表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/33

不要不急?

 ナンナが使用人に手紙を出して来てもらおうと部屋から出ると、廊下でばったりノーラに出会った。ノーラはナンナが大事そうに握りしめている手紙を見つめて、やれやれと肩を竦める。


「イアン君に出すの? 非常事態宣言が出ても、お姉ちゃんはやる事が変わらないわね」


 ナンナは、少なくとも週に一度はイアンに手紙を出していた。それだけよく話す事があるものだとノーラからは呆れられるが、ナンナは日々の些細な事でも、充分イアンとの話題になると思っていた。


「ノーラには分からないわよ。この間、また恋人と別れたんでしょう?」

「あれはあいつが悪いの!」

 ノーラは眉を吊り上げた。


「だって、私の親友のビアンカの事、悪く言ったのよ! それに自己中心的っていうか、とにかく嫌な奴だったわ! ……あーあ、どっかにイアン君みたいな、従順な男が転がってないかなあ」

「あのねえ、ノーラ……」


 その言い方だと恋人ではなく、奴隷を欲しているようではないか。これでまだ、『悪役病』にかかっていないのだから驚きだ。


 その時、向こうから使用人が歩いてくるのがナンナの目に入った。ちょうどいいので、手紙を出しに、郵便公社まで行ってもらうように頼む。去っていく使用人を見ながら、ノーラはため息をついた。


「私もビアンカに手紙でも書くわ。お姉ちゃんが使用人に、不要不急の外出をさせてるって、愚痴ってあげるんだから」

「こ、これは必要な事よ」

 動揺しつつもナンナは返した。どうだか、という目でノーラはナンナの方を見る。


 こんな事をしてはいけなかっただろうか、とナンナはしばし気に病んだが、数日後にイアンからの返事が来た事によって、そんな罪悪感は一気に吹き飛んでしまった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