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対 勇者

◆◇◆◇◆◇◆



「えど………?えど、エド!」


「ふ、ぐっ!?」


 目が覚めると突然柔らかい何かに頭を包まれて目の前が真っ暗になった。感傷に浸かる暇もなく、息が出来なくて苦しくてもがく。


 でも、この声もしかして?


「アンリ…………苦しい」


「あっ………ごめん」


 彼女の腕の力が緩まり、僕とアンリは顔を合わせる。

 少しの間離れていただけなのに酷く懐かしく感じる彼女の姿に目の奥がじんわりと暖かくなった。

 でも、まず僕は最初に謝らなくちゃならない。だから頭を下げる。


「アンリ………あの時、突き放して、ごめん」


「エド………ばか。でも良いよ、私の事考えてくれたからああ言ったんでしょ?」


 思いがけない言葉に思わず顔をあげて彼女の顔を見る。どうやら泣いていたらしく、目元を少しの赤くしたアンリが穏やかな笑みを此方に向けていた。

 また、泣かせちゃった。なんだか申し訳ない気分になる。でも、こうしてアンリとまた話せていることが嬉しくてたまらない。


「アンリは、やっぱり優しいね」


「ッッ!ば、バッカじゃないの?そんなのぐらいお見通しよ!」


 途端に顔を赤くしたアンリがぷいっとそっぽを向く。そんな姿も愛おしくてたまらない。


「会いたかった………」


「ーーーっ!」


 思わずアンリを抱き締めると、腕の中で彼女はぷるるっと小動物のように震えた。いきなりだったし、もっと抵抗されるかと思っていたのに彼女は大人しく腕の中に収まっている。


 もう、離さない。


「うん……………もう離れないで」


 思わず声に出てしまったそれにアンリはか細い声で返してきた。下を向くと涙目になった彼女が頬をほんのりと赤く染めて見上げてきていた。彼女が目を閉じる。そしてゆっくりと顔を近づけていき―――――

















――――ガラガラガラ!バーーーン!


「あるじどのーーーー!!!」




 訓練場の扉が開き、突然放たれた大声に僕とアンリの身体がぴくっ!と跳ねた。


 二人で声がしたその方向を見ると、ジャックが居た。

 口を開けたまま此方を見て硬直するジャック。数秒間場が静寂に包まれる。


「…………………」


「………………………」



「あ…………これは失礼したようでござる。で、でも緊急なのでござるよ!」


 いつになく慌てるジャックに現実に引き戻された。

 今、僕たち何しようとしてた?


「き、キスしようとしてた………」


 アンリが顔を真っ赤にして俯く。完全に雰囲気に流されてた…………。


「い、いや全然失礼してないから大丈夫だジャックさん。むしろ僕たちからすると気まずい雰囲気から解放されたというか…………」


「うーん、ナイスタイミング?」


「あちゃー、もう少しだったのにのぅ。惜しかったわい」


「あまあまだったからね。死ぬかと思ったわ。ところでジャックおじさま、私とキスしませ」

「黙れ」

「黙るのはお前だこのゴブリン野郎め」


 あ、まわりに皆居たんだった…………。


『あと地味に私は苦しい。防御力が高くなかったらつぶれてしまっていたぞ』


 服のポケットから桜花が出てくる。そんなところに居たのか、桜花。


『ますたぁのファーストキスを奪われなくて済んだの。ジャックおじさんナイスタイミングだよー』


 ジャックと一緒に戻ってきたローチがひょいと前足を上げた。

 と、いうか、アンリは本当に僕の事…………。


「今更気付いたって感じだねますたぁ。でも、今はそれどころじゃないから、紫苑さんがゆーしゃに倒されそうなの」


 少女の姿に変化してスタスタ歩いてきたローチが僕とアンリの手を掴んで引っ張って立たせた。あの強い紫苑さんが倒されそうだって?


「勇者を追っていたときに見つけたでござる。今は中央校舎の時計台に居る筈でござるよ」


 ジャックが皆に紫苑さんの居場所を伝える。その時、僕の中で何かが切れる音がした。


「………紫苑さん?」


「これは……………!不味いでござる、先に行かせてもらうでござるよ!」


 ジャックもその何かを感じたのか大急ぎで飛び出していく。僕とアンリは顔を見合わせた。


「アンリ、僕は行ってく――」

「エド、私も行く」


「アンリ?」


「皆、ここまで来るのに協力してくれたんでしょ?こうしてまたエドと会わせてくれて私にとっての恩人でもあるの。ま、ローチちゃんはとんだ食わせ者だったけどね」


「え?ローチ?」


 思わずローチの方を見ると彼女はそっぽを向いて平然を装っている。これは…………後で色々と聞かなきゃいけないかな。


「こっちだってやられっぱなしじゃ終われないもの。私だって戦えるようになったんだから、行こう!エド!」


「………アンリ」


 周りを見るとライルとユーリも此方を見て頷いてくれた。準備は出来ているって事らしい。頼もしい限りだ。


「うん……………行こう!」


 アンリを抱き抱えてローチと桜花を集めた。桜花はまたポケットの中に、ローチはぶつくさ言いながら首に手を回して抱き付いてくる。目指すは時計台。ローチや桜花、アンリごと瞬間移動を発動するべく意識を集中させる。


