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ゴブリンは抹殺だぁ!

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆


 ゴブリン。

 小さな子供くらいのやせ細った体躯に醜悪な顔つき。

 人間の女性をさらって苗床にする最低最悪のモンスター。しかも無駄に知能が高い。

 放っておくと大量発生するので抹殺推奨のモンスターだ。


 一匹一匹は雑魚でしかないが、進化すると面倒なものも出てくる。 

  

 人間とも正面から渡り合う『ゴブリンソルジャー』。

 守りに特化し、他のゴブリンの補助をする『ゴブリンシールダー』。

 遠距離から連続で矢を射る『ゴブリンアーチャー』。

 様々な魔法を駆使する『ゴブリンシャーマン』。

 そしてオールラウンダーの『ホブゴブリン』。


 これらのゴブリン上位種は、下位種と比べるとかなり面倒な部類に入るが、まだましな方だ。

 本当に面倒なのが更に上位のゴブリン種。


 ゴブリンの変異種、『ゴブリンオーガ』。

 同じく変異種、『ゴブタウロス』。

 雌ゴブリンの最上位種『ゴブリンクイーン』。

 雄ゴブリンの最上位種『ゴブリンキング』。


 これらの危険なゴブリン種はゴブリンの巣穴を放っておくことで発生してしまうことが多い。

 これらの上位ゴブリン種が発生した場合、近隣の町や村がどんな悲惨なことになるかは想像に難くない。

 そういった観点からもゴブリンは雑魚モンスターでありながら抹殺推奨のモンスターでもあるのだ。


 うん、抹殺推奨。

 見つけたら殺せ。

 それぐらいヤバい奴らってことです。



◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



「ゴブゥゥゥアアァァァァ!!!」

「ブゴッ!ゴブゥゥゥ!!!」

「ゴブェェェェェェ!!」


 ゴブリンの巣へと向かう途中。

 エド達の前にわらわらと前方の草むらから大量のゴブリン達が現れた。

 おまけに一匹一匹の装備までナイフやら片手剣やらしっかりしている。

 予想以上に危険な巣穴を引き当ててしまったみたいだ。


「お前等ぁぁ!! カス共のお出ましだ!家族を守りたけりゃあ全力で皆殺しにしやがれぇぇ!!!」


「「「ヒャッハァァァァ!!!」」」


 片手剣に片手槍、銃に両手槍、さらにはククリナイフまで。

 猟師達は各々の得意な武器を手にゴブリン達に真っ向から襲いかかる。


「さて、ローチ。僕たちも行こうか」


『りょーかい、ますたぁ!』


 前方は猟師側が優勢........だけどこれだけのゴブリンの軍隊がこんなあっさりやられるわけがない。

 何処かに別働隊が居ないかと辺りに目を凝らすと、


「見つけた。僕たちはアレをやるよ!」


 今いる場所から一番大きなゴブリン達の群れを正面にして右側の方向。15程のゴブリンの群れが回り込むように静かに迫ってきていた。

 

 エドは槍を携えてその方向へと一気に駆けていく。

 後方に居た猟師のおじさんの何人かも後ろからついてきた。


「ゴブッ!?ゴブゴブゥゥ!??」


「はぁぁぁぁっ!!」


 わき目もふらずに突っ込んできた僕にゴブリン達は動揺しているらしく、慌てたゴブリンによって戦列が崩れる。


「ふっ!ぜあぁぁっ!」


 グルグル槍を振り回してゴブリン達を吹っ飛ばす!

 上段から叩き斬る!

 下段で横から斬り飛ばす!

 そして刺すべし!刺すべし!刺すべし!


『風刃!風刃!風刃!』


 ローチも肩の上から風魔法を連発してガンガン肉を削りまくる。


 ゴブリンの頭が、腕が、足が、みるみるうちに斬れては吹っ飛んでいき肉片が宙を舞う。

 スプラッターがなんのその。

 

「『火球(ファイアボール)』!!」

『フォローウィンド!!』


 エドとローチは一気に五つ繰り出した火球をフォローウィンドで威力を上げてゴブリンの群れにぶち込んだ!


―――ドゴォォォォォン!!!


