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生徒会室

昼休み、私は生徒会室の前に立っていた。


「よし!」


意を決して生徒会室の扉をたたく。

コンコンコン………。


「失礼します。新入生のシルヴィアです。先生から生徒会に入れということで挨拶をしに来ました」


そういうと、扉の向こうからどうぞという、入室を許可する声が聞こえてきた。


「し、失礼します………」


部屋の中にいたのは、入学式のときに見たあの生徒会長だけで他の生徒会のメンバーはこの場にはいないようだった。


「やぁ、はじめまして。僕はアルファルド・フォン・エルスタ。一応この学園の生徒会長を務めているよ。みんなには会長って呼ばれてる。よろしくね」


そう言いながら、こちらにまぶしい笑みを向けてきた。


「は、はい。えっと、よろしくお願いします。あの……ちなみに他の生徒会の方々は………」

「あぁ、みんなは今、生徒会の仕事をしていて忙しいんだ」


あなたは?


と思ったのが顔に出ていたのか、会長はぷっと吹き出していた。


「僕はもう仕事は全部終わらせているから大丈夫だよ」

「え?あ、すみません………」

「いや、大丈夫だよ」 


 

それにしても………


私が神竜族だってことに気づいてない………?


いやいや、さすがにこの状況で…………



「えっと、会長?」

「ん?何?」


だ、だめだわ………これは確実に気付いてない顔よ……!


そ、それなら……!



そう思い私は神竜族語で話しかけてみることにした。


これは、はるか昔から神竜族だけが使っている言語であり、普段は使ったりしないが神竜族にしか発音できないため、なにかと便利な言語で神竜族ならば誰もがしゃべれるものだ。またこれを聞き取れるのも神竜族だけだ。


そして私は会長に向かって話しかけた。



『いきなりですが、会長って神竜族ですよね?』



すると、アルファルドは、少し困った顔をして言った。



「ごめんね。僕は殆どの言語は話せるんだけど、今君が使った言葉は聞いたことがないみたいだ。できればさっきみたいに普通に話してくれるかな?」



アルファルドは嘘をついているようには見えなかった。


そして、神竜族以外には聞き取れないはずの言葉を意味は分からなくても、確かに聞こえている。

神竜族以外だと、ただ私が口を動かしただけにしか見えないはずだ。


つまり、会長は神竜族だということだ。


ただ、この言葉を知らないとなると親の神竜族に教えてもらえなかったということになる。


もしこの仮説があっているならば、親といた期間がとても短く自分が神竜族であることすらも知らない可能性が高い。


でも、じゃあどうやって体をを人間の姿に変えているのかしら?


もしかして、自分が人間だと思って無意識に姿をかえている?


だけど今のところその可能性が一番高いわね。




…………。




まぁ、とにかくさっきので会長が神竜族だということが分かった。



ただ、これをどう説明するかが問題だった。


ただでさえ神竜族は伝説上の存在とされており、もし信じているものがいたとしても皆大きな竜の姿を想像するだろう。

それをあって間もない少女にあなたは神竜族ですなんて言って、頭がおかしいと思われるのは想像がつく。



だからといって、そのままにしておけば他種族に正体がばれるか、黒ローブの集団に狙われてしまうかもしれない。



うーん、どうしたものかと、悩んでいたが特になにもいい案は浮かばないため、正直に伝えることにした。


「すみませんでした。えっと………話したいことがあるのですが、いいですか?」

「うん?別にいいけど………」

「じゃあ聞かれたらまずいので、この部屋に侵入を妨害する結界と防音の結界をはらせていただきますね」

「え?」

「えい」


そう言ってシルヴィアがまた無詠唱で同時に二つの魔法を使った瞬間、それまで余裕そうに笑っていた顔がわずかにうろたえた。


「………君は、いったい何者だい?」


見るからに、こちらを見ている会長は私を警戒していた。

それはそうだろう。同時に複数の魔法を使えるのは神でもある神竜族だけなのだから。


「えっと……そんなに警戒しないでください。私は敵じゃないですよ」

「先にさっきの質問に答えてくれるかな?君は、何者だい?」



なんか私、今、悪役っぽくない?!


別にこの人に対して自分の正体を隠そうとかは思ってないのに、なぜか今の問い詰め方は主人公が悪役の人を問い詰めている感じがするわ………!


と、それはともかく早く答えないとまた、あやしまれそうですね。


「えっと……簡単に言うと、あなたの同族です」

「同……族………?」

「えーとですね。あなたは自分が人とは違うんではないかとか思ったことはないですか?」


そう言い放った私の言葉に会長の体がわずかに反応した。

それを肯定とみなしたうえで私は話し続ける。


「あと、さっき私が使った魔法。あれくらいなら会長でもできると思うのですが………」

「………驚いたよ。全部その通りだ」


アルファルドはようやく自分のことを分かってくれた人が現れたといわんばかりに、切なそうな笑みを浮かべた。


「ごめんね。いきなり警戒しちゃって………」

「い、いえ!いきなり妙な行動をした私が悪いので………!」


………。


長い沈黙が続いた。



「えっと」

「は、はい!」


長い沈黙が続いたせいで、シルヴィアは妙に緊張していた。


「それで僕はいったい何なのかな。君の話しぶりからして僕は人間じゃなさそうだし。君は僕のことを同族と言ったけれど、君は魔法が得意なエルフでもないよね?もしかして、悪魔だったりするのかい?」


アルファルドは自分をあざ笑うかのように言った。


って、それだと私も悪魔ということになるんですけど?!


「私は、悪魔なんかじゃありません!」

「あははは、ごめんごめん」


………。


「あの、自分の種族を知らなかったってことはご家族の方は………」

「うん。本当の両親じゃない。でもみんなとても良くしてくれるいい人たちなんだ」


アルファルドの口ぶりから、彼が家族を心から信頼しているということが分かった。

だが、私は残酷なことだとわかっていてもこれだけは、彼に約束させておかないとならない。


「会長、申し訳ないのですが自分の種族を知っても誰にもそのことを告げないと約束できますか?」

「……うん。わかっているよ」

「そ、そうですよね。大切なご家族に隠し事なんて………って、ええ?!」


予想よりもはるかにあっさりとしていた答えに驚き、シルヴィアは思わず声を上げてしまった。


「すみません!でもどうして……」

「だって、悪魔とかじゃないにしても人間でもエルフでもないし、さっき君が防音の結界を張ったんだから一般的なよくいる種族じゃないんでしょ?なら、むやみに言いふらしたりしない方がいいと思ってね」


シルヴィアはこの言葉を聞いてこの人ならきっといっても大丈夫だと思った。


「すみません。ちょっと驚きました。というか私まだ名前以外何も言ってませんよね。改めまして………」


そう言って、片足を少し後ろに下げ制服のスカートの端を少しつまみ、だれもが見とれてしまうような笑みで優雅に礼をしてつげる。


「私は神竜族のシルヴィア。《海》を司る竜でありまた、神でもあるヴィルヘルムの娘です」




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