日常
初めての投稿になります!
まだおかしなところが、たくさんあると思いますので教えていただけるとありがたいです!
「《極寒地獄》!」
そう私が言い放つと、それは瞬時に体中に流れている私の莫大な量の魔力が氷となって辺り一面を凍らせた。
「わぁ……綺麗………」
いきなり気温が下がったことによって空からは雪が降ってきていた.私はしばらくの間その美しい光景に見とれていた。
「……って、そんなこと言ってる場合じゃないじゃない!」
私の今の名前はシルヴィア。年は来月で十六歳になります。
私には生まれた時からこことは違う世界の、日本という国で生きていた記憶がありました。
私の前世での名前は御園香織というごくごく普通の高校生でした。
でも高校ではなぜか身に覚えのないことを言いふらされ、それからはクラスの友達からも暴力などのひどいいじめにあっていました。
そんな中私は交通事故で死にこの世界に転生しました。
前世では私が幼いころに両親とも亡くなってしまっていたため、今世で私に愛情をたくさん与えてくれる両親もいてとても幸せでした。
そう、あの日までは、、、
って、私ってば誰に向かっていっているのでしょうか?!
(そ、そんなことより早く隠れなきゃ!)
シルヴィアはあたりを見回して先ほどの自身の魔法で凍ってしまっていた近くの茂みに身を隠した。
(ふぅ……これでひとまずは安し……)
「シィ~ル~ヴィ~?」
「ひぃっ!」
突然誰もいなかったはずの後ろからドスのきいた声で名前を呼ばれて、シルヴィアは思わず小さな悲鳴をあげてしまった。
「し、師匠………」
振り返るとそこには緑色の髪を腰まで伸ばし、眼の色も髪と同じ深い緑色の銀縁眼鏡をかけている、人間とは思えないほどの風貌をした美青年が黒い笑みを浮かべて立っていた。
(まぁ実際、人間の姿に形を変えている神竜なんですけどね……)
彼は、幼い頃森の中に一人で倒れていた私を助け育ててくれた命の恩人だ。
また、他種族の中では伝説上の種族とされている神竜族である。神竜族の成竜は必ずなにかしらを司っている神なのだが、司るもの一つにつき一体しか司ることができないという決まりがあった。例えば、火を司っている竜がいるとしたらその火を司っている竜は世界に一体しか存在できないということだ。そして、ほとんどの場合竜が死ぬとその竜の子供の竜が自分の親が司っていたものを司る竜になっていた。
司るものがすでにある竜は、成竜といい、まだ子供の司るものがない竜は子竜といった。
話を戻すが彼の名前はルーシュトレイドといい《知恵》を司る竜であり神である。
そして、魔法と知識を教えてくれた私にとっての師匠でもある。
「これは一体どういうことですか?」
「えっと、軽くかる~くですよ?魔法の練習で《極寒地獄》を使ったらですね……こんなことに………」
「それ氷属性の神級魔法じゃないですか……なに気軽に私にも使えないような魔法使ってるんですか……私だって魔法はあまり得意ではありませんが、これでも一応神に位置する神竜なんですよ!」
師匠は疲れたと言いたげな顔を私に向けてきた。だが私も負けずに反論する。
「で、でも師匠!私はそもそも人間じゃありません!だからこれは……普通、そう!これくらいが普通なんですよ!」
そう私は力説した。すると師匠は大きなため息をひとつ吐いた。
(もしかして、わかってくれた?)
すると、返ってきたのはシルヴィアが期待していた答えと全く違う答えだった。
「ええ……そうですよ…そうですとも!あなたはあの方の娘でありそれだけでも神竜族の中で圧倒的な力があるというのに、それに加えてあの方にも勝る魔法の才能と魔力量と神力量、そして知識!それもまだ完全に神格化していないのにです!そのうちあなたがあの方の後を継いで完全に神格化したときにはあの方やあの方たちおも超えるでしょう。最強といわれる私たち神竜族の中で最強ということは世界で一番ということなんですよ?!いずれそうなるであろうあなたが、もっとしっかりしてくれないと!」
最後まで言い終わったときにはもう、ルーシュトレイドは息をきらしていた。
「えっと…師匠、ほめてくれたんですか?」
「そんなわけないでしょう!」
「えぇ……違うんですか………」
「はぁ……どうしてあなたは頭もいいのに、そう抜けてるところがあるのでしょう……」
「うーん……多分遺伝だと思いますよ?父様も結構抜けてるところありましたし……」
「あなたのことですから、それも根拠のない話なんでしょうね……」
「ほ、本当ですよ!信じてください!」
師匠は信じてくれないが、シルヴィアには自分よりも父の方が抜けているところがあると思っている。
「はいはい、分かりましたよ……それより早く家に戻りますよ、あなたに大事な話があります」
いつになく真剣な表情をしているルーシュトレイドを見てシルヴィアも身を引き締めた。そして、二人は二人で暮らしている家に帰っていった。
***
「それで師匠?大事な話ってなんですか?おおよそ父様か神竜族あたりの話なんでしょうけど……」
「こういうときは、本当に鋭いんですよね………そう、あなたの予想通りそのどちらにも関係のある話です。まず最近、神竜族が次々と姿を消していることが分かりました。それも、十年以上前から」
「そ、それって……」
「えぇ、おそらくあなたのお父上であるあの方と同じく捕らえられたのでしょう。ですが、我々神竜族を伝説上の存在だと思っているはすの他種族の奴等が、なぜ我々の存在を知っているのか。そして、捕まえた神竜族を何に利用しているのか、そしてどうやって奴らがあの方よりも勝る力を手に入れたのか。通常であれば、たとえあなたとその母親を守りながらの戦いでもあの方なら敵が何百、何千人いても決して負けることはないはずです。なのに負けた。これはどう考えてもおかしいです。」