 ゴブリン達が粉々になって吹っ飛ぶ。

 後ろのおじさん達から「ヒャッハァァァ!」と歓声が上がる。


【ゴブリンの群れを討伐しました】

【経験値を600獲得しました】

【レベルが上昇しました】

【Lv.20→Lv.22】

【火魔法スキルLvが1上昇しました】


 システムメッセージが流れる。

 ゴリアテさん達の方を見れば、ゴブリンの本隊の方もかなり削れたみたいだ。

 其方の方からも歓声が上がって、本隊のゴブリン達はあっけにとられた表情をしては首チョンパされる。


「いいねローチ、ノってきたよ!」


『ひゃっはーなのーっ!』


 ナチュラルハイっていうのかな?これ?

 身体がとても良く動く。調子がいい。

 こんなにテンションがあがるなんて、エドもヒャッハー達に毒されてしまったみたいだ。

 朱に交われば朱くなるってか。


 血の付いた槍をヒュンヒュン回転させて血を飛ばす。

 マジックバッグから布を取り出すとそれでぐいっと血を拭った。


「ようし!本隊も潰すぞぉぉぉ!」


「「「Yahaaaaaaaa!!!!」」」


 ついてきた猟師達を鼓舞して今度は本隊に突っ込んでいくエド達。



「「「ヒャッハァァァァァ!!!」」」


 作戦に失敗し、上手く統率がとれなくなったゴブリンの群れにわらわら群がるヒャッハーな猟師達。


 ある者はナイフで首を斬り飛ばし。

 ある者は槍で心臓を突いて殺し。

 ある者は棍棒で脳天をぶちぬき。

 そしてまたある者は狂ったように剣で全身を斬りまくる。 


 ポンポンとゴブリンの首が飛びまくる。

 ゴブリンの肉片がぐちゃぐちゃと地面に飛び散る。

 臓物がゴブリンからだらりと流れ出てぐちゃぐちゃと踏みつぶされる。

 

 猟師側の、圧倒的勝利だった。











 数分後、森の一角に大量のゴブリンの死骸が散乱して、それに大量のシデムシが群がっていましたとさ。

 めでたしめでたし。





 あっ、シデムシっていうのは死肉とかを食べる虫です。 

 『森の掃除屋さん』とも呼ばれていて、森の環境を整えるのに貢献してくれていますよ。

 幼虫はなんだかグロっぽくて僕は少し苦手ですけどね。

















◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆



『じゃねーよ!何でやられてんだよお前達は!このグズッ!マヌケッ!』


『『『申し訳ありませんっ!陛下っ!』』』


 一糸乱れぬ動きで頭を下げる側付きのゴブリン達。


『ったく村の場所がわかったから若い人間の女が手に入ると思ってたのによぉ!こちとらゴブリンのメスには飽き飽きしてるんだ!

 何なんだよその人間の男ってのは!』


 そうすると一人のゴブリンが前へと進み出る。


『はっ!恐れながら陛下!その人間の男は成人したての雑魚だった筈で御座います!』


『して、何故お前達はその雑魚に殺されてるっ!何処が雑魚だ!何処が!?』


『恐れながら陛下っ!実は男一人ではなかったのです!村の猟師達も来ていたのです!そして!そ、そして..........』


 そこで、そのゴブリンは言葉に詰まってしまった。


『そして?』


『そ、その.........ゴキブリが...........』


『ぬっ!?ゴキブリだとっ!?何処に居る!』


『あああ!違います陛下!敵に居るゴキブリが滅茶苦茶強いのです!

 訳の分からない魔法を使ってくるのです!』


『はあああぁぁぁぁ??!ゴキブリだとぉ!?

 貴様余を愚弄しているのかっッ!!』


『滅相も御座いませんっ!しかし!ゴキブリが!ゴキブリがとても強く!』


『ああもう五月蠅いっ!下がれ!下がれぇぇ!』


『へっ、陛下っ!しかし最後に一つだけご報告がっ!』


『ああもうなんだよ!早く言え!』


『実はその猟師達と男が一直線にこの城へと走ってきてますぅぅぅぅぅぅ!!!』


『なっ!?なんだとおぉぉぉぉぉぉ!??』


 彼は驚愕した。

 そして戦慄した。

 自分の配下達をあっさりと全滅させた猟師達がここまで襲いに来るのだと。


『(くそっ!なんでだよ!?ゴブリン転生なんて余裕でチートになれるんじゃなかったのか!??)』


 頭をかかえてうんうん唸るゴブリンキング。

 そう、このゴブリンキングは元オタクの転生者だったのだ。

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