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可愛い系Gの実力

 森の奥へと入っていったエドとローチはある場所に来ていた。


「ついた、ここだな」


 到着したのは『フォレストボア』の餌場だ。

 草食の魔物であるヤツは、いつもこの餌場まで来て雑草を食べている。

 最初にこの場所を見つけたときには「昆虫採集の邪魔になるだけ」だと思ってそれから殆ど来ていなかった。

 だから此処に来るのももう1ヶ月ぶりくらいになるかな。


『ローチ、此処にフォレストボアって魔物が来るんだけどそれを倒してみてくれるか?』


『了解だよ、ますたぁ!』


 元気良く返事をするローチ。

 やっぱり可愛い声のゴキブリってシュールだよねぇ..........。


 そうこうしている内に『フォレストボア』がやってきたみたいだ。


「ブフッ、ゴフッゴフコフ」


 一心不乱に雑草を食べ続けるフォレストボア。

 カサカサとローチが素速く近付いていく。

 大丈夫かなぁ、ちっちゃいからなんだか心配だよ。


 ローチはカサカサとその横まで来ると。


『風刃!』


 ローチのいる草むらから風の刃が二本、フォレストボアの首に向かって飛んでいく。


「ブ?ブゴッ!?ブゴゴゴゴッ!」


 異変に気づいたフォレストボアは逃げようとするが、


――ザシュッ!ザンッ!


「ブギイイィィィィィィィィ!!!!!」


 風の刃は首に直撃し、フォレストボアは首からどくどくと地を流して倒れる。

 だがそれでは止まらず、


『ウィンドスピアー!』


 真空の小さな槍がフォレストボアの脳天にドスッ!と突き刺さる。

 これにより、死にかけだったフォレストボアは完全に死亡した。


「凄いな、こんなに強いとは。杞憂だったみたいだ」


『ますたぁ、誉めて?誉めてー!』


 可愛い声のクロゴキブリがパタパタと飛び上がり、エドの肩に乗っかる。


『うん!ローチ強いね!凄かったよ!』


『えへへへ、ローチうれしぃなぁ』


 肩の上でフリフリと踊るクロゴキブリ。

 とてもシュールだ。


 しかしなんで只のゴキブリがここまで強いんだ?

 異世界が恐くなってきたな..........。


【質問に答えます】


「うわっっ!??」


 突然現れたシステムメッセージに驚く。

 成長関連以外でも出てくるとは思わなかったよ。


【強さの理由は『異世界召喚特典』です】


「へっ??」


 えっ、なにそれ?

 意味ワカンナイヨー?


【ローチは異世界から召喚されたので、特典として強力なステータスが与えられました】


 そんなことってあるのか.........。

 だとしたらこの昆虫図鑑は誰にも見せないようにしないと。


【尚、異世界の虫を召喚出来るのはエドガー・ファーブル只一人となっておりますのでご安心下さい】


「ファッ!??」


 サラッと今凄いこと言われたぞ!?

 僕だけしか召喚出来ないってどういうことだ!?


【その質問には答えられません】


 チクショォオオオォォォォォォ!!!!

 一番大事な所はNGですか!

 だけど僕の召喚魔法がそれだけ凄いのならもしかしたら『王立魔導学院』にも入れるかもしれない!

 かなり希望が出てきたぞ。


『ローチ、僕は強くなりたいんだ』


『ますたぁは強くなりたいの?』


『うん、だからこれからもっと魔物を倒しに行くんだけど、ついてきてくれる?』


『うん、いいよっ!』


 元気に返事をするローチ。

 一人と一匹は更に森の奥深くへと進んでいった。








 続いて来たのはゴブリンの巣穴。

 まだまだ小さい巣穴で、精々居ても10匹ぐらいの巣穴だ。


『今日はここのゴブリンを全滅させようと思う』


『ますたぁ、出来そう?』


『ああ、多分出来るよ。それに村のためにもこういうのはどんどん駆除してかないとね』


 村に住んでいる猟師や木こり達は、ゴブリン等の有害な魔物を見つけたら、即殺すことにしている人が多い。

 増えすぎると厄介な魔物だからだ。

 強くなって『ゴブリンキング』やら『ゴブリンエンペラー』なんかになられたらそれこそ村の危機だ。

 だからゴブリンは殺しまくって畑の肥やしにされている。


「ゴブッ、ゴブゴブ」


 ゴブリンが一匹、巣穴から出てきた。

 槍を構えていることから、門番ゴブリンだと思われる。

 しばらくするともう一匹ゴブリンが出てきてこいつもまた槍を構えている。

 意外と装備が整っているな..........巣はそこまで大きいようには見えないのに。


「ゴブゥ、ゴブゴブブブゴブゴブ」


「ゴブ?ゴブゴブゥゴブ」


 なにやらお喋りしているらしい。

 めっちゃゴブゴブ言ってる。


 ゴブリンにはある程度の知性がある。

 人間と違い、野蛮な者ばかりだが知性がある魔物というのは非常にめんどくさいのだ。

 そういう点でもゴブリンは、駆除の対象になる。


「ゴブッ、ゴブゴブゥ」 


「ゴーブゴブゴブ」


 会話を終えた二匹は並んで洞穴の入り口の横に並んで立つ。


『よし、じゃあ行くよ!』


『りょーかい、ますたぁ!』


 まずは相手の見えないところから奇襲を仕掛ける! 

 エドは音を立てないように静かにゴブリンの居る場所から近い草むらに隠れると、


「『火球(ファイアボール)』!ってうおっ!?」


「ゴブッ!??」


 思った以上に大きなバスケットボール大の火の玉が空中に現れると、ゴブリンに飛来し焼き尽くす。

 『火球』って本来はソフトボールくらいの大きさにしかならない筈なんだけど.........?


「ゴブゥッゴブゴブウウゥゥゥ!!!」


 仲間を殺されて怒り狂ったもう一匹のゴブリンが襲いかかってくる。

 が、


『水遁・縛』


 ローチの使った謎の技によって拘束されるゴブリン。

 水の塊がゴブリンを捕らえて離さない。


「はっ!」


 そして草むらから飛び出したエドは、そのまま動けないゴブリンに虫取り槍を突き刺す!


――ドスッ


 心臓を貫かれたゴブリンはしばらく悶えた後に息絶えた。


【ゴブリンの群れを討伐しました】

【経験値を80獲得しました】


 ゴブリン達を倒したことで頭にメッセージが流れてくる。

 流石にゴブリン二匹じゃもうレベルは上がらないみたいだ。


「とりあえず、門番は倒し切れたね。ところでローチ、さっきの技は?」


『んー?さっきのはねぇ、忍術だよぉ』


 と、ここでシステムメッセージさんから補足が入る。


【スキル『忍術』は召喚特典限定のスキルです】

【ちなみに内容は浪漫寄りになっています】


 ろ、浪漫........?

 よくわからないけどかなり強いらしいスキルだということはわかった。

 ローチのスキルは周りにバレないようにしないとなぁ。


『ローチってやっぱりすごいんだね』


『そんなことないよぉ、ますたぁの方がつよいの』


 そんな事を言いながらも嬉しいのかまたカサカサフリフリ踊り始めるローチ。

 相変わらず可愛いクロゴキブリだな(意味不明)。


『じゃあ、この中にいるゴブリンも全部倒しに行こうか』


『了解だよぉ、ますたぁ!』


 元気に返事をすると、またカサカサと動いてからパタパタとエドの肩に乗る。

 エドとローチはゴブリンの洞窟の奥へと進んでいった。

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