『問答無用でぶっ潰せよ、僕』


 瞬間移動が始まり、蒼く染まっていく視界の端で小さな僕がそう言って笑った気がした。




















◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




 ぎしりと身体に巻き付いた鎖が軋んで音を出す。不味い、この地面から生えた金色の鎖、とんでもなく堅い上にこれが巻き付いていると瞬間移動が発動できない。


「くっ…………、ま、さかここまで強い、なんてね」


「貴女が僕の事を侮りすぎていただけではないかな?ふふっ、外れないでしょ?それ。『星海姫の鎖』って拘束魔法なんだ。勇者である僕だけに許された最強の拘束魔法さ」


 満面の笑みを浮かべた勇者が動けない私に近付いてくる。助けを呼ぼうにもこの鎖によって彼との繋がりを断たれてしまって最早私は彼の使役魔物でさえもない。元はと言えば、自分から離れていってしまった私の自業自得なのだけど。今思えば彼とあの少年を重ね合わせるなんて自分勝手も良いところだ。彼は彼だったって言うのに、私は馬鹿だ。長い間独りで居たせいで想いも心も何もかも拗らせてしまった。


「君のような()()()は皆僕のモノになるべきなんだよ。僕のモノであることがあるべき姿なんだから、寧ろそうあることを誇るべきだ」


「…………本当に、女の子を物としか見てないのね。反吐が出る」


「当たり前だろ?この世は僕を中心に回ってるんだ。僕よりも下の存在であるお前達は僕と同じ空気を吸っていることさえ本来ならおこがましい。だけど僕は優しいからね、広い心で許してやってるのさ」


 そう言うと勇者は私の顎に手を当てて顔を上に向けさせる。嫌だ、近付かないで、それ以上触らないで。ああ、顔が近付いてくる、キスする気だ。私、キスさえもしたこと無いのに。こんな最低男に、ファーストキス奪われるんだ。私は、耐えられずに目を瞑った。













「アンリ、ローチ、桜花!離すよ!」


 どさっ、と時計台に続く石橋に誰かが着地した音がして身体に巻き付いた鎖が弾けた。


「な、んっ!?貴様!?」


「僕の使役魔物に手ェ出そうなんていい度胸だな勇者サマ!」


――――バキィィッ!


 堅いもの同士がぶつかる音がして、目を開けると。


「紫苑さん、下がって。このクズは僕がやる」


「ご、ごしゅじん、さま?」


 勇者の持つ聖剣に鉄の槍を重ねて此方に背を向ける彼の姿があった。雰囲気が前と比べるとガラッと変わった感じがする。前はこんな乱暴な言葉遣いしなかった筈だ。


「僕を、ッ!倒すとは、大きく、出たね」


「当たり前だ外道め。お前が奪っていったもの全部、返してもらうぞ」


「出来、るものならね」


「どうしたよ勇者、顔が苦しそうだぞ?ジャック、やれっ!」


「承知!」


 遅れて飛んできたジャックが時計台に飛び込み、勇者に向かって刀を横凪ぎに振るう。


――――キィィィン


 が、その攻撃は勇者には当たらなかった。勇者の横に学院の制服を着た赤髪の青年が現れて、剣を構えて防いだからだ。


「遅いぞ朱雀。主人の盾となり矛になるのがお前たちの役目だろうが」


「申し訳ありません勇者様。少々場所が離れていましたので」


「言い訳はいい。そのオッサンを殺せ」


「了解しました『第一制限解放(リリース)』」


 途端に青年の纏う気が膨れ上がる。


「ぬうっ!?」


「死ね」


 突然力を上昇させた青年に押されるジャック。力では全く敵わず時計台の端まで追い込まれる。


「ローチ、桜花!ジャックの援護に回って!」


「ごめん、ますたぁ!こっちもいっぱいいっぱいなの!」


 見ればローチ達の所にも学院の制服を着た青年が二人襲いかかっていた。一人は銀髪の線の細い青年で、もう一人は深い青の髪色のがっしりとした体つきの青年。二人に三人で戦ってなんとか互角といった状態だ。