「つまり神竜族を捕まえて何か企んでいる人たちがいると……」
「えぇ、おそらくですが。幸い行方不明になっているのはなぜか成竜だけです。そこであなたに提案があります。人間の国へ行き、王都で情報を集めてきてくれませんか?」
「え?師匠は一緒に行かないんですか?」
師匠は《知恵》を司る竜ということもあってか、疑問に思ったことや知らないことを自分自身で見て真実を突き止めようとすることが多かった。なので今回も師匠が自分で行って調べると私は思っていた。
「えぇ、私はここに残ります。本当は私自ら調査しに行きたいんですけどね」
「な、ならどうして………」
「先ほど言った通り今のところ狙われているのは成竜だけです。つまり子竜であるあなたは今ところ安全です」
「だったらなおさら私といた方が「安全……ですか?」…っそうです……」
「確かに私は成竜なのに圧倒的な力を持つあなたには全くかないません。そして敵はあなたのお父上さえもかなわなかった力を持っています。もし、奴らと遭遇した時に私がいたら、あなたの足手まといになりますし、そもそも狙われていないはずのあなたまで捕まってしまうかもしれません。それに、今はいなくなった彼らが生きていることが消えた竜たちの子供が、親の竜が司っていたものを受け継ぎ成竜になっていないことからわかります。そしてあなたのそのネックレスからもあの方の魔力をしっかり感じます。ですが捕まっているということはいつ殺されてもおかしくないということです」
シルヴィアがいつも身につけている青色の透き通った綺麗な宝石が付いているネックレスは、まだシルヴィアが幼いころ父と母と三人で暮らしていたときにシルヴィアの父が自分の魔力をまとわせてシルヴィアに渡したものだった。魔力はその本人が死んだときに完全に消滅するものなので、シルヴィアの父が生きていることは明らかだった。そしてシルヴィアがこれまで明るい性格のままでいられたのは、このネックレスのおかげだった。
「……つまり私が一人で行ったほうが安全かつ自由に調査ができるというわけですね…」
「そういうことです」
「……わかりました.私が一人で王都にいきます」
「…それでですねぇ……」
「え?まだ何かあるんですか?」
「あなたには、王都の王立魔法学園に行ってもらいます」
「……はい?…えっと、どうして調査に行くのにその王立魔法学園?とやらに行かなければならないんですか?」
「……あなたは王立魔法学園がどのようなところか知っていますか?」
「……いえ…」
「まず学園はこの大陸で一番の大きさのシルヴァート王国にあります。シルヴァート王国がどのような国かは知っていますね?」
「実際に行ったことはないので詳しいことは分かりませんが、確か国民の殆どが人間族で周りの獣人族やエルフ族とかの、その他色々な種族と協力して魔王を倒そうとしている国ですよね?」
「まぁ、協力というよりは魔族国に攻め入られて国政がボロボロになっているところを保護という名目で、無理やり協力させているだけなんですけどね………まぁつまり、シルヴァート王国には今,他種族も多く暮らしています」
「ええっと、つまり?」
「王立魔法学園は魔族国に対抗するためにその戦力となる者たちを育てるための学園です」
……なるほど!わかったわ、つまり…
「つまりそこには、魔法が得意なエルフや獣人とかの戦力になる種族も多く通っていて、よりたくさんの情報が集められるってわけですね」
「そういうことです。ちなみに学園は完全実力主義です。まぁ、あなたなら座学も実技も余裕でしょうけど………あ!あと実力主義なので平民もいますが、魔力量が多く生まれてくることも多い貴族も多く通っていますから態度とか気をつけてくださいね!で!ここからが本題です」
な、なんか、話長くない?私ってそんなにダメかなぁ………
「な、なんですか……」
「座学はともかく実技は絶対に手を抜くんですよ?あなたが魔法の練習とか言って少し魔法使うだけで、王都とその周りの領は地図から消えてしまいますからね?」
師匠は前世風に例えるなら本気で、と訴えるような眼で………って、はああぁぁぁああああ?!
「そ、そんなことするわけないじゃないですか!少しは信用してくださいよ!」
「いやいや、信用するも何もあなたついさっき、やらかしたじゃないですか………」
「あ」
そういえば、さっきの《極寒地獄》の魔法、練習で軽く使っただけなのに私の魔力量が多すぎて、私を中心に先二十キロメートル以上先まで凍りついていたような………
「ま、まぁ、これから気をつけますから……」
シルヴィアとルーシュトレイドが住んでいるのは一番近い人里からでも四十キロメートル以上離れた魔物が住んでいる森の中だった。それも、かなり強力な魔物がいるのでほとんどの冒険者は三キロほど先までしか進めないためシルヴィアが魔法を使っても誰も気づかなかった。
「はぁ……とにかく魔法は普通の人間レベルで抑えて、正体だけは絶対にばれないようにしてください……これ以上目立ったら…………」
「え?私、目立ってます?」
「あなたは自分の見た目の価値を自覚してください……」
「……確かに父様と母さまに似て可愛いなぁとは、思ってますけど………」
私がそう答えると師匠が何かつぶやいていたが、声が小さくてうまく聞きとれなかった。
「え?なんですか?師匠」
「………いえ、何でもありません。学園の試験は来月です。一週間後には出発してもらうので今日はもう休んでください」
「……わかりました。おやすみなさい」
そう、言い残してシルヴィアは自分の部屋に戻り眠りについた。
投稿が遅れることがあると思いますがご了承ください。