入学式
今日は学園の入学式だ。
学園から届いた制服に袖を通す。
貴族なども多く通う学園だからか着心地も良いし、デザインもとでもシンプルながらに上品だ。
「じゃあ、行ってきます!」
「ああ、いってらっしゃい。たまには顔を出しに来てもいいからな」
そう言って、宿を後にした。
今日からは学園の寮が使えるため今日が最後の日だったのだ。
外へ出ると試験や合格発表の時とは違い、学園の制服を着ている人は殆どいなかった。
学園の上級生はすでに寮で暮らし、学園の生徒の殆どは本格的に教育を受けてきた貴族などが多いからだ。
それにしても………妙に視線を感じるのですが……
今日は制服を着ていてローブを着ていないため、シルヴィアの姿はとても目立っていた。
そんなことがありながらも、学園まで辿りついた。
「新入生は受付に並んで一度説明を受けてからホールに移動してくださーい」
そんな声が聞こえて私も他の新入生と同じように受付に並んだ。
するとそこでも強い視線を感じた。周りではひそひそと何か言われている。
(お、おい、あの子とんでもなく美人だぞ………!)
(どこかの上流貴族のご令嬢かしら……お美しいわ……)
残念ながらそんな周りの声はシルヴィアの耳に入らなかった。
わ、私どこかへんかしら……学校に通うのも久しぶりだし………
「次の人!」
「あ、はい!」
ぼっ~としていて、前の人が終わったのにも気づかなかったようだ。
「うわっ、な、名前と受験番号をお願いします」
ええ……うわって何……地味に傷つくんですけど……
「は、はい。シルヴィアで受験番号は7001です」
「はい、シルヴィアさんで7001ですねって、え、えええぇぇぇぇええええ!!!!」
いきなり、大きな声を出されて思わず耳をふさいでしまった。
何事だと思った時には、受付の人が目を輝かせていた。
「も、もしかして、噂のシルヴィアさんですか?!入試主席の!」
その言葉に周囲の視線が驚きのものに変わった。
(ま、まさかあの子が噂の入試主席の奴なのか?!)
(でも、確かに噂通り人間離れした美しさだ………)
「は、はぁ……って、噂ってなんですか?」
「そりゃあもう、学園の結界を破壊して筆記でも専門家の方にも分からないような解答をしたっていう!しかも、話が盛られていたと思っていたけれど………」
最後のほうは良く分からなかったが、なんか頭のてっぺんから足のつま先までじっくりと観察されている。
「あ、あの………?」
「はっ!す、すみません!それより説明ですよね……!」
そのあと、入学式の手順などをひとしきり説明された。
「あ、そうでした。シルヴィアさんは入試で主席でしたので、この後の入学式で新入生代表のあいさつをしてもらいますので、考えておいてくださいね」
「え、ええぇぇぇええ!!!」
今度はシルヴィアが大声をあげた。
「新入生代表挨拶?!ど、どうしてわたしが?!、ただの平民ですよ?!」
「この学園は身分差別が禁止されていてすべて実力主義なので、今回主席だったあなたが挨拶をします。ま、まぁ、確かに平民の方が主席で挨拶をするのは前代未聞ですけれど………」
「そ、そんなぁ……」
「まぁ、頑張ってください!応援してますから!ホールはあちらです」
「………はい。わかりました、ありがとうございます」
気持ちが沈んだままシルヴィアはホールへと向かった。
***
「これより、入学式を始めます。まず校長先生から一言お願いします」
入学式が始まりまずはじめに壇上に上がってきたのは、貫禄のあるお爺さんだった。
どうやら彼がこの学園の校長先生らしい。
「新入生諸君、入学おめでとう。この学園の校長を務めている、イザン・フォン・グリサドだ。」
この言葉の後にもこの学園のことや、勉学についての話など、一言というには長すぎる話が続いた。
「あ、ありがとうございました。次に生徒会長からお願いします」
生徒会長って確か私の前の歴代最高点の………
そんなことを考えていると、壇上に白金色の美しい髪と金色に輝く瞳をした人間とは思えないほど綺麗な青年が上がってきた。
んん?んんんんん?この気配もしかして神竜族?でも一体誰?
人が近い距離に並んでいて細かく分からなかった。
もう少し気配を感じ取るのに集中するとどうやら前方の方からだった。
もしかして………
私はとりあえず目の前の生徒会長を《鑑定》してみた。
頭に浮かんできたのはアルファルド・フォン・エルスタと言う名前。
そして、年齢と人間ではありえないほどの魔力量。
そして何より神竜族という種族と他の種族には存在しないはずの神力だった。
そんなことをしていると、いつの間にか生徒会長の話は終わっていた。
と、とりあえず機会があったらあの生徒会長にも知らせておくべきよね!
生徒会長……それも貴族の方と話す機会なんてそうそうないけど…………
私が神竜族ってことにも、さすがにあの場じゃ気づいてなさそうだし………
私は、はぁ……とため息をついた。
「次に新入生代表、今年度入試主席シルヴィアさんお願いします」
「あ、は、はい!」
ついさっきまで、考え事をしていたせいで、反応に遅れてしまい少し恥ずかしくなった。
周囲からは、こそこそと耳打ちが聞こえてくる。
おそらく、今の私の返事を気にしているのだろう。
そのまま、少し顔を伏せながらも私は壇上に上がった。
「ご紹介に預かりました。新入生代表シルヴィアです。今日このよき日に、この王立魔法学園に入学できたこと、心から喜ばしく思います。」
そう言って、少しの微笑みを浮かべると周囲からおお、という声が上がった。
だが、そんなことも気に留めずシルヴィアは話を続ける。
「この学園で過ごす三年間で、魔法の才能を伸ばしていけたらいいと思っています。学園のご先輩方、そして学園の諸先生方、初めはご迷惑をかけることもあるかと思いますが、三年間ご指導ご鞭撻の程よろしくお願いいたします。新入生代表シルヴィア」
言い終わると、周囲からは大きな拍手が聞こえた。
やりきったという気持ちにシルヴィアは、ほっと息を吐いた。
そのあと、元の席に戻りまたしばらく入学式は続いた。
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