生徒会長は………
「し、神竜……族?」
「はい」
「……おとぎ話とかに出てくる………あの?」
「えっと……はい………」
これはさすがに信じてもらえなかったかと私は考えを巡らす。
そこで一つの考えが浮かんだ。
そしてそれを実行に移すために部屋にまたもう一つ外から部屋の中が見えなくなる認識疎外の結界を張った。
「え?い、今君三つの魔法を同時に使って………」
普通の神竜族が一度に使える魔法は大抵2~3だ。
今シルヴィアは神竜族の中では平凡ともいえる3つの魔法を同時に使っているが、自分にすらできない3つの魔法を同時に使うシルヴィアを見てアルファルドは驚いていた。
実際にはシルヴィアは最も力を持つ三大神竜と同じ一度に七つという数の魔法を使えるのだが。
「え?これくらいなら普通の神竜族にもできると思いますよ?だいたい、他の神竜族は2~3っていわれてますし」
「神竜族って……竜の姿をしてるんじゃないの?」
そうです!
その言葉を待っていました!
このために認識疎外の結界を張ったのですから!
そのままシルヴィアは体を魔法で五十センチ程にして、青銀の竜の姿になった。
「これでどうですか?」
「ほ、本当に………って、神竜族って体の大きさは自由に変えられるの?きっと、本当はもっと大きいでしょ?」
「はい。私はまだ成竜ではないですが本当は三十メートルくらいですね。あっ、今は魔法で小さくなってます」
「ん?………ってことは……今君4つの魔法使ってる?」
「……まあ、そういうことになりますね」
また沈黙が続く…………
「さっき普通は2~3って言ったよね?なのになんで君は4つも使えるのかな?」
「えっとあの、自分で言うのもあれなんですけど私は神竜族の中でも特別?なんです。まあ、実際には私というより私の親がなんですけど………」
「親?」
おそらく、私が神竜族であるという事実と自分が神竜族であるという事実で頭がいっぱいでそれ以外はあまりよく聞いていなかったんだろうと思った。
「えっと、さっき自己紹介で言ったんですけど私の父、《海》を司るヴィルヘルムっていう竜なんですけど聞いたことありません?」
「は、はあああぁぁぁぁぁぁぁああああ!?!?」
突然奇声を上げたアルファルドに対し、何をそんなに驚いているのかと目を見開いた。
自分が神竜族だと知っても殆ど動揺しなかったのに、どこにそんなに驚く要素があったのだろうか、と。
「ど、どうしたんですか?!さっきも殆ど驚かなかったのに………」
「だ、だって、確か神竜族って伝説上ではこの世の物事一つにつき一体いるんだよね?」
「そうですけど………?」
それが何か?という感じでシルヴィアはアルファルドに聞き返した。
「そうですけどって………だって、それってつまり数は多くなくてもそれでもかなりの数がいるんでしょ?」
「まぁ、そうですね」
「それなのに、あの三大神竜の一角のヴィルヘルム様が君の………」
そこでようやくシルヴィアにはアルファルドが驚いた理由が分かった。
よくよく考えてみれば、確かにいきなり現れて自分は伝説の神竜族だといった、怪しい少女が信仰されている神の娘だったら…………それは、驚くだろう。
というか、自分で怪しい少女とか言ってると悲しくなってくるわね…………
「あ、あの、色々と混乱されているのは分かりますが、そろそろ本題に入っていいですか?」
「え?君は私が神竜族だと知っていて、それを僕に教えに来たんじゃないの?」
「え、ええっと、実はあな他の存在を知っていてこの国に来たわけではなくて、あなたに出会ったのは偶然なんです。それでここからが本題で、私がこの国に来た目的なのですが…………」
そうして、私は会長に今起こっている不可解な事件の内容と忠告をした。
***
「そ、そんなことが………」
ことの全容を聞いたアルファルドは私の父までもが負けてしまったことに驚きを隠せないでいた。
「それで会長、迷惑でなかったら私に協力してもらえないでしょうか!!!」
シルヴィアはアルファルドに90度の綺麗なお辞儀をした。
「もちろんだよ。だから顔をあげて」
「!………本当ですか?!」
「もちろん。あと君に一つ聞きたいことがあるんだけど………」
「なんですか?」
「………僕が一体何を司る神なのかっていうのは分かる?」
それはさすがにシルヴィアの魔法でも分からない。ただ…………
「何を司っているのかは分かりませんが、神力量から会長はおそらくまだ成竜ではないと思います」
「?」
「あ、ええと、つまり会長が引き継いで成竜になっていないと思われるので、会長の実の親がまだ生きているということですね」
「ほ、本当?!」
「はい。おそらくは………」
ここでシルヴィアには一つの考えが浮かんでいた。
もしかすると自分と同じかも知れない………と
よっぽどのことがない限り愛情深い神竜族が子を手放すはずがない。
つまり…………
この事件がいつ頃始まったのかは分からないが、もし会長の親が黒ローブの集団に連れていかれて、会長が物心すらついていない時期にそれが起こったのだとしたら事件は二十年以上前からという可能性が高い。
また、それだけでなく最強とうたわれる父ヴィルヘルムを最初に狙ったというのは考えにくく、そして父に敵う様な力を手に入れるのには周到な準備とそれに見合う時間がかかったはずなのだ。
これを伝えようとシルヴィアが口を開いた。
「あ、あのっ!「大丈夫。わかってるよ。僕の親もその事件に巻き込まれている可能性が高いって言いたいんでしょ?」っどうして………」
シルヴィアは今まさに言おうとしていたことを先に言われてしまい少したじろいだ。
「だって今、君が話してくれた君自身の話どことなく僕の状況と似てるでしょ?」
「ええと、まぁ、はい」
だからと言ってさっきから、こんなに冷静に物事を判断しているのは普通ではありえないと思った。
「あ、あと、つい先ほど会長が何を司っているのかは分からないと言ったのですが、神力を使えるようになってそれが何の力なのか分かれば分かりますよ」
「そっか………えっとシルヴィアさん?協力する代わりと言ってはなんだけど、僕に神竜族のこと色々教えてくれないかな?」
「え?」
「せめて、その神力とか使えるようにならないと役に立てるかもわからないからね。それ以外にもさっきの言葉とか…………ダメかな?」
「いえ、そんなことありません。もちろんいいですよ。まぁ、時間があるときだけになりますけど…………」
「じゃあ、これからよろしくね。シルヴィアさん」
「はい。こちらこそ。会長」
そうして、私は次の週末に会う約束をして生徒会室を後にした。




