動揺しているんだわ!



実際には難しすぎて唸っている他の受験生の声の意味をシルヴィアは間違って受けとってしまった。






シルヴィアの魔力量ですが、全人類の魔力量も簡単に凌駕しています!


チート過ぎる………

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