第16話 杞憂
ソティアス、ミール、エストの3人は、山へ盗賊のアジトに向かう事にし、家の者に指示をする。
「父様は、王宮へ今までより少し多めに警備隊を人気の少ない裏道、空き家と思われる所を捜索し魔方陣の調査・破壊をお願いします」
「裏道と空き家? なぜだ?」
「転移魔術の魔法陣は、使う人物の魔力が低いと大きく書かないと駄目ですので、そうなると大勢の人に見られる可能性がありますから空き家などの目立たない場所に書くと思います」
「わかった」
「王妃様とラピスは此処にいますか?」
「「はい」」
「それならば、僕達が帰ってくるまで此処にいるみんなで何処の部屋でもいいので入っていて下さい。関係のない人は建物に入れないようになっていますし家事にならないようになっていますので安全です」
「襲われると思っているのですか?」
「……杞憂と思いますが、此処には王妃様とラピスが居ますので何があると困る事になりますので……」
「ソティ、魔法陣の破壊方法は?」
「魔法陣の一部を消してください」
「それだけか?」
「はい、僕も盗賊のアジトの魔法陣を消したら戻ってきますので、それまで誰も中に入れないで下さい」
「「「「「はーい」」」」」
ソティアスは、ミールとエストを連れて山にリキドは、王宮へ向かった。
「ソティは、どう思っているの?」
「……この間捕まえた盗賊達の上の存在だと思っています」
「ソティは、使えるの? 転移魔術」
「使えます」
「でも、そんなに危険なの転移魔術って」
「……転移魔術には魔法陣が必要と言いましたが、転移魔術の上位を覚えると魔法陣は、一度自分の足又は、馬、馬車で移動し行った場所なら自由に移動できるようになるので魔方陣が必要なくなります」
「!? それって……かなり危険なんじゃ」
「そうですね……例えばの話ですが、昨日僕は、王宮に行きましたから王の命を狙おうとしたら簡単ですね、興味ありませんけど」
「……」
「今から行くのは、其の確認です。消えた場所に魔法陣が残っていたら出入口に魔法陣が必要……無かったら魔法陣が必要なしになります」
「……」
「? どうしました? ……! さっきの王暗殺の話は、本当にたとえ話ですよ。本気にしないで下さい」
「……そうよね、安心したわ」
「本気にしてたんですか?」
「……冗談よ冗談」
3人は、笑いながらも山道を歩き盗賊達のアジトの前まで来ていた。
「此処ですね、誰もいないみたいですけど……念のため気を付けて下さい」
「「了解」」
3人は、洞窟の中に入るとすぐに血の匂いに気が付いた。
「! ソティ君、この血の匂いは?」
「……覚悟していて下さい……かなりの人が殺されているみたいです」
血の匂いのする方へ歩いていくと牢屋がありその中には、数十人の男女、老若男女、種族バラバラの死体がボロボロに切り刻まれていた。
3人は気持ち悪くなりその場を離れた。
「うっ! ソティ……あれって……」
「……予想以上でしたね……話は後にして、魔法陣の確認に行きましょう」
「……ええ」
奥まで歩いて行くと魔法陣が書かれている所に着いた。
「これが、魔法陣? 大きいね」
「大きいね……こんなに大きな魔法陣しか書けないのなら魔力はたいしたことないと思います」
「本当に?」
「ええ、魔力の足りない部分を魔法陣が補っていますから、魔力が低いと大きい魔法陣が必要になります。魔法陣を消して帰りましょう」
「了解」
「魔法陣は、消したけど……さっきのどうする?」
「……ゾンビになられても困りますから燃やしましょう」
先程の牢屋に戻り死体を全て燃やした後には、魔法陣が書かれていた。
「ソティ……この魔法陣は、転移魔術?」
「……いいえ、これは、召喚魔術です」
「召喚? 何を召喚したかわかる?」
「いいえ、でも……此れほどの生贄を使うって事はかなりの大物だと思いますが失敗したようですね!」
「そう……これは、ほっといでもいいなら帰ろっか?」
「そうですね」
洞窟での作業も終わったので街に帰る事にした。
「で、どう思う盗賊の魔術師について」
「……魔力は低いと思います。召喚魔術、転移魔術、同じ人が別の人がわかりませんが他にも高位の魔術師がいるかもしれません……狙っているのは、イサーラ村が王都がそれとも両方かもしれません。他の狙いかもしれませんけど」
「……」
「盗賊の反応がこの辺りではありません……アジトを変えたのかもしれません」
「探知魔術で分からないの?」
「ええ、全く……かなり離れた場所の何ヵ所かに反応がありますけど」
近場に盗賊の反応が無いので王都へ戻る事にした。
家に戻ってきたら父リキドと数名の兵士が門の周りを警備していた。
「ソティ、そっちはどうだった?」
ソティアスが話そうと周りを確認すると街の人々が集まっているのに気が付いた。
「此処では……中で話をしましょう」
「……ああ、わかった」
リキドは、残りの兵士に指示しソティアス達と共に家の中の一階にある部屋に入りお互いに情報交換を始めた。
「先に父様の方からお願いします。国王陛下の反応はどうでしたか?」
「警戒する為に警備隊の人数を増やしてもらったが……王宮魔術師共が盗賊にそんな高位の魔術師が居るはず無いと陛下に進言すると警備隊を半分に減らされた」
「そうですか……おそらく自分達に使えないから侮っているのでしょうね……少しでも警備隊の数が増えたのならよしとしましょう」
「ああ」
「で、王妃様の事は?」
「……其処に居たいのなら飽きるまで居させてやってくれと」
リキドの言葉にソティアスは、驚いた。
「本気ですか?」
「すまんか頼む……」
「……此方の方の話をしましょう……盗賊のアジトにあった魔方陣は破壊しましたが……」
「どうした?」
「其処に……数十人の遺体がバラバラにされて……放置されていました」
「!? 何の為に?」
「召喚魔術の生贄だと思います」
「召喚魔術に生贄が必要なのか?」
ソティアスは、迷ったか話すことにした。
「……普通はいらないです。生贄が必要なのは邪の者を呼ぶ時です」
「邪の者?」
「……例えば……邪龍、魔王、魔神……邪神です」
「「「!?」」」
「でも、今の所は、心配いらないですよ、あそこでは召喚されていないみたいですから」
「本当か?」
「ええ、何かが召喚されたら、あそこには遺体が残っていないはずですから」
ソティアスの言葉で、三人は少し安堵した。
「父様、話を戻しますが王妃様をどうするのですか?」
「お前に任す……俺は帰る」
「なっ!?」
リキドは、ソティアスの言葉を待たずに帰って行った。
ソティアスの所にラピス王女だけでなくマリー王女も住むことになった。
その後、事件らしい事件も起きないで、少し時間が流れた。
一年後、
ミール10才、エスト、ソティアス7才