「おやおや、あんなに沢山可愛い子達を引き連れて、君も随分遊んでるんじゃないのか?しかも一人は僕の妻になる女の子じゃないか。寝取りは良くないなぁ」


「…………仕方無い、僕がお前をさっさと倒して次に行けば良いだけだ」


「おや、僕の台詞は無視か………………いッッ!?」


 一瞬にして主殿の姿が消えて勇者の後ろに現れる。勇者は何が起こったのかわからずに反応することが出来なかった。


「とりあえず、お前は終わりだ」


――――ドスッ


「な……………あ…………………」


 勇者の胸の中心から槍の穂先が飛び出した。そして引き抜かれる。穴が開いた胸からは蛇口のように血が噴き出して、勇者は膝をついた。


「紫苑さん、来て。次をやるから」


「…………はい」


 主殿に差し出された手をとる。暖かい、彼はこんなに大きな手をしていただろうか。


「召喚なんかしたりして、ごめん。紫苑さんには危ない目に遭わせてしまった。ちゃんと返すための術式もあるから、後で元の世界にかえ―――」

「帰さないで」


 私の手をとって立ち上げさせた彼は不思議そうな顔をする。


「帰さないで。貴方の力に成りたいの。もう独りになりたくないの」


「紫苑さん…………わかった、でも今はそれどころじゃないから、行くよ」


 繋いだ手から私は蜘蛛の姿に変化する。彼の指先から掌へ、そして腕を伝って彼の肩まで。


「ローチ、桜花、もう援護に回っていいよ。そいつら二人共片付けるから」


「ま、ますたぁ?」

「主殿?」


 次の瞬間には青髪の青年の後ろに居た。主殿はそのまま拳を振りかぶり――――


「『炎精剛拳(イフリート)』!」


「ぬ、が………ぁっ!?」


 一人を一撃で沈める。真後ろから超高温の熱拳を受けた青年は背中に大きな火傷を負って時計台の石造りの壁に激突し、動かなくなった。そして、それと同時に私も糸を出してもう一人の銀髪の青年を拘束する。


「エド!」


「アンリ、こっちはこれで片付いたよ。あとは一人だけだ」


 美しい金髪を揺らして駆け寄ってくる少女。一目見てわかった、この子が、彼の想い人なのか。


「紫苑さんも、人じゃないのね。びっくりした」


 そう言った彼女の顔にはあの時見たような嫌悪感などは無い。貴女は、人じゃない私を受け入れてくれる?


「紫苑さん、私はアンリ・オリヴィエ。間に合って良かった、宜しくね」


 手を、差し出してくる。私は主殿の肩から飛び降りて人の姿になるとその手を握り返した。彼女は少し驚いた顔をするも、すぐに笑顔をなって握り返してくれる。


「此方こそ。ありがとう、助けに来てくれ―――」

「マァァだだ、優男!僕があの程度で終わるとでも思ったか!」


 ……………なんて生命力だ。まだ動けるなんて。


 勇者がいつの間にか立ち上がっている。胸に空いていた筈の穴は完全に無くなっていた。


「勇者は攻撃から防御、回復まで出来て当たり前なんだよ。まさかお前がここまで強いとは思わなかったが、次は無い。お前に勝ち目は無くなった」


「手下も殆どやられて、勇者、お前正気か?」


「当たり前だろう。僕一人で充分だ『聖装展開(モード・イージス)』『聖騎士(シュヴァリエ)の翼(・フォース)』。それに手下はあれで全部だとは言ってないぞ?」


 勇者が金色の光に包まれてその身に七色に輝く鎧を纏った。背中からは三対の翼が生えて、それがこの男でなければとても神々しく見えたことだろう。そして、時計台下の校舎の周りを見るといつの間にか大勢の学院の生徒や教師が集まってきて、此方に向けて魔法を撃とうと手を向けていた。ざっと100人と少しは居るだろう。


「ほら、お前たちも早く立て。相手が僕の女だからと手を抜いているからそうなる」


 勇者が指をさっと降ると今まで倒れていた二人の身体を光が包み込んで二人は何事もなかったかのように立ち上がった。


「ほら、これで形勢逆転だ。僕に勝とうなんて百年早い。まぁ、その女達は僕が貰ってってやるよ、もちろん洗脳を掛けてね」


 ニタァ、と気味の悪い笑みを浮かべる勇者。これがこの男の本性なのだ。


「今度はこっちから行くぞ。お前ら、殺れ!」


 ローチやジャック達と戦っていた赤髪の青年が三人を力技で吹っ飛ばし、もう一人の青髪の青年と共に武器を持って襲い掛かってくる。そして残った銀髪の青年が何やら呪文を唱え始めると時計台の至るところから小型のゴーレムが発生した。下の方から此方を狙っていた生徒や教師達が一斉に攻撃魔法を放ってくる。


「全員、掴まって!逃げるよ!」


 ご主人様が号令をかけると三人が回りに瞬時に戻ってきた。瞬間移動で逃げ切るつもりのようだけれど、間に合いそうにない。どうにかここは私がなんとか――――


「させねぇよ、ボケが」


 時計台の上から声が響いた。他の勇者の手下に私の考えを読まれたのだろうか。

 そう思ったが、想像とは逆に赤髪の青年達がその方向を見て眼を剥いて驚いた顔をした。


「『玄武防壁陣』!」


 上空から長い杖を持った老人と共に現れたのは少しやつれた感じの眼鏡の男性。私達の前に着地すると同時に石の床に片手をついて魔方陣を展開させた。魔方陣を中心にして緑色のネットのような球体が広がり、私達ごと彼らを包み込む。


―――――ドオォォォォォン!


 大量の魔法が壁に直撃し空気を震えさせる。しかし、100以上の攻撃魔法が直撃したにも関わらず、壁は無傷を保っていた。


「貴様、ゴッドリーブか。四星の裏切り者め」


 煙が晴れると壁に阻まれた赤髪の青年がぎりっと歯軋りをして眼鏡の男性を睨み付けた。どうやら知り合いらしい。


「何言ってんだ。先に使い物にならなくなったのはお前らの癖になぁ。洗脳されたせいで魔力も下がってんじゃねぇのか?俺の防御魔法一つに三人かかっても壊せないなんてな、笑えてくるぜ」


「この………ッ!洗脳だか何だか知らないがお前は俺たちが粛正してやる、行くぞお前達!」


 赤髪の号令と同時に二人が赤髪の青年に何か魔法をかけ、彼は彼で制限解放を発動して力を上げる。

 そんな彼らを無視して眼鏡の男性と老人が此方を向いた。


「ったく無茶しやがってよぉ。結局お話し(物理)しなきゃいけなくなったじゃねーか。元々そのつもりじゃあったがな」


「外の生徒達じゃが安心して大丈夫じゃよ。向こうにはライル君が向かったからのぅ」


 校舎の周りでは青髪の少年が凄まじいスピードで走り回っていた。彼が敵に触れると皆糸が切れたように倒れていく。そして彼を守るかのように並走する獣化したユーリの姿。それを見て勇者が舌打ちした。


「成る程………確かにこれは面倒だ。だが―――」


 勇者の姿が消える。


――――パァァァァン!


 緑色の壁が弾け飛ぶ。


「―――それがどうした?」


「マジか…………一撃で破りやがった」


 虹色に輝く剣をその手に、勇者が壁を破壊して突撃してきていた。同時に力を溜め終えた三人が先程とは比べ物にならない程のスピードで迫ってくる。


「『正義は(グランツ・)我に有り(ユスティーツ)』」


 七色に輝き始めた装備達が一斉に彼、エドの方向を向いた。それに気付いたゴッドリーブと呼ばれた男性とジャック、そして私が身構える。しかし、先程あれだけの防御力を誇った壁を一瞬にして破られたのだ。多分ご主人様を守りきれても自分のことは守れない。


「駄目。皆は他の三人に集中して」


「………は?お前、何言って」


 驚いた顔をしたゴッドリーブさんが制止しようとしたがご主人様は前に出てしまった。彼はマジックバッグの中から勇者の聖なる装備の数と同じ数、8本の鉄槍を取り出す。8本の槍は不思議なことにその全てが彼に従うように周りを囲んで浮遊した。そしてその槍を赤い炎が包み込む。


「奴のプライドをへし折ってやります」


「はぁ………成る程ね。そんじゃあ俺は向こうに集中させてもらうぜ」


 ゴッドリーブさんは既に三人の迎撃に出ていた老人に合流していった。それにしてもあの老人はいったい何者なんだろうか。あの三人を同時に相手にして一歩も引かなかった。師匠だった烏天狗にどことなく雰囲気が似ている気もする。


「ま、ますたぁ!危ないよ、下がってって!」


「駄目でござるローチ殿。ここは邪魔をすれば更に危なくなるでござるよ!」


「で、でも………」


 ローチちゃんがジャックに止められていた。アンリちゃんはご主人様が危ないのをわかっていて、何時でも瞬時に回復できるように魔法の準備をしている。

 空を見れば、此方を向いた聖なる武器達の輝きが強くなっていた。そして、力を蓄え続けたそれがご主人様に向かって一気に打ち出された。


「『勇者の(ブレイブズ)凱旋(・トライアンフ)』!」


 同時にご主人様が魔法を発動させ、槍が纏っていた炎が金色に染まり凄まじい速度で打ち出された。勇者の目が驚きに見開かれる。それは紛れもない勇者の一撃。召喚師であるご主人様が持っている筈がない勇者の魔法。

 聖なる武器達を相手に打ち出された鉄の槍がぶつかり合い、凄まじい轟音と共に何かがボロボロと落ちてきた。



「そんな馬鹿な………」




 それは鉄の武器と――――聖なる武器の破片だった。



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